この世界からサイがいなくなってしまう-アフリカでサイを守る人たち (環境ノンフィクション)

著者 :
  • 学研プラス
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  • Amazon.co.jp ・本 (120ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784052053276

作品紹介・あらすじ

サイと密猟者、そしてサイを守る人たちの、知られざる戦いがある。密猟でサイが激減するなかでの、「サイの孤児院」や科学技術による「復活プロジェクト」などの取り組みを紹介。南アフリカ共和国での現地取材を行った記者による、迫真のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 2022年読書感想文コンクール夏の課題図書 中学年の1冊。
    https://www.dokusyokansoubun.jp/books.html

    記者の著者が、アフリカで動物保護活動の取材をしたノンフィクションです。

    密猟者により野生動物が乱獲されて絶滅に追い込まれている危機、保護活動の獣医師やレンジャーたちの活躍や葛藤など深刻な現実が書かれます。
    そして、密猟者も現地の人々であり、彼らが密猟せざるを得ない背景にあるアフリカの貧困問題や、密猟させているよその国や人々の存在など、人間社会の問題も分かるようになっています。
    「このままでは世界からサイ(を始めとする多くの野生動物)がいなくなってしまうよ、それは悲しいよね」という語りかけるような本です。
    そして未来への希望も示されます。数が少なくなった動物の人工授精を研究している日本の科学者の話、密猟者に大怪我をさせられたサイの治療の記録がその後の保護活動に役立っていることなどが語られます。

    カラー写真がたくさん使われたり、サイについてのコラムがあったり、小学生にまず動物の保護の必要性や、人間社会の貧困や教育などの問題を知ることのできる本として良いと思います。
    サイのコラムに書かれていた「お母さんから独り立ちしたオスのサイ同士でバディーを組んで修行の旅をする」という話はなんか微笑ましいと思いました。

  • こどもと一緒に読む。20年後、この世界からサイが消えてしまうかもしれない。ツノ目当てに殺される。ツノを飾るためや、ツノが癌にきく薬となるという科学的根拠のないデマが広がってからは特に、密猟が激増しているとのこと。サイはツノが折れても、また生えてくるらしいけど、ツノをとるときに暴れてしまうから、もう殺してしまう。高値で取引されるから、密猟はなくならない。
    そしてそれからサイを守る人たちの活動。みんなが読んで、知って、自分なりに考えてほしい本だなと思う。

  • 2022年読書感想文課題図書中学年
    サイは世界に何しゅるいいるかしっていますか?そして、どこに生そくしているかしっていますか?どうして、サイがいなくなってしまうのでしょうか?
    実はサイのツノは「がんの薬としてきく」と信じている人が多いのです。金とおなじくらいのねだんで売れるのです。そのためにい法なのにサイをたおして、ツノだけ切るのです。どんなにいたいでしょう。そして、ツノを切られたサイはそのうちしんでしまうのです。
    わかりやすくまとめられていました。サイを守る活動に出るお金と、違法に狩る人たちの貧しさ、アフリカの捻れが分からないとなんか引っかかったまんま読み終わるかもしれません。
    個人的にはジャワサイとスマトラサイが見たい。

  • 今の生活に直接関係がなかったり、身近な事柄でなくとも、世界で起きている事象を知る事や、新しい知識を獲得していくことは、無駄なことではないと思う。
    私はサイにこんなに種類があることも、親子の結びつきが非常に強い動物であることを知らなかった。
    絶滅危惧種であることは何となく知っていたけど、密猟によって急速に個体数を減らしていること、密猟からサイを護るために、これほど命懸けで働く人がいることを知らなかった。
    残酷な密猟者を憎いと思うが、なぜ密猟が横行するかという背景には、無知や貧困があるという事を知った。

  • この本を読んで、サイのイメージが変わりました。親子がお互いを守って両方死んでしまうほどきずなが強かったり、ひどいけがから立ち直ったホープが手術をがんばって生きたり、強くてかっこいいだけじゃなくて、優しくて、がんばりやさんだと思いました。
    野生動物を守るブラックマンバやレンジャーは、命をかけて戦ってすごいと思いました。
    だから、密りょう者は嫌いです。でも、密りょう者には、アフリカの貧困が原因でそうしている人もいるというのを知りました。ちがうお仕事ができるようになってほしい。
    今のぼくにできそうなことは、ぼきんとか、他の人に、サイのこととか密りょうとかのことを知ってもらうことだと思います。
    この本は、文章が読みやすくてわかりやすいし、写真もよかったから、みんなに読んでほしい。
    サイが絶めつしないでほしい。(小5)

