つづきの図書館

  • 講談社
4.12
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本棚登録 : 866
感想 : 178
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062160100

作品紹介・あらすじ

「本をさがすんですよね。」「いやいや。本をさがしてもらいたいのではない。青田早苗ちゃんのつづきが知りたいんじゃ。」「本ではなくて、青田早苗ちゃんのつづきですか?」桃さんには、さっぱりわけがわからない。田舎の図書館でおこった、不思議なできごとに、司書の桃さんはいやおうなしに巻きこまれてしまいますが…。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公は司書さん。裸の王様、瓜子姫の天邪鬼…絵本を読んでくれた子供たちの続きが気になる登場人物たちが出てきてしまい…、
    今まで私が読んだ絵本の登場人物も気にしてくれたら嬉しい。
    悲しいとき、寂しいときに本当に出てきてくれたらいいのに。

  • 以前から気になっていた本です。
    私もたくさんの本と出会ってきました。
    子供の頃から本は大好きで、
    何度も読み返して大切にしていた本も、年齢を重ねたり、引っ越ししたりで無くしてしまった本もあります。
    そんな大好きだった本のキャラクターが、私がどうしているか心配して会いに来てくれるなんて
    夢のような素敵なお話です。
    わくわくしながらも
    最後、寂しさや、温かさで涙が出てしまいました。
    また大好きな本が一冊増えました。

  • 柏葉幸子さんの作品を読んで、いつも思うのは、ファンタジーと、現代社会での不器用に生きる人たちとのバランスが、本当に絶妙だということです。

    それから、飴と鞭のさじ加減の良さといいますか、この加減のイマイチな方は正直、私苦手なのですが、柏葉さんの作品はそれがやさしく感じられて、物語の雰囲気にも良い影響を与えています。

    また、肝心のファンタジーの設定も面白くて、あらすじを読んで何のことやらと思う方もいらっしゃると思いますが、「霧のむこうのふしぎな町」を好きな方なら、おそらく問題なく楽しめると思います。

    ちょうど、人間関係も似通ったものがあり、「霧の~」の、リナとピコットばあさんに対して、今作は、「桃さん」と「杏(あんず)おばさん」です。

    ただ、リナは小学生でしたが、桃さんは40代の人見知りで離婚歴が一度あり、現在は一人暮らしで、田舎の小さな図書館の司書として、新たな一歩を踏み出そうとするところ。

    児童書にしては、主人公の渋さが気になるかもしれませんが、教えてくれるのは、「霧の~」とよく似ていると思います。

    不器用だけど一生懸命に生きてきた。しかし、自信が持てない。そんな桃さんが、誰かの役に立てることを知ることから始まって、誰かを好きになり、そうすると毎日が楽しくなるという、当たり前のようでいて、人生でこう思えることって、実はなかなか少ないのではないでしょうか。

    そういった大切なことを、色々な方(方というか…ネタバレで書けないのがもどかしい)から教わっていく中で、実は桃さんと、憎まれ口ばかりの杏おばさんにも共通点があったことには、これまでの不器用な生き方も肯定してくれるような感動を覚え、愛や喜びをいただくことに、なんと励まされることかと、素直になれる自分がいました。

    また、序盤から散りばめられた手紙の謎も感動的だし、桃さんを楽しませながら(世話を焼かせるとも言うが)、心配してくれる仲間たちもすてきで、お子さんというよりは、むしろ桃さんと同年代の大人の方が読まれたほうが、きっと胸にくるものがあると思います。

    かく言う私も同じ思いで涙したので、この評価です。

  • この味のある絵は、山本容子さんだったのか。
    この物語の世界観を絶妙に描いている。

    わけあって田舎の図書館の司書となった桃さん。
    物語から抜け出してきた裸の王様をはじめ、あの物語のキャラクターたちが次々と桃さんの前に現れる。

    本が好きな人なら、一度は夢見る世界。
    私も桃さんの気持ちになって癒された。

    小学校高学年、中学生むけのようだが、癒しを求めるおばさんにもぴったり。

  • いい本だった。
    絵本の主人公達が自分を読んでくれたその人のその後が知りたいと現れる。
    図書館で働き始めた桃さんがあたふたしながら、その人達を探し始める。引っ込み思案だった桃さんもいつの間にかお母さん目線。
    杏おばさんもまた素直になれない。でもずっと桃さん一家を気にかけてた。
    最後は悲しい別れがあるけど、ハッピーエンドで主人公達も杏おばさんも安心したと思う。
    何とも可愛い世界だった。

  • とてもおもしろかったです!

