影法師

著者 :
  • 講談社
4.16
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本棚登録 : 1315
感想 : 256
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062162241

作品紹介・あらすじ

光があるから影ができるのか。影があるから光が生まれるのか。ここに、時代小説でなければ、書けない男たちがいる。父の遺骸を前にして泣く自分に「武士の子なら泣くなっ」と怒鳴った幼い少年の姿。作法も知らぬまま、ただ刀を合わせて刎頚の契りを交わした十四の秋。それから-竹馬の友・磯貝彦四郎の不遇の死を知った国家老・名倉彰蔵は、その死の真相を追う。おまえに何が起きた。おまえは何をした。おれに何ができたのか。

感想・レビュー・書評

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  • 切なくも悲しい影法師。理不尽な侍世界で出会った下士と中士の子 二人の少年が変わらない友情を誓った。何事にも秀でた彦四郎と努力型の勘一、何故か大成したのは勘一で不遇な境遇となったのが彦四郎。受け続ける愛と与え続ける愛が交錯して、そのことが最後に明らかになるけど時代物特有の効果的な仕掛けに泣かされました。かつて読み続け嵌まり続けた藤沢周平さんの本と似た印象を持ちました♪ 時代物も上手い百田尚樹さんですね、面白かった。

  • ううっ…

    目が痛い。

    昨夜。この物語の読後、
    私は、どんだけ泣いていただろう?

    そして、どうやって泣き終えたのか?

    物語の主人公名倉彰蔵殿と共に、
    声を張り上げて泣かずには、どうやったって気持を抑える事が出来ない・・・

    <主人公>
    と、言えば、
    仏教でいう、
    >己の人生の主人公は己以外の何者でもない。
    周囲に振り回されることなく、本来の自分をしっかりと見据えなさい。

    と、いう教えが頭に浮かぶ。

    そして、
    その通りだ、と思っていた。

    だが、
    類稀なる才能に恵まれながら、
    人望は熱く、志も高い優れた人物でありながら、
    彼の竹馬の共『磯貝彦四郎氏』は、
    何故?
    己は影となり、
    捨て駒となって、
    他人の人生の成功の立役者になってしまったのか?

    凡人である私なぞには到底理解できないし、
    実際、
    そんな生き方をしたせいで、哀れなる末路へと転落してしまった彼。

    いや、転落ではないか。

    そして、
    哀れ、でもない。

    彼は彼の為だけの人生を歩まなかった。

    だが、
    彼と親友の彰蔵氏、そして、彰蔵氏が手掛け、成功した大坊潟の新田により生きる権利を得られたたくさんの農民達と共に歩んだ人生に
    悔いの残ることなどひとつでもあるもんか。

    いま、思い出してもまた涙が零れてくるが、
    心の底からは、逆にあたたかいものが次々溢れてくる。

    いつか、是非映像で観たい物語だな、と思った。

  • 通常本を読むのは電車の中が多いのだけど、この本は電車の中では読めなかった。何故なら涙が溢れてしまうから。永遠の0も同じ理由で電車では読めなかったけど、影法師の素晴らしさは私の中では永遠の0を越えました。時代小説が苦手と言う人もきっとのめり込んで目頭を熱くするでしょう。

    • ocicatさん
      一揆の描写も涙なくして読めませんでした。
      一揆の描写も涙なくして読めませんでした。
      2013/04/28
  • 時代小説は苦手だ。でも、一度入り込むとこれほど面白いものはないのかもしれない。なぜなら、今の時代とは違って、その登場人物は死と隣り合わせで生きているから、熱い。とにかく考え方、生き方が熱い。時代小説が苦手という人も、この『影法師』は是非とも読んでいただきたい。そして大いに感動してほしい。
    内容は敢えて書かないでおきたい。ただ、彦四郎の生き方に愕然としてもらいたい。そして、この感動を味わってほしい。

  • 影法師。
    このタイトルが表すとおり、主役は彦四郎だと思う。
    けれど、彦だけではない。
    万作も自分の命を差し出すことで、村人を救った。
    そんな生き方、わたしにはできないだろう。