  • #この世界からサイがいなくなってしまう
    #味田村太郎
    #学研
    #課題図書
    #児童書
    #読了
    #読書感想文
    今年の課題図書。夏休み前に読む大作戦。良い本でした。世界を知るために多くの人に読んで欲しい。密猟は問題。でも密猟が起きる原因にも触れている。どうしたらいいのかな。人間だけの地球ではないのに

  • この世界からサイがいなくなってしまう。20世紀に50万頭いたサイは密猟のせいで95%も減少し、2050年には絶滅するかもしれないと言われているそうです。僕ら夫婦は新婚旅行も含め2回ケニアのサバンナに行ったことがあります。そして運良く一度シロサイに遭遇しました。その感動は今でも忘れられません。そんなサイがこの世からいなくなると思うといたたまれない気持ちになります。この本は、そんなサイを救うために尽力しているレンジャーや保護施設、獣医にスポットを当てています。どの人たちも懸命に働いていますが、毎年生まれてくるサイよりも密猟で殺されるサイの方が多いらしいです。サイの角が生薬になるだの、飾るとかっこいいだのそんなくだらない理由で多くのサイが犠牲になっている。そして輸出先の多くがアジアという本当に最悪な事態です。サイを含め多くの動物を守らなくちゃいけない。そんな事を改めて思った次第です。

  • 読みやすい上に読み応えもあ理。サイの現状をこれを読んで知りました。ツノ目当てに密猟され、絶滅寸前になったことが書かれており「なんでサイの角?」と思ったら、薬になると信じられてる&単に飾りたい……そんな理由で。薬もエビデンスはないのですが、飾りたいはなかなか理解できない。
    南アフリカは野生動物の保護に熱心な国で、密猟と絶えず闘っているそう。密猟者は見つかれば、守る側の人と撃ち合うことになる。つまり命懸けなのですが、どうしてそこまでして角を取るのか、というと、貧困から密猟者になってしまう人が多いのだそう。実際のところ密猟者のバックには組織的な犯罪者がいて角の儲けはそちらに多く入っていきます。それでも、少しでも生活を楽にしたくて犯罪に手を染める……貧困の解消や角を買わない姿勢が必要そうだけど、そもそも真っ当な人は角は買わないし……。

    サイの痛々しい姿に涙が出ましたが、救いは、サイを守るために全力で活動している人の存在。キタシロサイを人の手で救おうと挑む林教授には、人間が人間としての責任を果たすことを考えさせるきっかけとなると思います。角を失い、顔に大きな怪我を負って何度も手術したホープというサイが市民を勇気づけ、手術のデータが他のサイの治療に役立つなど、密猟に負けずに闘う姿は、力をもらえました。

    コラムも面白く、若いサイのオスが連れ立って旅をする話や、シロサイが多く暮らす地域の方が緑に覆われる傾向があることが書かれていました。サイの絶滅は緑の在り方にも影響を及ぼしてしまう。生き物たちが連綿と繋いできた命が、人間の勝手で断たれてしまう。1種類の絶滅は他へと波及するという面も伝えてくれます。
    ツノだとか皮だとか、それらの製品はどのようにして目の前に並んだのか、意識するきっかけになる1冊。

  • 2022年全国読書感想文コンクール中学年の部課題図書

    サイが乱獲され絶滅の危機にあることを保護区やレンジャーの活動を通して知ることが出来るノンフィクション文学。

    絶滅の危機になる程、高値で取引され、密猟が絶えないが、実はその医学的根拠がないなんて、人間はなんて馬鹿なんだろう?

    私が動物園でじっくりみたのは随分前だが、装甲車を思わせる体つきに、多くの人が関心を寄せるあの動物が地球からいなくなってしまうなんて、何とか防ぎたいと思う。現実にほそんな一冊を薦めることくらいしかできないのですが。

  • 今は動物園ではサイは気軽に観られます。
    しかし、あと数十年でサイが絶滅してしまうかもしれません。

    わたしたちが見ている現状は世界の本当の姿と違うことがあります…

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著者プロフィール

学生時代からアフリカで支援活動の後、NHK記者に。2014年から初代ヨハネスブルク支局長としてアフリカ30か国以上で取材。本作で「第8回子どものための感動ノンフィクション大賞」最優秀賞受賞。

「2021年 『この世界からサイがいなくなってしまう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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