    地元の図書館で働き始める桃さんと、読者の続きが気になっている物語の登場人物とが繰り広げる優しいファンタジー。

    桃さんとはだかの王様やあまのじゃくとのやりとりがおもしろくて読みながら時々噴き出してしまいました。
    みんな桃さんのことが好きなのがかわいかったです。王様、狼、あまのじゃく・・・と同居人が増えて賑わっていく山神家が楽しそうで微笑ましかったです。
    王様たちと「つづき」を探す中で、桃さんは生き生きしてゆき、自分でも驚くほど行動的になっていきます。

    王様たちそれぞれが知りたがっていた「つづき」は思いのほか現実的に家族について触れられていて、悲しかったり、切なかったりもするのですが、桃さんと王様たちが見守る中、最後には優しい続きが見られて安心しました。

    ピコットばあさんほどではないですが、少し意地悪な杏おばさん。でもただ不器用なだけで、本当はとても優しい人でした。

    最後に向かっていくお話の展開が素晴らしくて、涙が止まらなかったです…。
    最後の最後、桃さんの幸せな「つづき」の最後の仕上げとして王様たち本当にいい仕事してくれました…。

    読んだ本の登場人物が読者の続きを知りたがっている、という考えがとても素敵で、もし本当にそんなことがあったら…と自分に置き換えてわくわくします!
    私のつづきを気になっている人がいたら嬉しいなぁ…。と思いながら、小さい頃通った図書館に足を運びたくなりました。

    挿絵もかわいくて、山本容子さんの作品も探してみようと思いました。

    • 九月猫さん
      yamatamiさん、こんばんは♪

      わあ、お読みになったのですね。
      お誘いしておきながら、そのままになっているワタシ・・・(^^;)...
      yamatamiさん、こんばんは♪

      わあ、お読みになったのですね。
      お誘いしておきながら、そのままになっているワタシ・・・(^^;)
      yamatamiさんのレビューを拝見して、
      ああやっぱりわくわく素敵なお話なのね!と、読むのが楽しみになりました。
      ありがとうございます♡
      2014/03/13
    • yamatamiさん
      九月猫さん、こんばんは!

      コメントをありがとうございます!
      わくわくでとても優しいお話でした~(*^^*)

      人に読みませんかと...
      九月猫さん、こんばんは!

      コメントをありがとうございます!
      わくわくでとても優しいお話でした~(*^^*)

      人に読みませんかとお誘いいただくことってあんまりないので、嬉しくていそいそと読み始めてしまいました(*^^*ゞ(笑)

      九月猫さんもお時間ができましたら是非是非お読みください♪
      2014/03/13
  • 子供の頃、何であんなに大人びた本ばかり読んでたんだろう。あの頃にもっと良質な児童書を読んでおけば良かったな。この本もそんな本。でも、まさか依頼主が中のひとだったなんて。

  • この真っ赤な表紙と装丁にも意味があるの。
    読み終えてから気づいて、ぐっときたなあ。

    わたしたちは「本の続き」が気になるけれど
    本の中の登場人物も、「本を読んでいる人の人生の続き」が知りたくなって、本の中から飛び出してきてしまう…というところから、はじまるストーリー。

    物語の冒頭で、
    本の中からはだかの王さまが飛び出してくるあたり、
    楽しい児童書だ!と思っていたのに、
    まさかのまさか、いろんな家族と、主人公の桃さんの成長と感動のストーリーでした。


    設定はとても面白かったけれど
    主人公が40代の女の人だったり、
    家族のあり方、お話がちょっと大人向けかな、とおもうので高学年〜だなあ。

  • 『つづきの図書館』  
               柏葉幸子 作  山本容子 絵 講談社

    桃さんは40歳を過ぎた一人暮らしのバツイチ女性。わけあって、小さい頃過ごした町に引っ越す事になり、町の小さな図書館分館で、何とか司書の職を得た。


    「いやいや、本のつづきを探すんじゃない。青田早苗ちゃんのつづきが知りたいんじゃ」「本ではなくて、青田早苗ちゃんのつづきですか?」桃さんにはさっぱりわけがわからない。

