できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)

  • 講談社
4.06
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本棚登録 : 893
感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061531536

作品紹介・あらすじ

全米で話題の「How to Write a Lot」待望の邦訳!いかにして多くの本や論文を執筆するかを軽快に解説。雑用に追われている研究者はもちろん、アカデミックポストを目指す大学院生も必読!人生が変わる。

【三中信宏さん推薦!】
本書の原書をたまたま読んで、そこに書かれている「たくさん書く」ためのワザの数々
を実際に使ってみたら、驚くなかれ、たった三週間でまる一冊が翻訳できてしまった。

【“訳者あとがき”より】
論文の書き方に関する指南書はこれまでも数多く出版されているが、本書が画期的なのは、いかにして論文執筆のモチベーションを上げ、精神的負担を軽くして論文執筆に取り組めるようにするかについて、メンタルな面を含めて冷静に分析し、その解決策を誰にでもわかるように明瞭に提示している点だろう。

感想・レビュー・書評

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  •  原題は「How to Write a Lot」。米ノースカロライナ大学准教授で心理学者の著者が、自らの経験をふまえて論文生産の効率を高めるコツを説いた本だ。

     もちろん私は研究者ではないし、書いているのも学術論文ではない。が、本書はライターのモチベーション向上にも役立つものであった。
     章立ては次のようになっている。

    第1章 はじめに
    第2章 言い訳は禁物―書かないことを正当化しない
    第3章 動機づけは大切―書こうという気持ちを持ち続ける
    第4章 励ましあうのも大事―書くためのサポートグループをつくろう
    第5章 文体について―最低限のアドバイス
    第6章 学術論文を書く―原則を守れば必ず書ける
    第7章 本を書く―知っておきたいこと
    第8章 おわりに―「まだ書かれていない素敵なことがら」

     このうち、4章から7章まで――すなわち本書の半分は、研究者にしか役立たない内容であったり、日本人には関係ない話であったりする。それでも、残り半分の章のためだけに買う価値のある本だった。

     私は30年近くもフリーライターをやってきたのに、いまだにスケジュール/モチベーション管理が拙劣で、しばしばスケジュールの狂い(要するに仕事の遅れ)に悩まされている。
     その泥沼の悪循環からなんとか抜け出そうと、最近、いろんな工夫を重ねたり、この手の本を読みかじったりしている。

     本書は、以前当ブログで紹介した『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』と並んで、背中を押してくれる効果の高い本だと思った。

     著者の主張の骨子は、きわめてシンプル。

     ・「書かないための言い訳」(「まだ準備が足りない」「まとまった時間が取れたら書く」など)を自らに禁じること
     ・毎日決まった執筆時間をもうけ、その時間には必ず机に向かって書くことで、執筆を習慣化すること
     ・毎日、その日の具体的な執筆目標を設定すること(ほかに、もっと大きな目標も設定する)
     ・たくさん抱えた仕事の優先順位を明確にしておくこと
     ・執筆進行状況を、つねに具体的に把握しておくこと

     ――大枠としては、これくらいなのだ。
     ご覧のとおり、斬新なアイデアが盛り込まれているわけではなく、凡庸なアドバイスのようにも思える。だが、そのことを「凡事徹底」で行うためのノウハウに独自性がある。
     たとえば、著者は統計ソフトを使って「執筆進行状況管理ファイル」を自作し、自分の執筆作業を可視化している。何を何ワード書いたのか、執筆のためにどのような作業をしたのか、その日の目標は達成できたのか否かなどを、毎日記入していくのだという。

     そのことがもたらす効果について、著者は次のように言う。

    《自分の行動を見張っているだけで、机に向かって書くのが楽になる。行動研究からは、自己観察だけで、所望の行動が誘導されることがわかっている。
    (中略)
     執筆時間帯に机に向かわなかった場合に記録表に大きくて醜いゼロという文字を入力する効果は大きい。(中略)執筆の進み具合を記録していると、目標を上手に立てられるようになる。記録しはじめてしばらくすると、自分の執筆の進み具合について現実的な予想を立てられるだけのデータが集まってくる。目標を上手に立てられると、執筆ははかどるものだ。》

     ダイエットにおける「レコーディング・ダイエット」のようなものだが、私も取り入れてみようと思った(いまでも、その日何を執筆したかの大まかな記録はつけているのだが、もっと細かく記録することにしよう)。

     執筆モチベーションを保つために、抜き書きして机の前に貼っておきたいような言葉も多い。研究者ならずとも、日常的に文章を書く仕事の人なら一読の価値がある本。

  • ・要約すると「執筆スケジュールを立てて、それに従おう」。これだけ。真っ当すぎて反論の余地がない...。
    ・ありがちな書けない理由(言い訳)は、本文中ですべて論破される。ここまで完璧に論破されると気持ちがいいな。
    ・皮肉っぽい文章がおもしろくてさくさく読める。
    ・執筆スケジュールを立てるのを実践したら、停滞してた文章が1本書き終わった。最高。毎日執筆した当然の結果ではあるけど。

  • 執筆の計画を立て、イヤでも机に向かい、頭を働かせ、手を動かすこと。

  • スケジュールを決めてその通りに執筆せよ、という一言にほぼ集約される本ではあるが、その他のパートもウィットに富んでいて面白く読めた。
    「学術誌の世界は”おそろしい”世界ではないこと ーただ”おそい”だけだということ」という一文には勇気づけられた。

  • 〇学んだこと
    1.文書の生産性はスキルの問題
    2.論文の執筆時間を確保することが重要
    3.書く作業自体が優れたアイデアを生む

  • SNSでも話題になった。学会書評にも。
    https://sites.google.com/site/jssppr/specialissue/207

    タイトルがタイトルなだけに、本棚の目につくところに飾って、自分にプレッシャーをかける、というのも良いだろう。

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/676209

  •  本書は論文を書く研究者を対象としていますが、レポートをたくさん書かなければならない学類生にもおすすめです。皆さんは、文章を書くのは得意ですか?私は正直なところ、あまり得意ではありません。最初はどう書けば良いかわからない事も多いですし、締め切りギリギリになって一気に書く羽目になったこともあります。
     この本では、そうならない為に計画を建て、毎日の習慣として文章を書くことを勧めています。そのためのアドバイスも具体的に書かれており、ありがちな言い訳への反論、動機づけ、計画を継続させる方法が紹介されています。著者も「執筆作業は難しい」と認めているからこそ、丁寧かつ親身に実践を後押ししてくれます。この本を手に取って、たくさん文章を書くことに挑戦してみませんか?
    (ラーニング・アドバイザー/情報理工 YAGAWA)

    ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら
    https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/3203101

  • 毎朝の数時間を執筆作業に充てるというスケジュール管理、やってみようと思う。
    書き物を絶やさない生活にしなければ…と思わされる。

  • 【おすすめポイント】研究者に気軽に読んでほしいと書かれた本書。第2章の「言い訳は禁物」はくすっと笑えて面白く読めるのでお勧めです。なかなか作業が進まない時は本書でひと息いれてみてください。「たくさん書くため」の数々のわざと具体的な実例を読むとやる気がでてくるはずです。                                                                                        
    【請求記号】816:Si
    【配置場所】1階新書庫右
    【URL】https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/BB00279910

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