洗脳 地獄の12年からの生還

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062186575

作品紹介・あらすじ

自分はなぜ洗脳集団に絡め取られてしまったのか。
それを解き明かすために、Toshl自らが、振り返る苦痛を乗り越え、自分の弱さを見つめ、洗脳集団ホームオブハートの残忍な手口のすべてを赤裸々に語る。
1997年、X JAPANの脱退と解散。HIDEの死。
妻と、ホームオブハートとの出会い、巧妙な勧誘。執拗な暴力と罵倒による洗脳、呪縛、搾取。
脱会の決意と戦いの日々。
X JAPANの再結成、そして今……。

感想・レビュー・書評

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  • トシすごい好きになったわぁ。すごく生々しく心の動きが書かれていた。壮絶。日付やそのときの出来事、そのときの気持ちが本当に細かく書かれていて、記憶力すごいなというのと、本書にも書かれてるけど、これを書き起こすときの心のしんどさを考えると。(実際にメンタルぐちゃぐちゃになって、机やPCをひっくり返したことは一度や二度じゃない、とインタビューで言っていた。)

    X JAPAN解散当時や再結成当時、数万人を熱狂的に盛り上げるライブの直前直後まで罵倒や暴行を受けていたと知って、本当に衝撃だった。

    「なんであの伝説のバンドX JAPANのトシが洗脳なんてされて、何億円も渡しちゃうわけ?!」って思っちゃうけど、読んでいくと心の動きがよくわかった。
    「洗脳」って言葉を聞くと、イメージとして催眠術のように突然盲目的になって、突然我に帰るようなかんじを思い浮かべるけど、トシの場合はそうじゃないんだね。(リアルな洗脳ってのはこっちのパターンの方が多いのかな?)
    ほんとに徐々に。ってか洗脳される前の環境が酷すぎる。洗脳される条件揃いすぎ。母親が自分の家にファンあげて、お金とって昔の写真(幼馴染のYOSHIKIのも)を見せたり、にいちゃんに社長任せたら、社長業何もしない「X JAPANのトシのにいちゃん」って肩書きぶん回して調子乗ったタレントもどきみたいになっちゃってさ。X JAPANのメンバーにも迷惑かけたって謝罪してる矢先に、次の社長を任せた信頼してた友人も不正経理とかで金銭トラブル。もうさ、そりゃしんどいよ。自分が嫌な目に会うのは100歩譲って自分の判断ミスだしって諦めも付くけど、自分が好きな人たち(しかもX JAPANというレジェンド級のバンドの金銭面)に迷惑かけるってのは。

    「X JAPAN」って括りで見るともはや神々しいけど、トシ個人で見るとほんといいひとってかんじ。洗脳後のバラエティで見たときに、あんなレジェンドなバンドのボーカルなのに、めちゃめちゃ穏やかで、強めにいじられてもニコニコ丁寧に対応してるもんね。
    「こちとら天下のトシぞ?!おおん?!」ってなってもおかしくないくらいの伝説の人なのにね。

    だから、当時メンバーとか周りの人に迷惑かけたときに、めちゃくちゃ頭下げて回ったんだろうなと思う。本気で申し訳ないと思いながら。本気で心痛めながら。
    そういうときに守谷が現れて、「X JAPANのトシじゃなく、出山利三として見てる」「やりたいことをやればいい」「周りのことばっか気にしちゃダメだよ!」とか言われたんだろうな。分かってくれてる!X JAPANとか抜きに見てくれる!自分のために言ってくれてる!ってなっちゃったんだなぁ…。
    ここまでだったらよくありそうじゃん?「あなたは優しすぎるよ!どうでもいい人だったら、私だってこんなきつい言い方はしないんだからね!」みたいなさ。そこから徐々にそっちに持っていったんだろうなぁ。

    そして、その後にまたその組織に迷惑かけたとき、X JAPANに迷惑かけたときとダブって見えたんだろうなぁ。また迷惑かけてしまったって。また自分が判断を間違えてしまったんだって。自分の判断が信じられなくなってる時だもの。

    守谷やMASAYAや組織が杜撰だったからこそ、トシは「あれ?さすがにおかしいぞ」って気付くことができたんだよね。ほんとに良かったよ。そいつらがマメに演技を貫いてたら一生食い物にされてたよね。もっと被害者出てたよね。ってかアレで逮捕されないんだもんね。調べたら告訴したって話も出てきたけど。インタビューで「納金する額を毎月宣言させられてた」って言ってたから、逮捕されないやり方を知っての行動だったんだろうな。むかつく。
    守谷香のインスタあったから見てみたら、例のMASAYAといまだに活動してて、だいぶ偏ったスピリチュアルなこと発信してるから、この人本物だなと思った。たぶん騙そうってよりも本気でMASAYAに心酔してあーゆーことしてたんじゃないかな。。投稿数それなりにあるのにコメントも無かったり、1件あったり程度で、アンチすら触れてなくて、1番怖いなと思った。

