黒蜥蜴 (学研M文庫 み 9-1)

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  • 学研プラス
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784059004592

感想・レビュー・書評

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  • <目次>
    黒蜥蜴
    自作解題
    座談会 三島由紀夫x江戸川乱歩ほか
    対談  三島由紀夫x美輪明宏
    解題
    『黒蜥蜴』上演データ
    『黒蜥蜴』のこと美輪明宏

    <メモ>
    三島「俺の芝居っていうと、レトリックや装飾の多い言葉ばかりだから、演出家も役者もみんな気取りやがる。だから、歯が浮いている。格調ぶりやがって、何を言っているんだかわからない。ほんとうはそんな大騒ぎするほどのものじゃないんだ。君は難解なセリフの解釈を寺山に教わったのかい、それとも君自身で解釈したのかい?」

    三島文学や、寺山修司、澁澤龍彦の文章というのは、レトリックが複雑で、直截的な表現をしないし、特別なクセがあって、もうどうにもならない。

    三島さんに「なぜ黒蜥蜴役を私にすすめるんですか?」と尋ねたことがあるんですが、そうしたら三島さんは「君は黒蜥蜴そのものじゃないか」とおっしゃったんです。でも私は、「何をおっしゃるんですか、黒蜥蜴はあなたそのものじゃないですか」と言いかえしたの。(笑)

  • 黒蜥蜴 劇作/ 三島由紀夫 原作/ 江戸川乱歩 解説/ 美輪明宏

    明智小五郎と女賊黒蜥蜴の愛の物語。「探偵の宿命と愛」「贋物の美しさの悲劇」が面白い。巻末の三島由紀夫と美輪明宏、江戸川乱歩との対談も楽しめる

    黒蜥蜴は 心を抜き取った(=死んだ) 永遠の美しさの象徴→贋物の美しさ。黒蜥蜴としての宿命を捨て、明智小五郎への愛をとった→明智小五郎は 心を取り戻した 黒蜥蜴に 本物の美しさを感じた

    明智小五郎と黒蜥蜴の初対面→宿命の出会い
    夜の意味=心を抜き取った(死んだ)美しさ
    *黒蜥蜴「今日はいつもの夜とちがう〜夜がひしめいて息を凝らしている〜こういう晩は〜いきいきとする」
    *明智小五郎「犯罪が近づくと夜は生き物になる〜その夜が犯罪を迎い入れ 犯罪と一緒に寝る」

    明智小五郎が探偵の職をかけ、黒蜥蜴が全ての宝石をかけたトランプの勝負は お互いの宿命を捨て 愛に生きる意思だったと思う


  • 再版してください……美輪明宏版がとても素晴らしかった。玉三郎版も自分が死ぬまでに映像化されるだろうか……

  • 美輪明宏さんを紅白で観て以来、その圧倒的な表現力に、一度、是非、生の舞台を観てみたいと思い、今年が最後の上演となる「黒蜥蜴」を新国立劇場で観劇。原作も読まず、映画も観ず、何の基礎知識を持たずに、御年79歳の美輪さんがきちんと台詞を分かりやすい発声で言えて、俊敏に立ち回れるのか?という不安だけを抱え劇場に向かったが、そんな懸念を持ったことを猛省させられる完璧な仕上がり!圧倒的な存在感。切れ味の良い演技。美輪氏が演出から音楽まで全てを担当しているそうだが、彼の美への拘り、その完成された美意識に(たとえ、それが自分の好みとは違っても)感服した。
    劇場ホールいっぱいに飾られた各界著名人からの花輪、そして観客の層の厚さ、15分の休憩が2回入った4時間近く、全くの疲れも見せず、出ずっぱり、長台詞、早変わりをこなす美輪さんは、年齢や性別を超えた「怪物」だった。
    今度はコンサートに出かけてみたい。

  • 女賊黒蜥蜴と明智小五郎の恋愛物語。本物の愛と宝石は死に、偽物の愛と宝石が生き残る。余談だが、自作解題で黒蜥蜴の役に合うフランス女優にエドウィージュ・フィエールがあげられていた。納得するとともに実現していたら見てみたかった。

  • 三島の本格劇(というのも変な言い方だが)、『サド侯爵夫人』などからすれば、傍流に属しそうな戯曲ということになる。前者では言葉そのものが劇空間を構築していくが、ここでの言葉はことごとく贋物(これは第3幕のキー・コードでもある)めいているし、舞台もことさらにフェイク感を漂わせている。もちろん、それは三島が意識的に行っているのであるが。こうした舞台は、まるでやがて一世を風靡するアングラ演劇のそれなのだ。唐十郎の状況劇場が'64年、寺山修司の天井桟敷が'67年だが、『黒蜥蜴』の初演は、なんと'56年である。

  • 映画『美輪明宏ドキュメンタリー ~黒蜥蜴を探して~』公式サイト
    http://uplink.co.jp/miwa/

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    「映画や舞台にて何度も話題をつくってきた、江戸川乱歩原作・三島由紀夫戯曲化というあの名作が、ついに文庫化! 妖艶なる盗賊・黒蜥蜴に名探偵明智小五郎が挑む。初書籍化の貴重な座談会、エッセイなども網羅収録。(解説=美輪明宏) 」

  • この本は最後の解説まで読み切って良さが分かりました。
    本当の文学はそれをきちんと解釈出来れば何倍にも魅力が増すんだなと。
    もっときちんと本を読もう、文化を理解できるようになって、名作を遺して下さった先生達の作品を味わおうと思わされました。
    新年の初めに読んでよかった。

  • 三輪明宏の当たり役のお芝居ということで読みました!
    江戸川乱歩が昭和9年に発表した原作を、三島由紀夫が昭和36年に戯曲化した作品です。
    丸山明宏(三輪明宏)と天知茂による昭和43年の映画(深作欣二監督)が有名ですが、DVD化されていない映画です。去年、福岡でたまたま観る機会がありました。DVD化して欲しいんですけどね。
    舞台の方は平成15年の三輪明宏と高嶋政宏のものを観る機会がありました。それぞれ良さがあるけど、やはり映画の方が印象深いですね。特に映画では三島由紀夫本人が登場し、なんと丸山明宏とのキスシーンがあります。
    で、この文庫は、戯曲全部と、三島による自己解説、三島・江戸川・芥川比呂志・杉村春子・松浦竹夫・山村正夫による昭和33年の座談会、三島と丸山の昭和44年の対談、三輪による解説が収められている盛り沢山な内容です。
    戯曲の方は、謎解きより、黒蜥蜴と明智の恋愛感情を軸にサスペンスが展開していきます。富と貧困、犯罪者と探偵、男と女…さまざまなものを対比とを描きます。セリフは長く独白のようなものが多く、つかわれる言葉はめくるめくきらびやかなものです。

    座談会:三島由紀夫・江戸川乱歩・芥川比呂志・杉村春子・松浦竹夫・山村正夫、対談:三島由紀夫・三輪明宏、解説:三輪明宏

  • 映画)黒蜥蜴:美輪明宏 美しい。

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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