古代史紀行 (講談社文庫)

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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061857735

感想・レビュー・書評

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  • まだ全部は読み終わってないんだけど、古代史の基礎知識がないもんだから読むのが辛い。
    遠い昔に習ったような、っていううっすらとした記憶はあるんだけど。
    古代史は資料が少ないから想像の余地があって楽しいってことなんだろうけど、当時の価値観が今とは全く違うんだろうなと思うとなにをどう想像していいのやら、って感じです。

  • 宮脇氏の一風変わった紀行文。カバーの草いきれを感じさせる向こう側に寺院の屋根と五輪塔が垣間見えるイラストがこの旅を象徴して良い。魏志倭人伝、古事記、日本書紀、続日本紀などの古代の記録を頼りに対馬~九州~近畿を巡り、必要に応じ韓国・中国、関東甲信越・東北と旅の範囲を広げる著者のこだわりに、いつもの鉄道紀行の匂いを感じる。しかし、古代史に対する造詣の深さを著者は謙遜していたが、出版社勤務時代に鉄道で日本中を巡ったことが、歴史書籍の編纂に生かされ、また本書のような紀行文に逆輸入的に生かされたのだと感じた。

  • 宮脇俊三氏の最晩年のライフワーク、「日本通史の旅」であります。
    もう鉄道紀行は日本全国色々な切り口から書き尽くし、海外もアジア・北南米・欧州と目ぼしいところは乗りまくつた。次いで「廃線紀行」を一つの主要ジャンルとして確立し、さらに宮脇氏の得意分野「歴史」をからめた紀行文が誕生した訳です。
    宮脇氏はかつて『徳川家康歴史紀行5000キロ』なる著作を世に問ふた事があり、その際に「歴史紀行」の面白さに目覚めたのではないかと愚考してゐます。

    従来の鉄道紀行とは違ひ、あくまでも歴史の流れに沿ふので、同じ土地を時代別に何度も訪れたり、かつては乗り鉄一辺倒だつたのが、名所旧跡を中心に回る旅になるのでした。歴史遺構が鉄道沿線にあるとは限らず、否むしろ駅から遠く離れた場所に点在することが珍しくないのです。
    従つて移動手段には鉄道に拘らず、バスやタクシー、徒歩など様様であります。特にタクシー利用率は高く、長距離でも躊躇ふことなく乗りまくつてゐます。当つた運転手はさぞほくほくでせう。

    文献に現れる最初の地として、まづ対馬から旅は始まります。むろん出雲や北九州など古代史ゆかりの場所も訪れますが、何と言つても畿内が中心となります。さらに百済国を訪ねて韓国へ、遣唐使を偲んで上海へ、海外へも出かけます。
    著者も述べるやうに、古代史は史実と伝説がない交ぜになり、想像力を掻き立てられる余地が多く、素人でも議論に加はりやすい。事実が分かつてゐないのだから、言葉は悪いですが好き勝手な想像もできるのです。

    本来ならサクッと終る筈だつた「日本通史の旅」ですが、予定外に長期連載となり、とりあへず奈良時代の終焉までを『古代史紀行』として刊行したのであります。読者としても、長く宮脇氏の文章を読めるのは望むところ。個人的には、せめて明治維新あたりまで続けて欲しかつたのですが......

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-688.html

  • 鉄道紀行作家が年代順に史跡を巡るという、異色の1冊。

    壬申の乱のルートを丹念に辿りながら大海人皇子の心情に思いを馳せ、一方で「何かにつけ家を焼き払う」と冷徹な眼差しを向ける。
    深い教養とちょっぴりのユーモアは、鉄道ジャンルを離れても何ら変わることはなく、歴史物としても旅行記としてもこの上なく面白いです。

    (そういう意図で書かれた本ではありませんが、これ読んでると万世一系なんて嘘だなあと実感します)

  • 案外中国のくだりが面白かった。遣唐使に思いをはせてみたりした。逐一到着時刻を記してあったのが、昔読んでた著書と同じで、懐かしかった。

  • 歴史か紀行か、迷ったけれど比重は紀行のほうが
    大きいように感じたので、このカテで。

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著者プロフィール

宮脇俊三
一九二六年埼玉県生まれ。四五年、東京帝国大学理学部地質学科に入学。五一年、東京大学文学部西洋史学科卒業、中央公論社入社。『中央公論』『婦人公論』編集長などを歴任。七八年、中央公論社を退職、『時刻表2万キロ』で作家デビュー。八五年、『殺意の風景』で第十三回泉鏡花文学賞受賞。九九年、第四十七回菊池寛賞受賞。二〇〇三年、死去。戒名は「鉄道院周遊俊妙居士」。

「2023年 『時刻表昭和史 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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