- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784049141702
作品紹介・あらすじ
過疎化する町にある高校の教室で、一人の生徒が消えた。最初は家出と思われたが、失踪者は次々に増え、学校は騒然とする。だけど――僕だけは知っている。姿を消した三人が生きていることを。
それぞれの事情から逃げてきた三人は、僕の部屋でつかの間の休息を得て、日常に戻るはずだった。だが、「四人目」の失踪者が死体で発見されたことで、事態は急変する――僕らは誰かに狙われているのか?
壊れかけた世界で始まる犯人探し。大きなうねりが、後戻りできない僕らをのみこんでゆく。
発売直後から反響を呼び大重版が続き15万部を突破した『15歳のテロリスト』の松村涼哉がおくる、慟哭の衝撃ミステリー最新作!
感想・レビュー・書評
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'23年7月29日、Amazon audibleで、聴き終えました。松村涼哉さんの小説、四作目。
先に聴いた三作と、基本的には同じ印象でした。この作家さんの、テーマ的なるもの、なのかな…
今の若い人(というのも、変な&嫌な言い方、ですが)を主人公に、現代の問題をテーマとして書くと、インターネットの「闇」の部分を描かずには不可能、なんだろうなぁ…僕のようなアナログオヤジに言わせれば、「ネット、SNSなんて、見なきゃいい!」で、終わりなんだけどなぁಠ_ಠ
他人のココロの裏側なんて、見たくないッスಥ_ಥ若者よ!自由に空を、飛びなはれ(θ‿θ) -
初作家さん。
11歳の娘に「好きな表紙の本を選んで♪」と、装丁だけで選んでもらった作品です(*´-`)
読みやすく、おもしろかった!
高校生を中心に、現代の社会問題を複数取り上げたミステリー。
虐待、ヤングケアラー、いじめ、ネットでの誹謗中傷、貧困問題、田舎の過疎化...
便利な世の中だからこその、若者たちの生きづらさや葛藤。人との関わりを避けているようで、本当は人の心の温かさを求めている。
ネット社会を避けられない昨今、中高生から大人まで幅広く読んでもらいたい作品だと思いました。
松村涼哉さんの他の作品も読んでみたいな! -
過疎化する町で起きた高校生の失踪。教室が騒然となる中、僕だけは知っている。彼ら三人が生きていることを。堀口は様々な事情を持つ彼らを匿っていた。しかし、四人目の失踪者が死体で発見されて事態は急変する。
社会が抱える問題をミステリに柔らかく編み込む松村先生の手腕はさすが。四人目の失踪者は誰が殺したのか。その謎に迫るということは、人とそれを取り巻く社会を知るということ。匿われた皆が隠してきたドラマは現代社会の負の側面を照らし出している。ぼくも他人事ではないテーマもあって心が震えた。
「犯人は僕だけが知っている」というタイトルのもう一つの意味を知った時の衝撃。表面的なものだけを見て飛び交う憶測と中傷。周りの勝手な正義感が作り出す渦。その中でいかに生きるのか。そして、犯人がわかればすべて解決するわけではない。その先へどう答えを出すのかが重要なのだ。
堀口のゲーム制作が思った以上にドラマにもテーマにも食い込んできていて面白かった。RPGのコマンドを認知行動療法に転用するって発想は、まさにゲーム感覚で楽しみつつ物事へと向き合えるいい方法かもしれない。真面目でもいい。でも、人生には数多くのコマンドがあるってことを忘れないで生きていきたい。 -
高校生のさわやかミステリー系かと思ったら、全然違った。いじめ、ネットリンチ、ヤングケアラーなど、かなり重いです。
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人の優しさと醜さが複雑に交わっていくストーリーに引き込まれてあっという間に読了。
テンポよく進み読み易いミステリーだった。
ただの犯人探しではなく、現代の日本が直面する社会問題について取り上げた内容で少し驚いたが、すごく考えさせられるものだった。
過去の傷や、解決も逃避もできない問題を抱いてる人は、高校生とか学生に限らずいることを改めて思った。
人の痛みを知り、寄り添い、優しくするって、なかなか出来ることではないけれど、大切な事なんだと思った。 -
今の社会問題を扱ってる小説などは世の中にたくさんあるけど、どこか他人事で自分の日常には関係があるようには思えなかった。
だけど、松村先生の作品を読むと自分の中にスッと入ってきて、社会問題について真面目に考えるきっかけになる。
今後も読み続けるだろうなって思いました笑
“犯人は僕だけが知っている”ってならないように... -
高齢化社会の影響で、ヤングケアラーが増えたのではないかと思うけど、これはその問題が絡んでくるお話だ。
こういう物語に対しての感想を書くのは難しいけれど、堀口の優しさは素敵だな。
痛みや苦しみがわかるからこそ、あのような行動ができたのだと思う。
彼が作成したゲームがあるのなら、一度プレイしてみたいな。 -
面白かった。
人はみな誰かを悪魔のように糾弾してしか安心を得られない。そんな人間の哀しい心を繊細に描いた小説だった。一人一人違うというのは、他人を理解出来ないとわかった上での諦めであることという言葉が刺さった。存在論的不安、消えたいとか死にたいとかそういう漠然とした希死念慮はここからきたものなのかなと思った。
人生は「戦う」ことが全てじゃない。ゲームのように「逃げる」ことが出来るんだと気づける物語。