ハルビン駅へ 日露中・交錯するロシア満洲の近代史

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062139984

作品紹介・あらすじ

満洲の中心都市・ハルビン。多くの日本人にとっては、伊藤博文が暗殺された都市として記憶されますが、それだけではありません。日本、ロシア、中国を中心に、波瀾の近代史を繰り広げた舞台でもあります。
始まりは、ロシアのアジア進出にあります。ロシアは東清鉄道を建設し、アジアの不凍港まで鉄道を開通させねばならなかった。その調査の過程で発見されたハルビンは、やがて東清鉄道建設の基地となり、ロシアの植民地となります。
ロシアの名物蔵相ウイッテの思惑、軍と鉄道会社の利害対立など、ハルビンの発見から植民、そして繁栄と混乱の社会と歴史が綿密に描き出されます。いわば、ヨーロッパとアジアの思惑、国際関係のるつぼとして、ハルビンはあったのです。
そこでは、中国人、日本人のみならず、ユダヤ人のコミュニティも形成され、「最も自由な国際都市」という側面もそなえてゆきます。
しかしながら、歴史は、このリベラルな都市を、そのまま許すことはありません。やがて日露戦争に突入。そして、中国による奪還と歴史はうねっていきます。
そうでありながら、では、鉄道建設で栄えたハルビンはなぜ、リベラルな国際都市の可能性を持つことができたのか。
本書は、ロシア側の未公開資料など、貴重な史料を広汎に発掘し、壮大なスケールで描く、満洲の近代史です。

加藤陽子(東大教授)さんが、「ロシアにとっての『坂の上の雲』が今ここに」と大絶讃! まれに見る本格歴史書を、堪能してください。

感想・レビュー・書評

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  • ロシアの外側のロシアとしての自由なハルビン、日本の外側の日本としての台湾。よしとするものはあれど、その土地は元は寒村。そういえば、荒畑寒村はどうやって号を選んだんだろう。ユダヤの強さ。

  • 日本語訳が最低!サッパリわからん、金返せ〜(ー ー;)

  • 山内昌之先生はちょい辛な書評を週刊文春にあげていらっしゃるようですが、その書評を読んで興味持ちました。
    買って読んでみようかと思います。



    「寛容なるロシアの極東政策」より

    …興味深いのは、ロシア人が開発した満洲とハルビンの魅力をこわした元凶が日本だという著者の見方である。「ロシア人が自制し、中国人も遠慮したのに、日本人は寛容さに欠けた」というのだ。
    …日本人の存在そのものが悪というより、その登場に孕まれていた両義性や二律背反性こそ、悪を含めた歴史の屈曲した進路や複雑性を解く手がかりであり、ハルビンが帝国主義の残照となる根拠になったのではないか。

    ふむふむ…。


    ウルフ先生…。飲んでしたたかに酔われた後、〆にラーメンを食べに行くと札幌駅某ビルの「ラーメン共和国」へ「リパブリーック!!ラーメン!!」と叫びながら向かわれた後姿を思い出します…。

  • ハルビンと言えば上海と並んで中国にありながら列強の租借地として西洋化したモダン都市のイメージだが、本著は帝政ロシアがアムール川「探検」からハルビンの地を満州開拓の拠点として設置してから1910年辺りまでを詳細な資料を元に描き出した「ロシアから見たハルビン」史である。
    アメリカ人のロシア史研究家からみた満州の歴史は、日清・日露といった今までの視点とは全く違った風景を見せてくれる。

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著者プロフィール

1960年ニューヨーク生まれ。ハーバード大学ロシア・フランス歴史・文学科卒。カリフォルニア大学バークレー校にて博士号取得(歴史学・政治学)
プリンストン大学で教鞭をとった後、ウッドロー・ウィルソン研究所国際冷戦史プロジェクトのディレクター・上級研究員を務める。2006年より、北海道大学スラブ研究センター教授。
専攻は、ロシア史、北東アジアの国際関係史。
主な著書に、To the Harbin Station ;The Liberal Alternative in Russian Manchuria,1898-1914(本書),Rediscovering Russia in Asia:Siberia snd the Russian Far East,共著に、The Russo-Japanese War in Global Perspective:World War Zeroなどがある。日本語訳された論文も多数。

「2014年 『ハルビン駅へ 日露中・交錯するロシア満洲の近代史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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