- Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
- / ISBN・EAN: 9784059010746
作品紹介・あらすじ
約束の地パレスチナ-遙かな昔、この地を追われたユダヤ人は自らの生存を賭けてこの地に帰ってきた。一方、パレスチナ人が生きてきたこの地は、戦火が「約束された土地」でもあった。イスラエル建国とアラブ民族主義、複雑に交錯する大国の利害、数次に渡る戦争と繰り返されるテロ…。なぜ彼らは殺し合うのか?中東戦争の歴史と背景を情報たっぷりにわかりやすく解説する。
感想・レビュー・書評
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既に歴史的といえる中東戦争の歴史から現代に至るパレスチナとイスラエルの問題については登場人物の多さからなのかなんとなくの雰囲気くらいしかわからないなあと感じていた。
この本はその大きな流れを概観として理解するのにとても役に立った。もちろん色々な方向から見た場合にこの本の記述が正しくないという見方もあるだろうけど、筆者の出来るだけ事実を記述して倫理的な判断は除くという書き方が、特にこの地域の歴史の記述には大切なのだろう。
歴史として書かれている出来事も簡単に当時の映像が見られるのでそれと併せて読むと臨場感と共に理解が深まる。
この版は2001年までで終わっているので新版も読みたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今でも戦乱の続くパレスチナ。その因縁を中立かつわかりやすく書いた一冊。英国三枚舌外交とその結末や米ソ二大超大国に翻弄されるかの地だが、私が感銘を受けたのは、初期はアラブ側の方が武器等が豊富だった事や、民衆の力が時に大きく歴史を間違った方に動かすという記録がイスラエル側だけでなくアラブ側にもあるという人間の愚かしさを見せ付けている。この本は2001年に出版されているのに、いまだこの問題は燻っている事を思うと希望以外の何かを感じずにはいられない。
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8月25日読了。中東・パレスチナ区域におけるユダヤ人のディアスポラから湾岸戦争に至るまでの歴史を記述した本。ユダヤとアラブ社会の確執・対立・殺し合いと、そこに関わってきた英仏・米ソら超大国の対応の混迷について、自分がいかに無知であったか思い知らされた・・・(ノーベル平和賞受賞のPLOのアラファト議長を「平和主義者」と思っていたくらい)連合赤軍メンバーによるテルアビブの空港でのテロ行為もあり、日本とて全くの部外者というわけではない。肉食獣と草食獣でもあるまいし、ユダヤとアラブが人類創生の頃から憎しみ合ってきたわけではない、紛争の歴史があまりにも長く続き、お互いに多くのものを失いすぎたため、相手に対し中途半端な妥協はできないこと、綿密に和平交渉を進めてもたった1回の無差別テロですべては無に帰すること、カネも軍事力も外交力もない弱小国は「テロ」でしか国際社会に自らの主張を訴えることができないこと・・・。長く平和を享受してきた日本人として、自分はどう考え行動していけばよいのだろうか。
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405901074x 328p 2001・9・20 初版