    それにしても、全世界で何万人も集めてライブした翌日にショッピングモールでCD手売りだよ?組織のお金稼ぐために。「え、こんな小さなとこで手売り?めっちゃいいひと!」ってなるとは思うし、トシ自身まじでいいひとだろうから、そこに差はないと思うけど、トシクラスのアーティストはもっと楽して稼いでいいんだよ。休んでおくれよ。

    私はX JAPAN世代じゃないけど、中高生の頃MALICE MIZERが好きだったからビジュアル系は好きだし、X JAPANがどれだけレジェンドかってのは肌で感じてた。当時はSHOXX読んでたし(笑)
    で、MALICE MIZER繋がりでGacktも見てると、GacktとYOSHIKIが仲良いからそこでもチラチラ耳聞きして。で、洗脳後にバラエティに出るトシを見たりする程度で。X JAPANやトシについては、ほんとになんとなくしか知らなかった。
    本書を読んだあとにYouTubeで当時の様子や著書について語っているものを見漁った。トシの洗脳騒動はあんなにセンセーショナルだったんだね。

    YOSHIKIは自分の市場価値を正しく自己評価して、相応の主張をちゃんとできてるかんじするよね。セルフプロデュースも素晴らしい。一方でトシは、まぁ幼稚園の頃から近くにYOSHIKIという化け物がいたからか、化け物YOSHIKIというリーダーにレベルの高いことを求められ続けたからか、すんごいボーカルなのに自己評価がたぶん低いよね。で、「X JAPAN」っていうブランドイメージよりもひょうきんで庶民派で、そんですごく優しい。弱いと言ってもいいくらいかもしれないね。そのかんじでX JAPANが爆発的に売れてしまったから付いていけなかったかんじがする。2023年現在57歳であの歌声。すげえよ。もっとドヤァって顔していいよ(笑)

    2018年を最後にX JAPANとしては活動してなかったけど、この7月に久々にX JAPANとして新曲(ちゃんとボーカルはトシ)でリリースされたんだね。カバーアルバムとか出してるけど、やっぱりトシの声はYOSHIKIの曲が合ってるなぁと思ってしまうもんね。龍玄としって名前で精力的にソロ活動してるみたいだけど。ニコ生でよく活動してるみたいだけど、小林幸子的な?(
    私自身、元生主なもんで、ニコ生での活動は全然いいと思うけど、二等身アニメキャラみたいなグッズとか出してニコ生だもんね、たしかにX JAPANっぽくはないよね ^^;でもトシには合ってそう、楽しめてそうってかんじする。
    トシとYOSHIKIのMC見たら、仲良く等身大でニコニコしてるかんじはアニメキャラグッズでニコ生でもいいかなとも思うけど、それするには「X JAPAN」ってのが世界でも注目されて大き過ぎるかんじもするね。


    ちなみに読後に見漁って思ったのは、私はサングラスない方がかっこよくてセクシーで好きです。The Last Liveの紅が好きです。(何?w

    いろんなことがありすぎたし、再結成後もいろいろあったのかもしれないけど、またYOSHIKIとトシがいるX JAPANとしての活動を楽しみにしてます。

  • X Japan の ボーカルとして過ごしていたのに
    ある タイミングで カルト宗教にはまっていってしまった。
    実話です。

    他のカルトと同じように 飴と鞭方式でどんどんはまっていってしまう。
    稼げる人だったから 命は取られなかったけど 10億円以上も奪われてしまった。

    でも 12年かかったけど
    無事に逃げれて良かったですね。

    小説以上に怖く読みました。

    カルト宗教が 白日にさらされて 他の被害者が救われる事を願います。

     

  • Toshlはどうして洗脳されちゃったんだろうと思いつつも、なんか読みたくなかったこの本。でも、Toshlの言葉でつづられているんだからと読んでみた。

    想像以上の内容。Toshlがこんなひどい扱い、仕打ち、暴力をふるわれていたなんて全然知らなかった。Toshlがあっち側に行ってしまって、それでもあっちで幸せならといちファンとしてはそれがToshlが望むならという気持ちもないわけではなかったけど、こんな仕打ちを受けて、つらい思いをしていたなんて本当に悔しい。でも、あのときも色々な動きがあったと記憶しているけど、あのときはToshlにはその思いが届かなかったんだよね。でも、大事なことは時間はかかってしまったけど、Toshlが自分で気づいて、自分の足で逃げ出して、自らの意志で決別したということ。

