- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784049141634
作品紹介・あらすじ
【紅玉いづきデビュー15周年記念刊行・第2弾】
全知の天に運命を委ねる国ヴィオン。占により下町に捨てられ、呪いの言葉を吐いて生きる姫がいた。隣国に嫁げと強いられた少女を迎えたのは、夜の王に祝福を受けた、異形の手足を持つ王子だった。
本書だけで読める、書き下ろし「初恋のおくりもの」を収録。
感想・レビュー・書評
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「ミミズクと夜の王」の続編の一冊。
聖剣の国レッドアークへ嫁がされてきた占いの国ヴィオンの姫、エルザ。
声を奪われた彼女が自分の生きる道を模索するストーリー。
甘さいっぱいだけれど今回も絶望を背負った少女の胸に渦巻く苦しみに序盤から虜にされた。
やっぱり彼女を支える周囲の優しさ、厳しさの中に込められた優しさがたまらない。
オリエッタの存在はもちろん、ミミズクの明るさもエルザの道標。
人を信じる素直な気持ちに心を打たれ、人を想う気持ちにくすぐったさをもらえ、ストレートな言葉で心を揺さぶり震わせてくれた良作ファンタジー。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
以下、ネタバレ含みます。
前作『ミミズクと夜の王』も良かったのだけど、あのクローディアス王子が、こんなに健気に成長しているとは、とウルウル……。
ここから読んでも、読めないことはないけど、ミミズクから読むことをオススメします。
それ以上に今作のヒロイン、毒吐姫エルザの周囲全てを呪いつくす言葉が強烈で。
占いに裏切られ、スラムに堕とされた姫君が、暴れ回る様子が、途中から嫌ではなくなった。
そうした「自由奔放」さに、誰もが皆、理解を示す、そんな登場人物ばかりだったから。
けれど、それはまた立場ある者の「甘え」でもあるということを、エルザ自身が自覚をするまでに、充分な時間がかけられたことも、良かったように思う。
いくら文字の世界だからといって、時間経過は、むやみにコンパクトにしてはならないんだな。人の心が、その出来事を咀嚼するだけの時間がかけられることで、読む側にも納得がいくんだなぁということが分かった。
楽しかった。 -
呪われ王子様と毒吐きのお姫様との恋物語
ミミズクと夜の王の姉妹作となる物語
占いの結果が絶対の国に生まれたお姫様
占いの凶兆により市井へ棄てられる
生きるために彼女は毒を吐き続けた嫌われ者のお姫様
お姫様を利用するために呼び戻し、口を封じ、道具として扱う
身勝手な人達に、彼女の立場に同情してしまう
お姫様のエルザは、道具として隣の国に輿入れ
そこで出会った呪われた王子と言われるクローディアス
最初のエルザはワガママな子供のように当たり散らして拒否
正直彼女の立場は可哀想だし同情もしていたけど、それを他の人に当たり散らすなー!って思ってしまった
それを真摯に受け止めるクローディアス、私は彼を尊敬してしまう
徐々にエルザがクローディアスを理解して距離を縮めるのが焦れったくもどかしい
そして最後、エルザが自らの意思で言葉を紡ぐ姿や自らの道を選択する姿に心が躍る
最終的には…エルザツンデレじゃないか!と彼女のことを好ましく思ってしまった
そしてのクローディアスの弱さも…ギャップ萌えってやつでキュンとしてしまう
キュンキュンだと、番外編が素晴らしい
エルザのミミズクへの嫉妬心や、クローディアスの嫉妬心
お互いがお互いを想ってるのにすれ違う姿にキュンキュンドキドキしてしまう
良き、恋物語良き良き
姉妹作なのでミミズクも出てきて嬉しかったー!
ミミズクがあんなに女神信仰の対象みたいになってるとは…
物語はミミズクと夜の王よりもこちらの方が私は好みかも -
とにかく!
ディアとエルザが本当に好き!!
幸せになってくれ!!!! -
ミミズクと夜の王を読んで、この本の存在を知りすぐに読みたいと思った。
また、みんなに会えることが嬉しかった。
最初の頃、毒吐き姫の言葉の数々はあまりにも聞くに耐えず、耳を塞ぎたくなった。
一方でディアの成長に、王になる者としての覚悟を感じた。
オリエッタにしてもそうだが、どれほど酷いことを言われても怒らない。
そこには一種の諦めと、本当のつらさや悲しみを知っているからこその強さがある。
登場シーンは僅かだが、ミィの存在感は圧倒的なものがある。
エルザの過去も、そしてディアとの未来もいつかは伝説となるのだろうな。 -
前作からおそらく数年後、成長したレッドアークの王子ディアと、隣国ヴィオンのエルザとの出会いが、ヴィオンの行く末を左右する出来事に巻き込まれていく。聖騎士アン・デュークやオリエッタ、そしてあの子も登場し、最高の結末へとなだれ込む。ディアの真っ直ぐな気持ちと、エルザの変化から為るボーイミーツガールのファンタジーとしてのクオリティが高く、今も尚読まれていてほしい作品だ。