    知人にすすめられて図書館で借りました。

    文武両道、将来を約束されたも同然の彦四郎がなぜ逐電し、うらぶれて死んでいったのか。
    竹馬の友の勘一の回想を主体にして物語はその一連の謎の真相へと、徐々に近づいていきます。

    普段は読書のジャンルが被ることがない父へ、
    翌日さっそく購入した文庫をプレゼントしました。

  • あの『永遠の0』と並ぶ感動傑作。

    過去ログ。

  • ものすごい本に出会ってしまった。それが読み終えてまず最初の感想。
    時代小説は普段全く読まないけれど、永遠の0やボックス!でかなり印象に残っていた作者さんだったので、とりあえず手にとってみた。試しにページを開いてみたら、あまりの面白さに数時間で読み終えてしまった。書き手が凄ければジャンルなんて関係ないんだと、今日初めて知った。
    2人の少年の、全く正反対の人生。言うなれば陰と陽。人の為に自分を犠牲にすることなんて出来るだろうか。人柱となることが出来るだろうか。ラストは主人公・勘一の想いにシンクロして涙腺が大変なことになった。陰の生活を送った彦四郎と陽の生活を送った勘一だけど、実際の太陽は彦四郎だったんだなぁ。彦四郎がいなければ勘一は生きていなかった。深い。

    • ひとしさん
       私も普段は時代小説があまり得意ではなく、それほど読まないのですが、これは別格に面白かったです。
       それと、Qさんは評価が潔くていいですね...
       私も普段は時代小説があまり得意ではなく、それほど読まないのですが、これは別格に面白かったです。
       それと、Qさんは評価が潔くていいですね(笑)
      2017/09/01
    • Qさん
      >>ひとしさん
      このお話は時代小説であることを忘れてしまうくらい、グイグイ引き込まれましたね。本当におもしろかったです。

      評価や感想...
      >>ひとしさん
      このお話は時代小説であることを忘れてしまうくらい、グイグイ引き込まれましたね。本当におもしろかったです。

      評価や感想は読み終えたその時の気持ちそのままぶつけています(笑)
      少しでもどなたかの参考になればこれ幸い…と思いつつ…。

      コメントありがとうございました(^O^)
      2017/09/01
    • ひとしさん
      Qさん、こちらにコメントいただいてましたね。ありがとうございます。気づくのが遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。Qさんのレビュー十分参...
      Qさん、こちらにコメントいただいてましたね。ありがとうございます。気づくのが遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。Qさんのレビュー十分参考になります!(笑)
      2017/09/05
  • 「ないたあかおに」みたいでござる。

  • 【感想】
    百田さんの作品は、2冊目でしたが、とても楽しかったです。ヒヤヒヤしたり熱い友情を書いた感動ストーリーで、どんどん引き込まれて、すぐ読み終えてしまいました。
    時間を忘れるぐらい、夢中になりました。

    【あらすじ】
    武士の階級が低い勘一、幼い頃身分の高い武士に対して膝を着く件で、晴れ着姿の妹の下に敷物を敷いた事で、喧嘩になりお父さんが殺された。その為、貧乏な環境の中でも剣、家を少しでも食べていけるよう、プライドを捨てて、竹細工に励む。
    学校で下士と見下されながら、負けん気で勉学に励み、剣でも仕合と仕打ちで認められ、
    努力や勤勉な性格と、国を豊かにする強い気持ちで土地を開拓した成果で筆頭国家老へ大出世したサクセスストーリー。
    その裏で、、、

  • 人物設定もストーリー展開もうまい。
    作者自身がツイッターで「自分でも泣いた」旨の発言をしているように、読んで涙する人がいるのもわかる。
    ただ、というか、それだからこそあざとさが感じられ、この譬えがほかの人にわかるかどうかわからんが、武田鉄矢氏や西田敏行氏主演の泣かそう泣かそうとしている作品群と同じような匂いがして興ざめた部分もある(浅田次郎作品も同じ匂いがする。嫌いじゃないけど)。
    自己犠牲ものであれば、たとえば自分はシューゴロー山本の『樅の木は残った』のラストのような衝撃と切なさ、やりきれなさのほうがじわるかな。

    うまい作家だと思うので、友人知人にまたほかの作品を推薦されたら読んでみようと思う。

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著者プロフィール



「2022年 『橋下徹の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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