メディアの支配者 上

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 131
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062124522

作品紹介・あらすじ

フジサンケイグループに突如襲いかかった堀江貴文と、必死に防衛する日枝久。しかし、その日枝自身、かつてクーデターによって鹿内宏明を追放した首謀者であった-。グループ経営の深奥に迫る。10年余りの取材、機密資料を渉猟した圧巻ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • フジサンケイ・グループの祖であったという梟雄・鹿内信隆が北海道・留萌から出てきて戦後の混乱期から日経連・事務局に入り、財界の放送局というべきニッポン放送を立ち上げ、フジテレビ設立、そして経営破綻した水野成夫の産経新聞を買収し、現在のグループを作っていった歴史は凄まじいという言葉と、ホリエモン・三木谷たちが同じ轍を歩んでいるに他ならないことを示しています。また反共・右派を売り物にする産経新聞とドタバタ喜劇路線のフジの産まれた背景も良く理解できるように思いました。信隆が死に臨んで養子・宏明を後継者に指名し、鹿内王国の安泰を確実にしながら、妻・英子の疑心から崩壊していく様子も迫力があります。産経⇒フジ⇒ニッポン放送という親子関係を遡って宏明を4日間で追放していくまでのクーデターの著述は小説をはるかに上回る面白さで一気に読んでしまいます。鹿内春雄未亡人の頼近美津子も義弟・宏明に財産を巡って提訴したというのですから幻滅ですね。箱根の森、上野、美ヶ原高原美術館が全て、鹿内信隆の美術オタクから来ていたというのも、複雑な心境です。今春のフジ・ライブドアの争い、そして今秋のTBS・楽天の争いの背景、また未来を予感させる実にタイムリーな読み物でした。しかし、鹿内一族をはじめ、産経OBの司馬遼太郎が鹿内宏明を口を極めて罵ったことといい、財界の鮎川義介・植村甲午郎・櫻田武、水野成夫、フジの日枝久、羽佐間重彰、興銀の中山素平も全て出てくる人達が腹黒、または小人物になってしまい、面白いとはいえ、かなり暗い本かも知れません。

  • 日枝さん、羽佐間さんが怖すぎ。そして、ドロドロ。

  • ふむ

  • フジサンケイグループが現在の形になるまでの経緯を事細かに記したノンフィクション。戦後の混乱期におけるメディアグループの成り立ちが興味深く、その後のクーデターの際の幹部職員の個々の動きなど実際に見たのか?というくらいリアルに感じる描写で書かれている。

  • 「巨怪伝」のフジ・サンケイグループ版と言った感じの伝記上巻。読売新聞の正力松太郎に対して、フジ・サンケイグループの鹿内信隆。上巻では前半に信隆死後のグループ内クーデターのお話。後半はフジサンケイグループの誕生物語の前半。ニッポン放送、フジテレビ、産経新聞という毛色の全く異なるメディアがなんで同じグループなんだか不思議だったけど、そのいきさつが分かりそうです。

  • マンションで読む。再読です。福岡で読んだ記憶がある。

  • フジサンケイグループの歴史本。
    読むに値する本。
    堀江を目の敵にした実は日枝氏も会社を乗っ取ったという歴史、そして鹿内氏すらも自分で会社を作ったわけではないという歴史。
    美術館をつかって支配していたグループだというのも驚愕。
    世の中いろんなことを考える人がいるものだ。

  • メディア系の仕事する人はおすすめ

  • フジサンケイグループの暗黒面が800ページ近くにわたって綴られた殆ど歴史書的な価値を持つ告発文書。個人的に気になった部分は

    1.鹿内信隆の出生の秘密→匂わせる。が、それがどう影響したのかが全く見えない。そもそもの教育資金どこから出たのかとか。
    2.宏明氏の扱い→全部読んでも解任騒ぎの理由が納得できない。多分まだクーデター側がしっかりしているので出せない話が多いんだろう
    3.著者の執念がどこから生まれているのか?→ジャーナリストの使命感なんて信じてないので正直なんで?と感じてしまう

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著者プロフィール

1960年生まれ。フリーランスジャーナリスト。月刊『文藝春秋』記者として「事件の核心」「黒幕」「悶死―新井将敬の血と闇」などを執筆。2000年に独立。フジテレビを支配した鹿内家の盛衰を描いた『メディアの支配者』(上・下、講談社刊)で講談社ノンフィクション賞、新潮ドキュメント賞をダブル受賞した。

「2019年 『二重らせん 欲望と喧噪のメディア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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