    何しろ書架のむこうから、声をかけて来たメタボな男性は、パンツ一丁の裸!彼は『裸の王様』の絵本から抜け出して戻れないらしい。

    「司書は図書館の本のめんどうを見るのが 仕事じゃろ。たのむぞ」と言う王様の屁理屈に押されて渋々ながら、人探しをする桃さんが、王様だけにとどまらず、次々と現れる絵本の登場人物?の気になる「つづき」を探して行くのがこのお話の大きな流れ。

    懐かしい絵本の題名が幾つも出てきて、小さいころの想い出が蘇り、意外とチャーミングな王様を始め、絵本の仲間達と桃さんの共同生活はかなり面白い。

    だけど…。このお話は、実はかなりヘビーだ。桃さんはバツイチな上に不器用で人付き合いも苦手だし、暮らしに潤いが無く、人生の運に見放されている感じが色濃く漂う。
    絵本の住人が気にしている子供たちにはそれぞれ事情があり、親の離婚、死別、再婚、養子縁組、色々な問題が絡んでくる。そして、どの子供にも、気にかけながらもその思いの手が届かなかった大人の女性が存在している。

    桃さんはと言えば、物語の仲間と家族の様に暮らしながら、少しづつ生き生きしてくる。そして町の図書館勤めの日々を「たった一人の大切な人」に向けて毎日手紙に書くが、その手紙を出す様子はない。それは一体誰なのか…?

    最後の人探しで、全ての謎が解け、図書館の桃さんに来かわあった時、思わずこみ上げるものを押さえることが出来なかった。

    これはれっきとした児童書で、児童室にあり、前々から読みたかった本だった。作者は「霧の向こうの不思議な町」でかつて夢中になった柏葉さんだし、装画も挿絵も大好きな山本容子さん。夢の様なコラボ作品。なんて贅沢な児童書!そう思ってドキドキしながら読み始めたが、本は私の予想をはるかに超えて、言葉ににならない子供のこころを表現しているのと同時に、大人の女性の心の癒しの物語だった。

    この本が、人生に疲れて、自分に自信が無くて、眉間にシワを寄せながら生きている一人の女性の再生の物語だなんて、誰が思うだろう。しかもこんなお茶目な裸の王様や、狼や、絵本の住人の「その本をよく借りた子供のつづきの話」を探すことが、冴えない中年の桃さんを少しづつ変えて行くなんて。

    この本は「図書館」と名のつく本に灯りに誘われる蛾の様に惹かれる私が、面白そうと目をつけていた本だが、いい意味で大きく裏切られた。

    児童書だけれど、大人の女性に是非読んで欲しい。稀に見る児童文学の枠を超えた傑作だと思う。


                         
                                            

  • 何かで薦められていたのを見て、ストーリーが気になって図書館で借りました。
    私もすごくグッときた本は、本の中の登場人物の続きを空想してしまうんだけど、これはその逆で、絵本の登場人物たちが、読み手の続きが気になって絵本から出てきてしまうというもの。

    ジャンルでいうと児童文学なのかな??と思いながら読んだんだけど、想像より大人っぽくて、すごく素敵な話だった!
    最後、いろいろ繋がって、手紙の謎もわかって、温かい気持ちでウルウルした。

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著者プロフィール

児童文学作家。岩手県生まれ。東北薬科大学卒業。大学在学中に講談社児童文学新人賞を受賞し、『霧のむこうのふしぎな町』でデビュー。ファンタジー作品を多く書き続けている。『牡丹さんの不思議な毎日』で産経児童出版文化賞大賞、『つづきの図書館』で小学館児童出版文化賞、『岬のマヨイガ』で野間児童文芸賞受賞、『帰命寺横町の夏』英語版でバチェルダー賞受賞など受賞歴多数。


「2023年 『トットちゃんの 15つぶの だいず』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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