月冠の巫王

著者 :
  • 講談社
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062110556

作品紹介・あらすじ

縄文と弥生――ふたつの文明が衝突し、罪なき人々の血が流された時、運命の子らは、雄々しく起ちあがる!
『月神の統(す)べる森で』に始まる長編4部作、ついに完結!

ポイシュマたちの物語はこれで終わりです。かれらが築いたとした千年王国のありようは、私が世界はこうなってほしいと願う理想の提言でもあります。でも、たがいに認め合ったうえでの、話し合いと助け合いをルールとして動く社会というのは、けっして夢想の中の絵空事ではありません。
世界中の、現代文明とは遠い伝統的な生活を営んでいる人々の中などに、実例はいくらでもあるのです。また、先進国といわれる国の人々も、みんなそうした世の中を目指してはいるのです。
それなのに、戦争などが起きてしまう矛盾を、どう解決するのか。それは、私達みんなで考えることです。――「あとがき」より

感想・レビュー・書評

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  • 全編を通して、ヤタカが良い。アテルイや、ムラの長たちの高潔さ。異文化との衝突。共存への手探り。神やカムイ、人との関係。感謝の心を持って生きたい。

  • 完結編。大団円でよかった。

  • 良かった。堂々たる完結。

    ここにきてもホムタが影響するとは。
    いかに彼の存在が大きかったかということだ。
    彼の考えさえ変わっていれば違った道もあっただろうに、どこまでも悲しい結末だ。

    しかし、人がまだ朴訥で純粋であれた頃の結末に相応しい終わりだった。
    そして、その繋がりが千年守られたということが、素晴らしい。

    戦いの描写は圧巻で、大蛇の様などは臨場感が凄かった。
    神と人との世界のふわっとした描写が、少し気になるところではあった。

  • 20160120
    ポイシュマがどうこうで終わりにしないで、もっとその後をゆっくり書いてくれると嬉しかったなぁ。
    あと、アヤのクニでの戦いを、向こう目線でも描いて欲しかったなー
    なんか絶望的な感じとかかもみてみたかった。
    でもそうなると勢いがなくなるか…
    3巻が一番盛り上がったのかな。
    ホムタはいい感じに悪役でよかったです。

    私はこういう話が好きなので知っていたけど、あまり有名ではないから、長い割にそうでもないのかなと思ってたら、そんなことなかった。
    いいまとまり方だったと思う。
    共生なのかな、そうやって落ち着くのは。
    足るを知る、ということなんだろうね。

  • 助け合うのが当たり前で、嫉妬をせずに、うらまずに。常に前を向き、孤独に戦うことをしない。
    アテルイの大人らしさ、気高さに感涙
    ポイシュマのまだまだ不安定な部分は、しかたがないことで、でも彼の糧になり、アテルイのように成長させてくれることだろう
    ワカヒコの聡明さは智の王としてよい国を作れることだろう
    損得で考えない、思いやり、お互い様、ありがとう、欲をかかないこと。知略と卑怯は違うこと

    でも殺さない。自分を責めたりもしない。こう生きたい、と思わせてくれる人たちばかりだった。
    面白かったー!

  • シリーズ最終巻。縄文から弥生の過渡期に神話も絡めて「全く価値観の異なる者たちが遭遇した時の軋轢をどう乗り越えるか」「善き心と悪しき心のせめぎ合い」「自分の命を含め自然と他者を敬う気持ち」と言う事を始終訴えかけていた物語だったように思います。よい物語でした。でもこの時代、この土地でなくても、同じような事が繰り返されているのは人が進歩してないからでしょうか。そう思うと悲しいですね。

  • “犯してはならなかった罪を犯したモノたちよ その罪の重さを罰として背負い 罰の重さに引かれるままに落ちるべきところに落ちよ”

    落ちていったモノたちと残ったモノの境界はどこにあるのだろう。
    私にはホムラとポイシュマの間に線を引くことができない。

  • 2巻の終わりくらいからかなり引き込まれていった
    感じ。

    縄文?弥生の頃。
    日本書紀や古事記に消された(?)超古代神話を
    描いてみたらしい。なかなかおもしろかった!

  • 「月神の統べる森で」から始まった、月神シリーズも、この巻で終わり。
    ポイシュマはカムイの息子としてカムイらしい心のままオオモノヌシになったと私は思う。
    カムイらしい心とは、私たち人間が思う美しい心のありようとはちょっと違くて、善いことも悪いことも、鏡のようにその身にありのまま映し、泥が混じれば容易く濁ってしまうような─常は透き通っているけれども─水のような心ではないかな、と思うのだ。
    神様は菩薩様とは違う。祟る神様だっているわけだし。

    また、清濁併せのむワカヒコは、あくまで人間として立派な王となった。
    人間として、目指すべき高みにのぼったような。
    哀しいかな、人はきれいごとだけでは生きていけないからだ。

    確かにアヤの国との闘いは、一番の見せ場だろうけれど、
    闘いが終わったあとのエピソードは、慌ただしく駆け抜けたような印象。
    もう少し丁寧に描写してもらえたら、良かったな。

    それにしても、全編通しての東逸子さんの絵は、見ているだけで、心が潤っていく感じだった!
    この先、約500年後の「裔を継ぐ者」を読むのも楽しみだ。

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