現象学とは何か フッサールの後期思想を中心として (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 201
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061590359

作品紹介・あらすじ

フッサール現象学は単なる哲学の一方法論ではなく長い西欧形而上学の歴史における本質的な出来事であり、新時代の哲学の運命を決する特筆すべき事件である。本書は現象学研究の第一人者がフッサールの厖大な原テクストに独自の読みをほどこし、意識と存在・人間と理性・物と世界など現代思想の根本問題に清新な解答を与えようとする。初版刊行以来知識人に多大の感銘を与えた名著の、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • なんとも骨の折れる読書であった。他のレビューにすでに指摘がある通り、本書は入門書ではない。表紙にはなぜか表示がないが、「フッサールの後期思想を中心として」といういかにも専門書らしい副題がついている。ただ、フッサールの方法論の性格もあり、高度な哲学史的教養がなければ読み解けない、というものではないはずだ。僕も、頑張ればなんとかなるだろうと思って取り組んだのだが、これがなかなかの難行軍となった次第である。

    著者・新田の文体は基本的に簡潔であり、文章の密度は濃厚である。情報が濃縮された結果なのか、単に術語の定訳なのかは知らないが、時々、日常的な言語感覚からすれば異様な、呪文のごとき表現が出てくる(「超越論的自我論的能動性」のような漢語の連なり)。まぁ、意味は分からないでもないが、こんな調子が延々続くと、訓練を積んでいない人間が疲れてくるのも道理だろう。また、意味濃度が高いということは、油断するとあっという間に迷子になるということでもある。僕も、集中力を切らしたりして理解がおろそかになった部分がかなりある。

    しかし、分からないなりに感じ取ることができたのは、「徹底的に考え抜くこと」が持つ、えも言われぬ迫力である。フッサールの思考は徹底している。著者が冷静に指摘する通り、そこに様々な「ブレ」のようなものはあるのだが、物事の根源に至るまで妥協することなく考え抜こうとする強靭な意志は確かに認められるのである。

    本書はフッサールの思考を著者の裁定のもと丁寧にたどっていく。本書の副題は先に触れたとおりだが、前期フッサールもしっかりフォローされている。一方、ハイデガーやメルロ=ポンティといったフッサールの後続ランナーたちについてはあくまでフッサール思想との関連において言及されるのみである。

  • 日本における現象学の第一人者による、フッサール現象学の「紹介」。といって、この本の内容を考えればとても一般的に想定される「紹介」とは言いがたい。本文の密度の高さはフッサールの現象学の方法論、重要概念、そしてその隠された形而上学的目的論を明らかにしてくれる。「運動感覚(キネステーゼ)」論や「世界」論、「生き生きとした現在」論など、現象学の徹底した思考がよく分かると同時に、現象学によっても語りえないものがあることを教えてくれる。

  • 入門書のようなタイトルだが、タイトル詐欺。副題が本題。

  • [ 内容 ]
    フッサール現象学は単なる哲学の一方法論ではなく長い西欧形而上学の歴史における本質的な出来事であり、新時代の哲学の運命を決する特筆すべき事件である。
    本書は現象学研究の第一人者がフッサールの厖大な原テクストに独自の読みをほどこし、意識と存在・人間と理性・物と世界など現代思想の根本問題に清新な解答を与えようとする。
    初版刊行以来知識人に多大の感銘を与えた名著の、待望の文庫化。

    [ 目次 ]
    序章 現象学の出発の立場
    第1章 前期現象学の方法と立場
    第2章 発生的現象学とは何か
    第3章 人間存在の問題
    第4章 現代の現象学的存在論の問題
    第5章 最後の思想的境位

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 何故か、この本は海外や長期旅行の際に持っていく本の定番になっている。

  • 日本語が難しすぎて泣きそう

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著者プロフィール

1929年生まれ。東北大学卒業。哲学者。専攻は現象学、解釈学。現在、東洋大学名誉教授。著書に『現象学』(岩波全書、1978年)、『現象学とは何か』(講談社学術文庫、1992年)、『現代の問いとしての西田哲学』(岩波書店、1998年)、『世界と生命』(青土社、2001年)、『現象学と解釈学』(ちくま学芸文庫、2006年)ほか多数。

「2009年 『思惟の道としての現象学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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