救国のレジリエンス 「列島強靱化」でGDP900兆円の日本が生まれる

著者 :
  • 講談社
4.25
  • (18)
  • (20)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 138
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062175029

作品紹介・あらすじ

震災に備えて列島を強靱なものに作り替え、東海道ベルト地帯を強化し、分散型の国土構造のもと地方都市を活性化する――こうしてGDP900兆円のユートピアが生まれる!
 日本は、石油ショックのあと世界一の省エネ大国になり、阪神淡路大震災のあとは耐震設計が驚くほど進み、耐震技術についてもまた世界一の国になった。バブル崩壊後は、多くの企業が莫大な借金を背負うことになったが、もの凄い勢いで借金を返し、逆に預貯金が有り余るような状況になった。東日本大震災後の電力不足の問題にしても、個人も法人も凄まじい勢いで節電に協力し、当初のほんの短い期間をのぞき計画停電は実施されなかった――これらの歴史的事実はみな、さまざまな外的なショックに対する日本の驚くべき対応力を意味するもの。この対応力こそが、「レジリエンス」(resilience)。
 日本を救い続けてきた、この「レジリエンス」――柳の枝のような「しなやかな強靭さ」をさらに磨いたとき、GDPは2倍になる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 他の国ではない、日本の救国。
    著者の藤井氏は内閣官房参与。
    著者の日本民族、日本国土、日本国に対する「愛」を感じる1冊。
    「こんな日本に住みたい」と思える本。
    こんな風になったらいいなぁ~。
    頼みますよ、政治家さん。

  • これから10年(本が出て2年になるので実質あと8年)野間に平成関東大震災がある、と告げる筆者が提唱する「国土強靭化」の解説書。10年間で100から200兆円の公共投資で様々な国家の施設や機能分散を提案する。
    読んだ感想は、3連動地震などでこんなことが起きない様に準備が必要だとは思うが、不安マーケティング的な手法がやや気になる。政治家には気に入られる内容だな。

  • こんな風になったらいいなと思う。いいモデルをもらったので、後は実現するだけ。日本の将来が楽しみだ

  • 大学の自分の所属していた研究室の教授の著書。
    藤井先生らしく非常に刺激的な内容であるが、とても力強く、明確なビジョンがあり、すばらしかった。一般向けの書籍であるためか論に強引な部分があり、全てを鵜呑みにできるわけではないが、(各種データのサンプルの出し方や乗数効果の話しなど)参考にすべきだし、国家が方向性を持って突き進んでいくために、この本の内容は進めていってほしい。参与に入られたし一層ご活躍頂きたい。
    <その他感想>
    ・強靭化の施策の話はビジョンがありおもしろかった
    ・現在著者の言う通り需要があるところに投資を行っていることが多いイメージだが、地方投資をして、どこまでの効果があるかは疑問を感じる部分はある。
    ・若干論のもっていきかた推計の仕方に強引な部分があるように感じられるが、力強いメッセージとビジョンは一読の余地あり。個人的に地域コミュニティの形成の部分はどのようなことを考えているのか知りたかった
    ・モデルをもとに推計をしているが、前提にあった使い方をしているのだろうか→どこに投資をしても同じように乗数効果があるとは思えない
    ・海外への資金流出により、乗数効果がおちるという話しは?
    <個人的ポイント>
    ・レジリエンス①致命傷を受けない②被害を最小化する③すぐに回復する 柳の木のイメージ。曲がるがおれない。また力がなくなると元通り。
    ・日本には多々災害があり、日本人を日本人にしたのは学校でも文科省でもなく、神代から今日まで根気よく続けられてきたこの災難教育であったかもしれない 寺田寅彦
    ・大阪や名古屋における津波被害は東日本大震災の計算値を用いれば、軽々と100兆円を超え、200兆円や300兆円程度の規模に達する
    ・過去2000年に4回東日本太平洋沖のM8以上の巨大地震が起こっているが、そのうち3回は最長18年以内に西日本大震災が起こっている。過去の歴史にあてはめると、早ければ5~6年後、遅くても20年弱の間に西日本大震災が発生しうる
    ・救国のレジリエンスを手に入れるための8つの対策
    ①「防災・減災」のためのインフラ対策
     危険地域の耐震性を地道に高めていく。国会・官庁などの超重要施設の破壊を防ぎ、致命傷を避ける
    ②「リスク・コミュニケーション」の推進
     防災教育 子供のみならず大人も。行政・政治にかかわる人も。
    ③「地域コミュニティ」の維持と活性化
     それぞれの地域で自信や津波に対するコミュニティの必要性
    ④有事を用意した「強靭なエネルギー・システム」の構築
     原発などの耐震性を高める。エネルギー供給システムを重層にする。電気・ガス リダンダンシー 冗長性 
    ⑤企業・工場の「BCP」の策定義務化
     工場・企業の強靭性・レジリエンス確保のため
    ⑥有事の際の「救援・復旧対策」の事前想定
     行政・中央政府のBCP と自然田 地域全体に対して策定する。救援の道路インフラなど大規模な公共事業を織り込んだ計画となるところが企業のBCPと異なる
    ⑦日本全体の「経済力」の維持・拡大
     基礎体力となるGDPが高くなれば、被害に対しても乗り越えて行ける可能性が高くなる
    ⑧「強靭な国土構造」の実現
     『地震や津波の被害が大きそうなところのいろいろな機能を、地震や津波の被害が小さそうな所に、移転させていく』ことを通じて分散型の国土をつくる。

