光待つ場所へ (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 94
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061828360

作品紹介・あらすじ

青春は事件の連続。せつなさも嬉しさも、全部詰まった辻村ワールドへようこそ!傑作青春小説全4編。
『冷たい校舎の時は止まる』の、ある登場人物のその後を描いた、ノベルス版特別書き下ろし「アスファルト」を収録!

感想・レビュー・書評

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  • 4編からなるスピンオフ短編集

    ●しあわせのこみち
    『冷たい校舎の時は止まる』の清水あやめ

    ●アスファルト
    『冷たい校舎の時は止まる』の藤本昭彦

    ●チハラトーコの物語
    『スロウハイツの神様』の加々美莉々亜と赤羽環

    ●樹氷の街
    『名前探しの放課後』・『ぼくのメジャースプーン』・『凍りのくじら』
    天木・秀人・椿・松永郁也・芹沢理帆子・多恵さん

    これまでの作品で大きく扱われる事のなかった人々達が主役
    あの人たちの過去や・未来がほんのり覗けてとっても嬉しかった。

    辻村さんの作品は、特別に心理描写が巧過ぎる…行き過ぎている。
    こういう、感情もあったなぁ。こんな苦しみ・切なさあったなぁ。
    また、こんな人居た。確かに居た。
    人と人の繋がりや心情に凄く感情移入させられた。
    読んでいて、本当に胸にチクチク突き刺さる。だから、大好き
    自分を素直に表現出来ない人、心優しい人、沢山のタイプの違う人達の
    心の機微を描くのがとっても上手。

    自信なんてない毎日だけど、反省だらけの毎日だけど
    前に進むしかない。背中を強く押してくれます。

    日々は、繋がっていく、世界は、広がっていく。

    本作もそうだし『ロードムービー』もスピンオフ集
    また、何処かで彼や彼女達に会える日がとっても楽しみです。

  • 辻村深月作品を順に読んでいる方なら、「おぉ、あの人か」と思うのが多数……なのですが、何せ私は図書館勢……
    しかも超マイペースに読んでいるので、解説サイト頼らないと誰なのか分からず(苦笑)
    でも!誰なのか分からなくとも楽しめてしまいます♡笑
    どのお話も胸が苦しくなる場面がありつつも、最後はホッとしたり、胸キュンするような読後感。
    「誰に何と言われようと自分のままでいい」と思わせてくれるような話もありました。
    タイトル的にも今の季節にあう感じもあって、気持ちよく読めました。

  • スピンオフと知らず、先に読んでしまった。関係して既読なのは、凍りのクジラ、だけだったので、天才ピアノ少年だけしか、共感できなかった。悔しいのて、他も読もう。

  • *日々は、繋がっていく。世界は、広がっていく。
    大学の課題。抜きん出た作品として紹介されるのは、自分の絵だと確信していた。なのに・・・。恥ずかしさと、息苦しさと、駆け出したくなるような衝動。あの頃のすべてが詰まった、傑作青春小説全4編を収録!*

    レビューを読んで、他作品の「スピンオフ短編」だと知りました。道理で!と納得。繊細で緻密な作品だと思うけど、なんとなく唐突感が拭えず・・・。該当作品を読んでから、改めて再読してみたい。

  • 辻村深月さんの短篇集。
    読み終わって自分のレビューを書く前に皆さんのレビューをカンニング。
    そうかぁ賛否両論ですね。
    一連の辻村作品の関連性を知らずに読んでしまったっぽい人。
    関連性判っているけどイマイチ乗り切れない人。
    そうですね感想は色々有った方が面白いかもです。
    僕の場合は娘の指南の元、関連性と順番を守って、なおかつ元々こういう形式のスピンオフ的なお話が好きなので…
    とっても楽しく読ませて頂きました。時にWikipediaとかネット情報をチラ見しながら。
    で、最後の話は『少し不覚』にも泣いた。いい歳したオヤジのレビューでした。

    他の人も書いてますが、
    『冷たい校舎の時は止まる』
    『スロウハイツの神様』
    『凍りのくじら』
    『子どもたちは夜と遊ぶ』
    『ぼくのメジャースプーン』
    『名前探しの放課後』
    を先に読みましょう!

