神々の国の首都 (講談社学術文庫)

著者 :
制作 : 平川 祐弘 
  • 講談社
4.17
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本棚登録 : 193
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061589483

作品紹介・あらすじ

「人も物もみな、神秘をたたえた、小さな妖精の国」と日本を初めて訪れた八雲は、感嘆の声をあげた。出雲の松江という「神々の国の首都」での彼の見聞記は、人々の日常生活の中に分け入って、深くその心を汲みとろうという姿勢で貫かれ、みずみずしい感動と相まって、見事な文学作品にまで昇華されている。旧い日本と新しい日本が交錯する明治20年代の風物や風習、人々の姿を鮮やかに描いた名著。

感想・レビュー・書評

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  • 4/12/10
    読みたい
    小泉八雲なので。「明治日本の面影」よりはレビューの論調が良いので読みやすいかな。

  • 読んでいる最中は夢見心地だった。八雲の目線と現代日本人である私の目線は少し似ている。この時代の日本に行ったらこんなにも素敵に見えるんだろうか。だろうな。読み終えてちょっと時間が経つと、いや持ち上げすぎだな八雲、と思う。
    でも好きだ。ただの極東珍レポートではなく、外国から来て日本で生きた人の日記。
    色々と美しい描写があったのだけど、(夜の集落での踊りとか、島にいったこととか)いつまでも記憶に残りそうなのは「日本には世界で一番徳の高い鳥がいる。鶯だ」の部分かもしれない。

  • 日本人が南国に行って原色の風景に感動するのとは反対に、日本のパステルな風景に感動しているの所が印象に残りました。
    明治20年代の日本の美しい描写を読んだ後に、現代を振り返ると、その荒みようが悲しくなります。

  • だいすきな本です。
    なにもかもが美しく、なにもかもが愛らしく、なにもかもがいとおしい
    そんな日本の面影を綴った随筆であると思います。
    仙北谷晃一さんの訳が好きです。

  • 「知られぬ日本の面影」の一部が学術文庫で出版されているとの事。英語教師として松江に滞在したラフカディオハーンにより書かれた、主に出雲地方の民俗・文化。松江、出雲大社、加賀の潜戸、美保関、八重垣神社など地元民としては懐かしい内容です。西洋人でありながら、多神教(特に神道)、日本人・日本文化に対する目線は優しいものです。ラフカディオハーンといえば「怪談」が有名ですが、もっと読まれてもよい気がします。かく言う私も地元でありながら初読みではありますが。

  • 小泉八雲さんは、この本の中で、自国の文化の進んでいることを誇ったり、
    その逆に他の文化を低く見たり、他の宗教を軽んじたりすることなく、
    純粋に他の文化に対して尊敬の念を持ち、新鮮な驚きを表現しています。
    寺へ詣でた八雲さんの態度に大変共感し、好感を持ちました。

    菊の花のかたちをした砂糖菓子を、
    噛み砕いて食べることで美しい形を台無しにしてしまうと気が咎めたり、
    浴衣を着て盆踊りに出かけてみたり、
    加賀の潜戸へ行くことを楽しみにしていたり、
    また、海が綺麗だとつい泳ぎたくなったり、
    庭の草木や蛙や鳥を愛でたりする八雲さんに惹かれます。

    日本人の柔らかい微笑みが好きだと八雲さんは度々賞賛していますが、
    八雲さんのような人格であればこそ、
    そのような微笑みを向けられたのではないかと思いました。

    ただ日本の美しいことを褒めているだけなのではなく、
    八雲さんは日本の神話や神道や仏教や伝承についてよく知っていて、
    深い理解があり、
    彼自身さらに色々なものを吸収したいのだという姿勢を感じます。
    そのような態度は同じ日本人でも歴史や文化が好きな人は、
    とても共感するものなのではないかと思います。

  • 1890年に日本を訪れ、遂には日本国籍を持つに至った小泉八雲が見聞きし体験した日本に関する随筆集。

    到着当初の印象を記す『東洋の土を踏んだ日』をはじめ、表題となる出雲の松江を中心に描かれる日本の姿はみな美しく、人々の優しさと淡い色合いで彩られている。それは全て八雲の眼というフィルタを通した風景であり、その優美さ、暖かさ、繊細さはすべて語り手自身の資質が反映されているという気がしてならない。

    誤解や理想化されているのではと思う部分もあるが、暖かく優しい細やかな眼差しで語られる古い日本は一読の価値ありと思う。

  • どこの国のことかと思う。共感する部分と反感と。青い大気に包まれた国の昔の風景。

  • ここまで褒められると懐疑的になっちゃうのは日本人の性なのか単に自分の性根が腐ってるのか。どちらにせよ、ここにあるのは自分の知らない日本。時代も違えば視点も違う。それでも伝わってくるハーンの感動が、感動的だった。

  • 随筆集としてまとめられたものですが、私の大好きな一編『さようなら』は、短編の私小説と呼んでもおかしくありません。松江を去ることになったハーンは、悲しい記憶も嬉しい思いでも、同じように淡々と語ってゆきます。そして、いよいよ出立の日。松江港を離れるハーンを乗せた船。その美しい光景と情緒には震えます。

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著者プロフィール

(1850年-1904年)ギリシア生まれ。作家。ラフカディオ=ハーン。1869年アメリカへ渡り、新聞記者に。ハーパー社の通信員として、1890年4月4日来日。島根県松江尋常中学校へ英語教師として赴任。1890年12月、小泉節子と結婚、日本に帰化し、小泉八雲と名をあらためた。節子夫人から聞く日本につたわる話を集め、工夫をこらして物語にし、『Kotto(骨董)』『kwaidan(怪談)』などの本にまとめた。

「2008年 『耳なし芳一・雪女 新装版-八雲 怪談傑作集-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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