- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062142144
感想・レビュー・書評
-
けっして世間を惑乱するためでなく、
諸々の凡庸から人知れず離反するために挙動の言動をとる男。
そんな日常を逸脱する、悲しく真剣な男の物語り。
「彼は、つまり、僕の言葉でいえば、世界の外、あの「アサッテの方角」に身をかわそうとしているのだ。」(121ページ)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
疎外、逸脱、アサッテとつながり、次第にアサッテに取り込まれ見失う。
通念から身を翻すには、まず通念に取り巻かれていないと翻そうにも翻し得ない。
哲学的で物悲しくて面白い。 -
作者の文章の上手さに感心してしまいました!
若さと爽やかさもある、そして意外性のある物語と思われます。
群像新人賞とのW受賞として話題になりましたが、
ニクイばかりの演出に、なんかグウの音も出ない感じ・・・。
こういう方がこれからもっと増えてくれればいいのに、と
思う反面、もう少し真面目な作品が生まれてくれればいいのになぁ
とも、思いました。
チューリップ男やテポンテュー、朋子さんの儚げなイメージなど
とてもイキイキとしている反面、難解な学術的な理解しがたい
謎が並び立ち、渋面の老いた顔も覗かれます。。。
これって一体なんなの?って感じです、素朴な疑問なんですけど、
答えてくれない、様々なイメージが重構造になっていて
(評義員の方達は入れ子とおっしゃってました)なんとも判定しがたいような・・・。
とにかく、文章はとても上手いと思いました!
それと、女房の詩には笑いを誘われてしまいました。。。
二人の童子のハナシって、なんか昔読んだ『日本霊異記』、
菅原道真の住まいの件が連想されます。
ほかにも夢魔が出てきたり、ライプニッツやその他哲学者の名が登場したり言語学や社会学・・・作者の方は相当な勉強家と思われました。 -
構成的には、少し粗雑さがあると思った。それでも、芯を貫く意識のようなものを感じました。それは、とても若者的な情熱のような感覚。それは日常的な感覚の逸脱を論理で迫るという大胆な試みである。一見、それは矛盾に見える。日常の感覚の逸脱を、日常の感覚の一つである論理で探るという手法には、それ自身に限界が見えているような気がする。それでも、そういう非言語の領域を、どこまで言語として炙り出されるのか。そういう野心は、とても哲学者的な意思を感じる。それもとても大きなエネルギーを持った熱意として、この文章を通して如実に伝わってくるものがあった。
-
読み始めはなんだか読みにくいなぁと思って少し我慢して数ページ読んでいたのに、ある瞬間からうゎこれおもしろい!って思いました!楽しみ!
-
おもしろすぎて一気読み。
レビュー見ると評価が二極化しててるのおもしろいなー。
チューリップ男最高。
「ポンパッカポンパ、ポンパッカポンパ。…へぇー、だって。」 -
実在する作家が実在する叔父(アサッテの人)のことを書いたエッセイという感じで、構成も内容もとてもおもしろかったです。言葉というものについて、またその意味や意義、生きるということについて、色々なことにハッとさせられました。ちょっと哲学的な小説。