魍魎の匣

著者 :
  • 講談社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (1049ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062122542

作品紹介・あらすじ

匣の中には綺麗な娘がぴったり入ってゐた。箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物-箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物は落とせるのか!?日本推理作家協会賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 私の求めていたものは「文庫本」だったのだが、何故か、その「文庫本」を底本としてハードカバー化したものが、図書館のカウンターの奥からやってきた。本を閉じたときにページ部分に「魍魎」の姿が見える!著・京極夏彦、初めて読むその本のスタートは、そのようなものだった。・・・なんと分厚い。

    読み終わって、私はほっとしている。最後のほうなど、関口クンと同じく「こんな物語はもう、沢山だ!」という気分になっていたから。だが決して、この物語が嫌になったわけでも、最終的に嫌悪感が残ったわけでもない。
    600ページを超えてからの謎明かしにも、退屈はしなかった、ああ、ここはこうなるのか、こうだったのか、と、ほう、となる。
    京極堂サンの蘊蓄に関口クンと一緒に置いてけぼりくらいながらも、あまりにもな関口クンに、大丈夫かこの人・・・?と思ったものだ、病のことではなく。このひとのあほんだらぶりは、どうにかならないものか、物語を読み進めていくうちにも、そう思うようになる。

    焦らせずもったいつけずな絶妙な行間、シーンを違(たが)えても繋がる言葉と言葉、素晴らしい。
    少し残念だったのは、加菜子の「素性」に大体予想がついてしまったことか。嘘ばかり、悲劇の女優のような陽子が、最後には思いのたけをぶちまけるところ、頼子がただの夢見がちな少女ではなかったところには、人間味があり、好感が持てた。

    このお話は二作目ということだ、断然一作目が気になるところであるがこの読み応え抜群、しかし自分にとってはヘヴィな作風に、ついていけるかが問題である。

    • ahiruさん
      わあ、ゆつさんもお読みになったんですね…!嬉しいですー。
      本当、開けても開けても箱が出てきて「マトリョーシカかよ!」と思いました。
      謎が...
      わあ、ゆつさんもお読みになったんですね…!嬉しいですー。
      本当、開けても開けても箱が出てきて「マトリョーシカかよ!」と思いました。
      謎が解いても解いても終わらない…(-_-;)

      やはり誰しも「関口君、大丈夫か」ってなるんですね!
      常に心配。笑


      私は一作目のほうが匣より好きなので、もし機会があったらそちらもぜひ読んでみてください。夏にぴったりですよー。匣よりは薄いですし。ヘビィだけど。笑
      2015/07/03
    • ひふみくんさん
      こんにちは、ahiruさん。コメントありがとうございます!初・コメント!嬉しい!!

      実はというかなんといいますか、この本はahiruさ...
      こんにちは、ahiruさん。コメントありがとうございます!初・コメント!嬉しい!!

      実はというかなんといいますか、この本はahiruさんのレビューを拝見させていただいて、気になったので読ませていただいたのです。期待通り、本の内容も読みごたえ抜群で・・・

      関口クンは本当、大丈夫か、ですよね、私、こんなあけっぴろげに「あほんだら」とか書いちゃって大丈夫かしら・・・と思ったのですが、大丈夫なようですね(笑)

      読んでから、「二作目」ということに気づいた罠です。それによって弊害はなかったのですが。ahiruさんは、一作目がお好きですか。しかも夏にぴったりときた!夏が終わる前に、読めたらいいなー!教えてくださって、ありがとうございます!

      コメントありがとうございましたー!実はちょくちょくahiruさんの本棚のほう、覗かせていただいています。いやはや、どの本も魅力的で・・・本を、その本を、魅力を最大限に引き出せるというのはとても素晴らしい力だと思っています。ahiruさんの本棚、大好きですよー!
      同じ本、読んでいる事もあると思うので、また遊びにきてくださったら嬉しいです。
      2015/07/05
  • 「姑獲鳥の夏」を再読した勢いで、2作目も再読しました。
    バラバラに思えた物語が、思わぬ形で再構成されるのが面白かったです。特に後半の怒濤の展開は凄いです。
    とはいえ、バラバラな人体がテーマな内容なので、グロテスクすぎるところがあって、小説だから何とか読み通せましたが、映像化された作品だったら確実に無理だと思いました。(^^;

  • 私の、人生を変えた本。

  • 『それでも
     私は、何だか酷く
     男が羨ましくなってしまった。』


    匣に詰められた少女たちと幻想小説家・久保竣公、元女優・美波絹子、科学者・美馬坂幸四郎の物語。
    映画での、匣にみつしり詰められた少女の溜息のような透明な声と幸せそうに匣を抱えた雨宮がとても印象的でした。

  • ああ、読んだなあ。読みきったなあ。いま、そんな気分でいる。別に満たされたわけじゃなくて、むしろぽっかりとどっかに深い穴ができたような気分なんだけど、ちょっとした充足感が得られたのはたぶん、このページ数を読みきったからなんだろうな。
    なんだかすごくかなしくなった。でも、最後の匣と旅を続けるあのひとのことを思うと、しあわせなんだとも思った。そうやって、しあわせなんだろうと思ってしまう自分にもかなしくなった。しあわせになるには、人を辞めることだ、そういった京極堂の心境を鑑みたら、泣きたくなってきた。
    圧倒的に孤独で、さびしくて、どうしようもなくつらくて、でもそんな結末を選び取ることしかできなかったひとたちがあまりにもつらすぎる。そう思うことはただの自己満足でしかないのかもしれないけれど、ああ。
    真相に近付くにつれて、どんどんと「匣」の世界に入り込んでいった気分。あの場所に、わたしもいたのかってぐらい。

    (1049P)

  • 最初は風景?が全然イメージできないし
    なんだかくどいような感じがして
    読み進めにくかったが
    しばらく読んだら面白かった

    盲点をつかれてびっくりした

  • 初めてこの作家の本を読んだ。思ったほど恐ろしい内容ではなかったけど、話が長かった~。やたら妖怪の説明が長い。武蔵野連続バラバラ殺人の犯人は途中で分かってしまったのが残念。

  • 最果てでは現実を理解している、メンヘラな女の子は、嫌いじゃない。
    しかし長かった!

  • 匣が、ほうって言う話。

    ページ数多いけど、読み出すと止まらなかった。
    狂骨の骨は眠かったんだけど。

  • 6月23日  読了

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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