    ・西日本は沿岸地域に道路が集中しており、津波が発生すると東日本のように救援隊が通ることのできる動御がない。震災に耐える高速道路もつくられていない。激甚な津波被害の後、誰も助けにいけない状況になりうる。
    ・復習と整備基本法案 伊丹空港跡地など関西が候補にあがっている
    ・列島強靭化に必要な予算105~200兆円 年10.5~21兆円
    ・ここ15年ほど経済成長を止めてしまっている国は日本だけ
    先進国も経済成長している
    ・新幹線、高速道路の整備により、三大都市圏に集中している人口を分散させる。太平洋ベルトに本社機能があるはいいが、工場など他の地域に立地できるよう交通網を発達させること。

  • 国土の強靭化は必須。

  • 地震がくる。だから公共投資をする。すると景気が良くなる。すると国は破産しない、地方も若者も元気になる、と思う。これだけの内容。

  • 日本のGDPは名目では1991年から、実質では2006年から伸びていない状況です。物価変動の値を除いた実質よりも名目GDPが良く登場することを考慮すると、日本のGDPはこの20年間成長していないので、殆どの日本人は日本はもう成長できないと諦めているかもしれません。

    日本のGDPが伸びない原因について多くの解説を読んできましたが、公共事業を絞りすぎたのも一因です。この本では、地震に強い日本を作るために「列島強靭化」をすればGDPは900兆円にまで成長できるとしています。

    日本政府はこの20年、公共事業を削ることばかり考えてきたようですが、昨年(2011)の東日本大震災を契機に公共事業を見直すことで、成長する日本になってほしいと思いました。

    特に、デフレとは「生産性の過剰」によるもので、「生産性の向上はデフレを深刻化させる」(p55)というのは私は初めて読んだように思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・レジリエンスの三条件とは、1)致命傷を受けない、2)被害を最小化する、3)すぐに回復する(p6)

    ・過去2000年間に、東日本→西日本→関東大震災と連動していることが3回ある、それは2-20年間の間隔がある(p37、47)

    ・東京地下は、日本列島が乗っかる4つのプレートのうち、実に3つもが複雑に入り組んでいる場所であり、地震場発生するパターンも多い(p40)

    ・関東に震災が起きた時の被害総額は112兆円とされているが、この推計は M7.3を前提としている、現時点では震度7は想定外とされている(p43)