  • 辻村深月さんの本に『凍りのくじら』以来軽いストーキングを始めた私。こちらの本は書店に並んでいなかったので、図書館で見かけて即座に貸りました。これまで辻村さんの小説に登場してきたキャラクターたちのその後となっていました。しかし、一人だけ覚えが薄い人物が……『チハラトーコ? そんな子いたっけ……』いました(笑)。ああ、そういえばそんなことこの人言われてたわね、って後から気付く始末。まあ、彼女がそもそも偽名を使っていたせいなのですが。全体的にタイトル通り『光待つ場所へ』と突き進んでいく爽やかな口当たりの小説です。

  • 日々は、繋がっていく。世界は、広がっていく。
    大学の課題。抜きん出た作品として紹介されるのは、自分の絵だと確信していた。なのに・・・。
    清水あやめは、田辺颯也が制作した三分間フィルムに、生まれて初めて圧倒的な敗北感を味わう。「私は何になりたいのだろう。どこへ行きたいのだろう」やるせない感情に襲われた彼女の耳に飛び込んだのは、底抜けに明るい田辺の声だつた。
    恥ずかしさと、息苦しさと、駆け出したくなるような衝動。あの頃のすべてが詰まった、傑作青春小説。

  • p37
    私は自分の感性や、孤独であることに酔ってしまっている。イタイのだ、それはとても。
    p77
    友達って定義にはいろいろあるだろうけど、友達が成功したときにそれを素直に喜べるのが、俺にとっての友達だ

    p156
    だって嘘に必要なのは、楽しませることだ。

    題名の
    光待つ場所へ、の意味
    何かに瞑想、暗いところにいるそれぞれの主人公が、何かのきっかけで光待つ場所へ一歩踏み出す話だからだと感じた。
    「人が階段を一段のぼるとき、扉を開ける瞬間を見てみたくて、書きました」辻村さん
    ・しあわせのこみち
    他人との関わりを拒み、絵を書くことを逃避としている主人公が、自分と真逆(実は似ている)な田辺との出会いで変わっていく。
    ・アスファルト
    溜まり場となっている主人公の家。いつも誰かといるせいか、気づくと誰とも交わらない時間を欲していた。ある夜、部屋を真っ暗にし、ケータイの電源も落とし、友人が来ても無視して一人だけの時間を過ごす。
    ベルリンはその夜と似ていた。自分がその中に溶け込んでいない事を理解する。主人公を拒むことがないかわりに、受け入れる事もしない。
    しかし旅で老婆と出会い、実は人間がすきなことに気づく。(光)
    ・チハラトーコの物語
    幼い頃芸能人らしいことをしていた主人公。気づくと、他人を楽しませるためにウソをつくようになる。
    そこからウソをつく。しかし主人公は
    あくまでも「人を楽しませるために」嘘をつく。
    そんな自分をどこか冷淡な目でみている。
    磯山ミオをきっかけにふっきれ、変なプライドがおちる。(光の方)
    ・樹氷の街
    合唱コンクールの話。伴奏が下手な倉田にイラつき、クラスのやる気も下がる。
    そこに松永があらわれる。彼の弾くピアノにだんだんとクラスが変わり、今まであまり知らなかった松永のことも知るように。
    この話は、光待つ方にいくのは主人公天木だけでなく、クラスメイトな気がする。松永の圧倒的なピアノにクラスメイトが必死についていく。(光の方へ)
    樹氷の街の歌詞にもあるように、この話が「光待つ場所へ」というのが一番わかりやすい。

  • 先日直木賞を受賞した辻村深月の短篇集。

    この作品以前に発表された長編(「冷たい校舎の時は止まる」、「スロウハイツの神様」、「名前探しの放課後」)の登場人物達が主人公となっているため、それらを読んでいない人には理解できない記述も結構あるが、逆に作者の初期作品からの愛読者にとっては、登場人物たちの「その後」あるいは「その前」に触れることが出来る、作者からのプレゼント(あるいはおまけ)のような作品。

    四篇の短編の中では、デビュー作である「冷たい~」の登場人物達の大学生活を描いた一編目の「しあわせのこみち」が、個人的には最も印象的だった。

  • 短編集。
    「名前探しの放課後」の秀人、天木、椿と「凍りのくじら」の郁也が交わる短編がよかった。郁也、友達ができてよかったね、と親の心境。中学生の合唱コンクール、という誰もが記憶にある微妙な学校行事を題材。クラスによって雰囲気別れるよね。私は賞とは縁がないクラスが三年続いたなー。歌わない人がいたりするパターン。もちろんこの話のクラスはだんだんとまつまっていくんだけど。

    「スロウハイツの神様」の後日談もよし。「太陽の座る場所」のキョウコの出世作の映画の話題が出てきたり。

    辻村作品を全部読んでから、間を埋める感じで読むと一番楽しめる作品。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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