    最近、Xの曲を聞いていて、やっぱりYOSHIKIの曲はToshlしか歌えないって思った。つまり、どんなにYOSHIKIが美しい曲を作っても、Toshlが歌わないと成り立たないってこと。やっぱり、2人で1人というか、離れられないんだよ、二人は。YOSHIKIは完璧主義だから、Toshlはつらいことも多いかと思う。でも、あんまり自分を追い詰めないで、ある意味適当にやってほしいと思う。おかえりなさい、Toshl。

  • 読み進めることが辛い、と云うのが一番しっくりくるかな。
    私にとって一時期ドツボな時があり、死ぬしか無いのかな…と思っていたらX JAPANの曲で正に癒やされた経験があるので、神とかなんか超えていたりしたので、ToshI の啓蒙セミナーはまってからの一連の事件では、本当に彼を怨んだこともあるし、元嫁(そもそもの元凶)ぶっ殺す!とも思っていましたし。

    個人事務所を任せていた長兄が横領してたり、実家のお母さんがファンからお金取ってたり、次に社長任せた人物にまた横領されたり…。
    人間不信になっていたところに、甘い言葉で近づく元嫁…。
    弱ってるからこそ、はまって行く、と言うあとがきの紀藤弁護士の言葉通りにドンドンどつぼにはまるToshI 。
    目がいっちゃって、薄笑い浮かべてるのテレビ番組で見たとき、終わった…と彼の存在を無理やり自分から抹殺したよ。
    正直統一教会よりもオウム信者に近い感じがして。
    なので、突然のX JAPAN再結成も嬉しいけど、手放しで喜べなかったし。
    きっとこの本に書かれている暴力、叱責、搾取などはほんの一部なんだと思うし、決別することにしてからの紆余曲折もほんの一部だと思います。まだ裁判中で、話せないこともあるでしょう。
    ただ、
    「人はどんな時でもやりなおせる」
    僕はそう信じている
    と最後に書いた(書けた?)気持ちの強さは伝わってきました。

    この本はX JAPANボーカリストToshI の黒歴史でもあるとともに、マインドコントロールされた方やその家族への何かの助け?になればいいと思います。

    ToshI 、おかえりなさい!!

  • こんな世界あるんだという感じで衝撃を受けた。自分や周りの人はこんなことにならないように気をつけようと思う。

  • Xファンの友人に借りて読みました。
    Toshlさんの洗脳事件のことは全く知らない状態で読んだのですが,華々しい活動の裏でこんなことが起こっていたのだと驚き,応援したくなりました。
    立ち直れるまでとことん人との巡り合わせの悪い方だったのだろうなと… 音楽があって,途中で良い人に出会えて,本当に良かったと思います。
    背景を知った上で曲を聴くとまた感想も変わりそうです。

  • X JAPANのファンでもないけど読んでみた

    成人した大人、それも芸能人がはまってしまった洗脳というものはどんなものだったんだろう?

    親族関係の悩みがきっかけとなって、ハニートラップ(いや、本にはそう書いてないけど明らかにそうでしょ~)、コンプレックスへの攻撃、力の暴力、精神的な暴力、多額のお金を吸い上げるシステムにはまっていく過程…

    ある人との出会いが洗脳から解けるきっかけとなったそう
    その人がよい人でよかったな~と。
    またこの人が悪い人だったらさらに地獄だったよ…

    大人だからこそ陥る洗脳
    だからこそ恐ろしい

  • 読んでいて辛い気持ちになった。
    最近メディアによく出演されて、自由に好きな物を食べたり、好きなことをされているのを見ると、本当に良かった、とただただ思うばかりです。

  • X JAPAN のTOSHI 洗脳の真実

    家族から「読んでみたら」と勧められたが
    (体調悪いときに 読みたくないぁ)と先延ばしにしていた。

    手に取って読むと 文章は拙いが 辛かった家族の裏切りや
    傷心のToshiに近づいてくる元嫁
    その元嫁主導でカルト集団に傾倒していくToshi
    心と体を蝕んで 逃げ場を失っていき、洗脳されて行く様子が・・・こわい

    どんなオカルト小説よりも現実に起こったことだと思うと
    人を信じられなくなりそう
    でも きっと心の隙間に 巧みに入り込んでくる輩が
    この世の中にはごまんといるんだろうなぁ。

    X JAPANのファンではないけれど
    TOSHIのこれからの人生 少しでも心安らかに過ごして欲しいと願う

  • 何と壮絶な15年を過ごしてきたのか。
    華々しい栄光からは想像もつかないような日々に、全くファンではなかったけれど、心から応援したくなりました。
    負けるな!ToshI!

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