    ・デフレとは生産性の過剰によりもたらされるので今や生産性の向上は不要、生産性の向上はデフレを深刻化させる(p55)

    ・現代の20・30代から40代までの世代の精神構造は、そのひとつ前の世代の平和ボケの精神構造から、好むと好まずに大きく乖離している(p67)

    ・西日本の沿岸部は、巨大な津波が予想されている、特に、紀伊半島・四国と九州の太平洋沿岸部(p97)

    ・都市の発展にとっての切り札として挙げられるのが、新幹線を中心とした鉄道整備(p104)

    ・明治9(1876)の人口ベスト15と現在を比較すると、和歌山・徳島・富山・金沢・熊本・鹿児島・函館は、政令指定が受けられなくなった、これは相対的に衰退したことを意味する(p105)

    ・新幹線の整備投資が行われた都市は発展し、そうでなかった都市は衰退したのが、日本の近現代の歴史である(p110)

    ・函館ー札幌間は300キロも離れていて東京と名古屋ほどに離れていて、現在は3時間以上かかるが、新幹線ができれば1時間程度で結ばれる(p114)

    ・九州方面は東日本大震災の翌日に、博多ー熊本ー鹿児島の九州新幹線が開通した(p115)

    ・国債の問題を論ずるときには、「政府はどんな対処ができるか」という論点がすっぽり無くなっている(p138)

    ・金融政策(政府が国債を販売と同時に、日銀が購入)が採用可能である限り、日本国政府は一般の法人や世帯よりも破綻に至る陥るリスクを格段に低く抑えられる(p140)

    ・アメリカのFRBは、リーマンショック後、たった2年で日本円にして235兆円もの大量のおカネを、米国債を購入することを通して市中に供給した(p146)

    ・古い体質を変えなければ成長はありえないということは以下の2点で現実と乖離している、1)高度経済成長は古い体質から生まれた、2)行政改革、構造改革、事業仕分けは古い体質を改革しようとしたが、その結果、日本は一斉成長しなかった、いずれも需要を減らして供給を増やすデフレ促進策だったから(p156,159)

    ・円高基調の最も根本的な原因の一つがデフレ、このデフレこそが日本企業の海外移転と国内産業の空洞化の根本的な原因となっている(p194)

    2012年9月30日作成

  • 「救国のレジリエンス」、この本を一言で表すのなら、正に題名通りの本である。

    公共投資にはムダも存在するが、耐震化、緊急時を想定した地方への高速道路の建設等の「必要な」公共事業も存在する。日本では平成の関東大震災や東南海地震等の災害が懸念されており、同書ではそれらの災害へ対処するための予算は10年間で約200兆円(1年間で20兆円)であると見積もっている。
    現状では、10兆円にも満たないまでに公共事業予算は減少している。マスコミから批判されている公共事業、その存在意義について考え直す必要があるのは明白である。

  •  前向きな本。日本にはまだ未来はある。

     日本が現状を打破するためには、一人一人の国民がしっかり、真実を知り、そこから自分自身でしっかり考え判断する力を養っていく事なんだと思う。
     
     

  • 亡国のイージスにかけて?
    日本は災害国なんだから対策きちんと。あと北陸新幹線はできてほしい。
    東京に行くと分からないけど地方の都市間移動とか本当に不便。一局集中は危険なので強靭な国を今からつくりましょうという話だと。同意。日本みたいな国はどこにもないんだから中途半端に他国のマネはダメ。

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

京都大学大学院工学研究科教授、1968年生。

京都大学卒業後、スウェーデンイエテボリ大学心理学科客員研究員、東京工業大学教授等を経て現職。

2012年から2018年まで安倍内閣・内閣官房参与としてアベノミクス、国土強靱化等の政策アドヴァイスを担当。

2018年より保守思想誌・『表現者クライテリオン』編集長。


「2024年 『「西部邁」を語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤井聡の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャレド・ダイア...
三橋 貴明
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×