虚夢

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 511
感想 : 120
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062147415

感想・レビュー・書評

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  • とても難しいな。

    被害者の方や遺族の気持ちはもちろんのこと、精神疾患者が治療を終えて
    自分の犯罪に向き合った時
    やはり刑に服した方が心が軽いのではないかと思う。すぐに再発しそう。

    ただ、やはり
    精神疾患者が犯罪者とならず無罪なることより
    精神疾患者を演じることで無罪になることの方が怖いから
    どんな局面でも人を殺めてしまったら(正当防衛も)刑を受けるべきだと思う。

    どんな人間でも命は尊い。

  • 最近一番好きな作家。

    今回は憲法38条の精神疾患者の犯罪について。精神疾患者なら殺人を犯しても罪に問えない。それは今後も継続していくべきなのか…。私は反対派だったけれども、もし自分や身内が精神疾患者になったらと思うと…。とても考えさせられる。

  • 通り魔殺人事件で娘を殺され、その犯人は心神喪失者だった。刑法三十九条により保護される犯人、何の情報も与えられず、いろんな思いをぶつける所さえない被害者家族。色々と考えさせられる重いテーマだけど、文章はわかりやすく読みやすい作品でした。

  • 秋葉原の通り魔事件から、ちょうど3か月経った今日、読み終わった連続殺傷事件の話。
    事件の後、本屋で平積みになっていたところも多いから、ご存じの方も多いかも。
    物語の中で、犯人は12人の人を次々に殺傷します。
    しかし、犯行時、心神喪失と言うことで不起訴・・・
    遺族の思いは、どんな悔しいのでしょう・・・
    そんな遺族の苦しみを、淡々と描いている作品です。
    殺人を殺人で復讐することは認められてないけど、つい加害者家族に感情移入してしまいがちです。
    この人の作品は、「天使のナイフ」では少年犯罪、「闇の底」では幼女への性犯罪をテーマにしています。
    今回は心神喪失の通り魔。
    次はどんな社会的事件の死角を突いてくる作品を発表するのでしょうか?

  • 人生に保険をかけることで、この熱い思いがしぼんでしまうように感じた。
    やりたいことがあってもできない人がほとんどでしょう。できる可能性があるなら絶対にやったほうがいい。
    誰だってそんなに強くない。だけどおまえは生きている。大丈夫だ。人間として最低限の強さは持っている。

  • きっと私もお母さんと同じことをする。

  • 3.7/472
    内容(「BOOK」データベースより)
    『愛娘を奪い去った通り魔事件の犯人は「心神喪失」で罪に問われなかった。運命を大きく狂わされた夫婦はついに離婚するが、事件から4年後、元妻が街で偶然すれ違ったのは、忘れもしない「あの男」だった。』

    冒頭
    『公園は白い雪で覆われていた。陽の光に照らされた雪がきらきらと輝いている。
    佐和子は眩しい光景に目を細めた。
    「ママ、まっしろだね」
    娘の留美が大きく目を見開いている。』

    『虚夢』
    著者:薬丸 岳(やくまる がく)
    出版社 ‏: 講談社
    単行本 ‏: ‎330ページ

  • すごかった

  • なんともおぞましいプロローグです。精神病それも統合失調症で不起訴になった犯人を中心にした物語です。以外な結末と言えるほどのひねりはなかった。

  • ほんと、この人の書く話は切ない。幼い娘を殺し、妻に重傷を負わせた青年・藤崎は統合失調症だった。刑法39条で不起訴となる。別れた妻が藤崎を見たと言い、妻自身も統合失調症の病状を悪化させる。並行してキャバクラ嬢・ゆきの話が出てくる。仕事柄、統合失調症の病状も知っているし、多くの人が差別にも苦しんでいることも知っている。病気があっても犯罪をなかったことにする39条が悪いのだ。だから詐病も出てくるのだ。映画の刑法39条も思い出す。あれは名作だった。犯罪被害者の話もたくさん読んだから知っている。いや、推測できる。その辛さ。少年犯罪と同様。不起訴になって犯人の所在も明かされないのだから。舞台が北海道なのも良かった。寒い冬の景色。黒い霧に脅える藤崎も気の毒だ。こういう現実もあるということを、多くの人に知ってもらいたいものだ。

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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