甲子園への遺言

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062129664

感想・レビュー・書評

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  • 『甲子園への遺言』は、平成16年7月1日、多くの野球人、生徒たちに惜しまれつつ世を去った、不世出の打撃コーチ・高畠導宏氏の生涯を描いたノンフィクション作品です。
    高畠氏は古くは南海の藤原、ロッテの落合、高沢、西村、そして最近ではイチローや田口、小久保など、数多くの名選手を育てたプロ野球界伝説の打撃コーチです。多くのプロ野球選手たちが彼に教えを乞い、30年にわたって第一線の選手たちの技術面と精神面の支えになりつづけました。
    ところが、その高畠氏は五十代半ばにして一念発起をします。通信教育で教職の勉強をはじめ、プロ野球球団のあまたの誘いを蹴って高校教師の道を選んだのです。そして、平成15年春、福岡県の私立筑紫台高校に新人教師として着任します。社会科教諭として教鞭をふるう一方、野球部を甲子園に連れて行きたいと考えたのでした。諦めや疲労感に支配される五十代に、なかなかできることではありません。ところが、長年の無理がたたったのでしょう。高畠氏の体はそのとき重大な病気に冒されはじめて……。
    こんなに凄い高校教師がいた!──高畠氏はなぜ転身を決意し、そして、そうまでして高校生たちに何を伝えようとしたのでしょうか。

  • 野球好き、スポーツ好きの方に是非是非読んでいただきたい。
    氣力の威力を示す生き方を最期までされ、受け継がれる美しさ、強さが描かれている。
    野球界の一部の変遷も分かり、読んでいてみるみる引き込まれていった。
    〝圧倒的な人間〟の生き様を感じられる。

  • 私は野球というスポーツに特別な興味も無いし、どちらかというと苦手な方です(「嫌い」という意味ではないので注意)。

    あるきっかけで NHKで放送されたドラマ「フル・スイング」を観て、その原作(?) となった本書を読んでみた次第。

    ドラマの方は結構脚本の手が入っている事がわかったけど、でも読んでみて良かった。

  • 大変感動しました。これがノンフィクション本か、という感じです。生きているうちに、高畠さんのことを知れて本当に良かった。最期まで明るく振る舞っていた高さんには、やはり「氣力」を感じました。頑張って生きようと思いました。皆さんも読んでみたらいいと思います。

    2016.6.22.

  • この話はプロ野球のバッティングコーチとして、我が敬愛する千葉ロッテの前身のロッテオリオンズを中心に活躍した高畠さんの自伝のような本です。
    少し前にNHKで「フルスイング」というタイトルでドラマ化もされましたが、私はこれを観ることができなかったので、前情報は無い状態で読みました。結論からいうと1日で全部読み切りましたが、久しぶりに超感動して最後は涙が止まりませんでした。
    私も野球をやっているので、野球の話が中心で話が入りやすかったこともあるでしょうが、高畠さんという方の夢をあきらめない者へ全力でサポートする姿勢に感激しました。コーチ時代は選手のためになることであれば何でもやってみるという創造力や研究心に本当に感銘を受けました。そこで、究極ともいえるべき子供の人間力の育成をすることが自分の使命と思い、バッティングコーチとしての確固たる地位を捨て、通信教育で教員免許を取得し、高校教諭に転身する生き様は格好いいの一言につきます。
    そこで、高校生の人間育成だけでなく、高校野球監督として甲子園で全国制覇するという目標をもって邁進するのですが、高校教諭になって1年余りで癌に侵され、かえらぬ人となってしまうのです。しかし、全国制覇の夢はかないませんでしたが、1年の高校教諭生活では持ち前のコーチィング術で野球部だけでなく多くの生徒や他の先生達に影響を与え、人間力の育成では成果をあげていただけに、本当に惜しまれる死となりました。
    氣力という言葉の大事さを子供たちにも是非、伝えたいと思う心に残る一冊でした。

  • 60歳を前にプロ野球のコーチから高校教師に転身し、甲子園出場を目指すも癌に倒れた高畠導宏さんの生涯をまとめたノンフィクション。
    年齢に関係なく、常に好奇心目標を持っていた高畠さんの生涯は見習わなければならないと思った。

  • 24・12・22 古橋
    この物語は一人の野球コーチの物語ですが、野球に限らず現代のスポーツ指導者に読んで貰いたい一冊です。
    コーチと言えばとかく技術のスキルやノウハウを伝え、どうしても均一化した指導になりがちだが主人公の指導はあくまでも個性を伸ばし自信をつけさせ、その選手の持っている潜在能力を引き出す所にあると思います。元々プロ野球に入ってくる選手は天才の集まり。そう言った選手の能力を信じ長所を徹底的に伸ばす事で選手にもやりがいを感じさせる。
    指導した選手の中には歴代の名選手や現在も活躍している選手が多々実名で登場し、興味深く読めました。
    晩年教師になり、そう言った指導方法で高校野球児を育て「行く行くは甲子園」の夢半ばで病魔に倒れた主人公の無念さは計り知れないでしょう。

  • 名打撃コーチだった高畠さんの生涯の伝記です
    このかたは元中日の監督だった落合さん・メジャーリーガーのイチロー
    などものすごい顔ぶれの門下生がおられる凄いコーチの方です
    そんな凄い方が晩年にあまたのプロ野球団からの誘いも断り
    50代半ばで高校野球の指導者をこころざし
    59歳で高校教師に本当になり甲子園を目指す物語です。

    のちにドラマ化もされています。
    色々と読んだ野球の本ではこの本が一番色々と読書の後色々と考えさせられました
    野球に限らずスポーツが好きな方には本当にお勧めです。

  • 覚悟に勝る決断なし

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著者プロフィール

作家、ジャーナリスト。1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、新潮社入社。『週刊新潮』編集部記者、デスク、次長、副部長を経て2008年独立。『この命、義に捧ぐ─台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社、後に角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。主な著書に『死の淵を見た男─吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)、『日本、遥かなり─エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』(PHP研究所)、『なぜ君は絶望と闘えたのか─本村洋の3300日』(新潮文庫)、『甲子園への遺言』(講談社文庫)、『汝、ふたつの故国に殉ず』(KADOKAWA)、『疫病2020』『新聞という病』(ともに産経新聞出版)、『新・階級闘争論』(ワック)など。

「2022年 『“安倍後”を襲う日本という病 マスコミと警察の劣化、極まれり!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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