くせものの譜

著者 :
  • 学研プラス
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784054063860

作品紹介・あらすじ

真田幸村になれなかった男たち――御宿勘兵衛、久世但馬、野本右近、本多富正。天正壬午の乱、さらさら越え、小田原征伐、越前騒動、そして大坂の陣――。「戦国」を駆け抜けた、時代に迎合することなく、己の夢と覚悟を貫いた男たちの物語!

感想・レビュー・書評

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  • 厄神と言われ、武辺はあるが仕えた家は全て滅びる御宿勘兵衛の視線を通して、戦国時代末期を描く。

    5つの短編から成り立っている。天正壬午の乱、さらさら越え、小田原征伐、久世騒動に依田信蕃、佐々成政、久世但馬守らが滅び衰退していく様をそれぞれの信念を御宿勘兵衛が脇役として見守る形式を取る。

    5編目の大坂の陣のみ、御宿勘兵衛が主役であり、真田幸村と自分とを対比しながらクライマックスを迎える。

    負け戦の話が連作続くのだが、暗い作品ではなく、それぞれの主人公が颯爽と自分の主義を貫いていく様子が読みやすく表現されている作品となっている。

  • "厄神の勘兵衛"を軸に、大坂の陣までを描いた、連作短編集。
    こうも敗者の側ばかりの作品も、珍しい気が。
    敗れるにしても、そこには美学、信念、生き方があり、引き込まれる。
    特に勘兵衛の最期は、ぐっときた。
    マイナーな人物が多かったのも、新鮮。
    「真田丸」ファンとしては、真田親子の活躍も楽しかった。

  • 日ノ本一の兵と称された真田幸村の英雄の影で、自分の信ずる武将としての意地を貫き、生き抜いた漢達。
    御宿勘兵衛、久世但馬、野本右近、本多富正―達。
    主家が次々滅亡する縁起の悪さから「厄勘兵衛」と嫌われた御宿勘兵衛の生き様がグッときます。

  • 武田信玄の孫と噂される武辺者御宿勘兵衛が主役になり脇役になり,本能寺の変から大坂夏の陣まで5つの戦国アンソロジーで綴られる.越前藩主結城秀康の治世など歴史物にあまり出てこない話や独特の武士感などが描かれ興味深い.常に滅びる側に立っているところなどやっぱり男心をくすぐる.

  • 武田信玄の孫という噂のある御宿勘兵衛,厄神の二つ名を持ち,結果的に仕える主家を滅ぼしていく5編の連作短編.越前家結城秀康とのあれこれ顛末を描いた「くせものの譜」が良かった.

  • 「厄神」と呼ばれながら、数多の主君を渡り歩いた戦国武将・御宿勘兵衛と、彼に関わるくせもの揃いの武将たちの物語。

    「厄神」の異名を持っているだけに、結果として負け戦ばかりとなっていたが、常に一本筋の通った勘兵衛らの生き様は格好良く、非常に清々しいものであった。大坂冬の陣・夏の陣と言えばやはり真田幸村だが、その陰に隠れてこんな魅力的な武将がいたなんて。「うつろ屋軍師」に始まり、今作でも、今まで知らなかった新たな武将の生き様を楽しむことが出来た。

  • 大坂夏の陣で生涯を終えた戦国時代の生き残り、御宿勘兵衛の一生を描く。
    真田丸でも描かれているけど武田家滅亡後の甲信は大変だったのね。織田家の支配下に収まるかと思いきや直後に本能寺の変が勃発する。
    徳川と北条と上杉の三つ巴、それに羽柴秀吉が絡んできて何処に味方すれば、生き残れるのか小豪族達は必死だ。
    武田家遺臣である御宿勘兵衛は武田家再興を目論む依田信蕃を振り出しに秀吉と争う越前の佐々成政、小田原征伐の渦中の北条家、
    と渡り歩き結城秀康に拾われたのも束の間、早死にした秀康のバカ息子忠直に付き合いきれず結城家も出奔。
    遂に死に場所を求めて大阪城に辿り着く。自らの将才には自信を持っていた勘兵衛だったが真田幸村の余りにも鮮やかな采配をみて自身の人生に疑問を持つ。
    これで良かったのか?しかし塙団右衛門の功名心の塊のような行動を見てやっと自分の人生に得心がいく。
    迷いを捨てた勘兵衛は真田丸から徳川軍に突撃し華々しい最期を遂げる。凄まじい男の生き様である。大坂の陣だけでも司馬遼太郎は1冊の長編にしてしまうくらいだから、それこそ牢人の数だけ物語があるだろう。これからの「真田丸」が凄く楽しみになった。

  • 魅せられました。御宿勘兵衛!

    章を重ねるごとに、引き込まれていきまして。
    どんどんと、知りたくなりましたぁ。

    NHK真田丸
    登場するのかしら?

  • 越前騒動のくだりは面白かったが終わりにかけてやや尻つぼみになってしまい盛り上がりにかけたのが残念。

  • 評価も高かったので期待していたのだが、もうひとつ足りない気がした。

    仕える主家が潰れることで「厄神」と忌み嫌われた勘兵衛が出会った癖のある武士たちとのつながりが連続短編のように描かれているのだが、史実を含ませながらのためか、勘兵衛をはじめ、個々の武士たちの魅力が今一つ響いてこなかった。

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著者プロフィール

1987年栃木県生まれ。2014年『うつろ屋軍師』が第19回歴史群像大賞に入賞し、デビュー。2015年、同作が第4回歴史時代作家クラブ賞新人賞候補となる


「2022年 『決戦!賤ヶ岳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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