歌うクジラ 上

著者 :
  • 講談社
3.03
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本棚登録 : 1350
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062165952

作品紹介・あらすじ

2022年のクリスマスイブ、ハワイの海底で、グレゴリオ聖歌を正確に繰り返し歌うザトウクジラが発見された…。そして100年後の日本、不老不死の遺伝子を巡り、ある少年の冒険の旅が始まる。

感想・レビュー・書評

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  • 話自体は面白そうなのに、とんでもなく読み進め辛くてびっくり。。
    こんなことは初めてだけど、上巻で諦めた。

  • 近未来、「歌うクジラ」から採取された遺伝子により、不老不死が実現した。
    日本の孤島で生まれ育った一人の少年が、父親から託された使命を果たすため旅に出、世界の真理を目の当たりにする。


    海洋生物とか好きで、神秘的なタイトルに惹かれて買ったのですが、クジラは一切出てきませんでした(笑)。まさかのSFものです。
    SFものはあまり読まないのですが、この作品はSience FictionというよりSocial Fictionといった感じで、かなりリアルな時代設計がなされています。
    ストーリーや登場人物に思い入れはありませんが、SFの面白さを教えてくれた本ということで。


    時代設定について触れながら、面白かった点について書いていきます(独自の解釈が入ったりするので著者の意図とはずれるかもしれません)。ストーリーの核心には触れませんがネタばれ注意です。
    労働力の低下により、大量の移民を受け入れた日本。その後移民の人口増加により、国民主権が脅かされると危惧した政府は、移民の隔離政策を行い、結果、移民による内乱がおこった。
    この移民の話す言葉が非常に理解しにくいです。理解しにくいことを面白いというのは変かもしれませんが、非常に脳が刺激されます。
    一応日本語なのですが、意味が伝わる程度に助詞がいじってあります。


    また、日本人の間においても、地位によって住み分けを行い、犯罪者とその子孫は孤島に隔離という政策をとる。さらに、経済効率化運動というものが行われ、伝達に不必要と思われる敬語や感情といったものが排斥される。
    この経済効率化運動のために日本人の話し方もおかしくなっており、ところどころ理解しにくくなっております。さらにこの運動は人間から想像力を奪い、想像力を失った人間とはこんなにも哀れなのかと感じました。想像力があるからこそ、人間は他の動物より優位に立てたというのに。このあたりも考えていくと非常に面白いかもしれませんね。


    あとは、「理想は実現するものではない」「探し物はなくした場所でしか見つからない(正確な引用ではない)」などなかなか深い言葉も多数出てきます。


    私のすすめる見どころとしては以上でしょうか。是非是非どうぞ。

  • こういう退廃的な近未来の物語とかたまりませんなぁ。すきすき!!
    主人公を他の登場人物と隔てるポイントが敬語だってのもたいへん良いです。
    助詞のおかしな言葉でもちゃんと意味は伝わるし、会話が「」使わずに地の文と全く並列なのに誰が喋っているのか書き分けられているし、何気無い部分のテクニックは素晴らしい。

    物語の進み具合があんまりゆっくりなので、これあと1冊で終わるのか?と思ってしまうのですが下巻楽しみです。

    11.03.07

  • なんか・・・
    楽しみにしていたわりに、というのが本音w
    中盤にヨシマツが出てきて凄く面白くなったのに
    ラストがイマイチ

  • 村上龍氏の新作はiPadで先行発売されて話題になりましたね。
    人類がついに不老不死のSW遺伝子(Singing Whale)を発見した22世紀の世界の話です。
    SW遺伝子とは、限られた一部の選ばれた人間に応用されました。
    その反作用として犯罪者には、老化を促進させる方法が取られました。
    人々の徹底的な住み分けがなされた日本で・・・・・

  • 思想やラ国家やら、様々なものを巻き込むsw遺伝子と、主人公の物語。

    盛り込み過ぎて読むのに体力を使う。
    描写がやたらと生々しい。

  • 設定難しい

  • 近未来の日本。不老不死の遺伝子を巡る少年の冒険。
    ずっと合わなさそうだから敬遠していた村上龍だけど、設定がこれなら読めるんじゃないかと思ったのだけどダメだった。

    まず、近未来の設定上、食事に薬が入っているため、主人公といえど感情が欠落していて淡々としているのに、これでもかというほどエログロがここかしこで炸裂。
    (エログロポップって村上龍の代名詞だったっけ……と思い出す)

    文化経済効率化運動によって、効率的でないと見なされたさまざまなものが廃止され、そこに敬語が入っているのですが、それに反対した人たちの話す言葉は、意図的にてにをはをずらしてあるため、非常に読みにくい。(校正大変だったろうな)
    前半ずーっと反乱軍の人といるため、主人公もそのように喋りだしてもう読むのが苦行。
    ネット小説のてにをはがおかしいのとは別のレベルの作り込んだ違和感なので無視できなくてしんどい。
    そこ無理矢理読み飛ばしても状況はエログロ。
    辛い。
    近未来が今と同じ言葉遣いなわけない、という着眼点は、昔大原まり子の作品でも読んでそっちは大丈夫だったんだけど、今回のは突き詰めてあるからかな。

    挫折しそうですが、下巻も一緒に借りてあるのでなんとか頑張ってラストまでいくつもり。
    そしてサヨナラの予定です。
    例えるならば、紐靴好きでもピンヒールの編み上げブーツはよう履きません、ということなのです。


    カバーイラストレーション / 柳 智之
    表紙オブジェ / 青木 美歌
    表紙撮影 / 高橋和海
    装幀 / 鈴木成一デザイン室

  • クジラが好きで、表紙と説明書きにクジラが出てくるからずっと読んでみたいと思っていた。図書館で目につき、借りて読んでみたが、言葉を操る文学的魅力がないし、プロットもつまらなさすぎる。時間の無駄だと思い、新出島を出るあたりで読むのをやめた。この後面白くなったのだろうか?

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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