ふたりのイーダ (講談社青い鳥文庫 6-6)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061470118

作品紹介・あらすじ

不世出の児童文学作家、松谷みよ子がつづる、戦争、そして原爆と子どもたちの、今なお新しい物語。

感想・レビュー・書評

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  • お母さんの仕事の都合で広島の「花浦」の祖父母の家に預けられた直樹。まだ「ふたちゅ」の妹のゆう子と。
    近所でコトコトと歩き、話す椅子に出逢った直樹は廃屋の洋館に迷い込む。
    「この家いいなあ。きれいにして、ぼく、住みたいや。」と直樹がいう洋館が素敵。

    椅子の謎、イーダの秘密。
    妹ばかりが家族の話題の中心なことにむくれていた直樹が、椅子のゆう子への執着に妹を守るお兄ちゃんになっていく。
    ゆう子の言葉や行動の可愛さ、直樹の無謀にも思える一生懸命さ。
    戦争のお話というので、かげおくりのような悲惨な最後を想像して読みながらも憂鬱だった。
    もちろん、戦時の話は悲しい。でも、最後の前向きさに胸がギュッとなる。
    「キノウノキノウ」の出来事を忘れず、「しあわせな日が、もう一度くる」ように。

  • 不世出の児童文学作家、松谷みよ子がつづる、戦争、そして原爆と子どもたちの、今なお新しい物語。

  • 小学生の時に読んで感動した、私の読書の原点。優しく温かな文章の中に、ハラハラする場面、ちょっぴり怖い場面があり、最後は切なく、苦しい。原爆と言う物、戦争について、初めて考えさせられた物語です。久しぶりにまた、読んで、さらに感動が深くなりました。

  • 直樹は、夏休みにおとずれた田舎の町で、イーダという小さい女の子の帰りを待ちつづけている、ふしぎないすに出会った。イーダというあだ名をもつ妹のゆう子といすの謎を追う直樹は……。原爆の惨禍を告発する傑作。

  • 小学生の頃、学校の図書館に入り浸っていた時期に、何度も借りた記憶がある一冊だった。
    最近、どんな話だったかと購入して読んでみた。やはり、素晴らしい。
    読みやすさと、内容の深さ。
    伝わりやすさを意識するときに、私は読み返すことがある。

  • 小学校に入るか入らないかという頃に、父に連れて行ってもらった映画が、「ふたりのイーダ」でした。昨年、作者の松谷みよ子さんが亡くなられ、この作品が紹介されている新聞記事を見た時、心の奥底に眠っていた記憶が呼び覚まされました。小さいかったのもあり、あらすじは覚えてなかったのですが、小さな椅子が人間のように話し、動き回りながら、イーダちゃんと遊んでいる場面の記憶が…。児童文学ですが心にひびき、また先月父を亡くした事もあり、いろんな思いで読み終えました。

  • 本当に悲しくて、
    怖くて、せつない。

    もう一度読みたいのに
    怖くて読めない…

  • 子供に読ませた日本の戦争の本第1弾。
    自分も子供の頃読んだと思うんだけど、読み直すとやはり新鮮な驚きの連続だった。でも何よりの衝撃は、この本の時代設定が戦後――というか、原爆投下からたったの四半世紀ほどしか経っていない、ということだった。もちろん、私も子供の頃から原爆やナチスのことは聞かされていたし本も読んでいたけど、それは、そういう現実とは思えないほど酷い話はみんな「昔の」話としてだった。でも、このお話の中での原爆は25年程前のことで、たとえば今から25年前のことだったら、かなり鮮明に覚えている自分を考えると、ほんとに「ついこの間起こったこと」、なんだよね。そういう時代に人々が生きていたこと、それが本当に今では風化しつつあること、そんなことを考えながら読んだ。
    松谷みよ子さんのお話は本当に味わい深くて、構成も見事。
    夏の晴れた朝、瞬時に失われたあまりにも多くのもののことを想って泣いた。
    娘には読ませた。娘の子供の世代にも読み継いでほしいと思う。

  • 「子どもを本好きにする10の秘訣」>「命・生き方」で紹介された本。

  • な作家さんがおすすめの童話として紹介しておられ、
    読んだことがなかったので読んでみました。
    子供の時に読んでいたら衝撃を受けたのではないかと思いますが
    今大人になってから出会ったのにはそれなりの良さもあり
    良いタイミングだったかもしれません。


    動いて話す椅子と少年が出会うというファンタジーでありながら
    物語は日本の近代の歴史に切り込むちょっとしたミステリーであり
    史実でもあるというストーリーが素晴らしいです。


    大人である自分の視点だと、母親と妹はちょっと身勝手に感じるのですが
    直樹がそんな環境で親に振り回されつつも妹の面倒を見て
    出会ったおねえさんにも失礼を働かないようにと幼いながら気を遣い
    健気だなと思いました。
    そしてさらに、ほんにんとしては「キノウ」か「キノウノキノウ」としか認識していないとしても、
    ずっとずっとひとりでイーダちゃんを待ち続けた椅子もとても健気で切ないです。
    椅子がいつか、自分の覚えているイーダちゃんはもう戻ってこないけれどこの人はイーダちゃんだと認識してくれる日がきたなら良いのですが。
    せめて、りつ子の言っているような”イーダちゃんが戻ってくる日”が訪れることを願わずにはいられません。

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著者プロフィール

1926年、東京生まれ。1944年頃より童話を書きはじめ、1956年、信州へ民話の探訪に入り、『龍の子太郎』(講談社)に結実、国際アンデルセン賞優良賞を受ける。以来、民話に魅せられ創作と共に生涯の仕事となる。日本民話の会の設立にかかわり、松谷みよ子民話研究室を主宰。著書に『女川・雄勝の民話』(国土社)『日本の昔話』『日本の伝説』『昔話一二ヶ月』『民話の世界』(共に講談社)『現代民俗考』8巻(立風書房)など。

「1993年 『狐をめぐる世間話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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