青春ブタ野郎は迷えるシンガーの夢を見ない (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 534
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049128505

作品紹介・あらすじ

忘れられない高校生活も終わり、咲太たちは大学生に。新しくも穏やかな日々を過ごしていた、そんな秋口のある日――。
「さっきの本当に卯月だった?」
 アイドルグループ『スイートバレット』のリーダー・卯月の様子がなんだかおかしい。いつも天然なあの卯月が、周りの空気を読んでいる……? 違和感を覚える咲太をよそに、他の学生たちは誰も彼女の変化に気づかない。これは未知なる思春期症候群との遭遇か、それとも――?
 新しい場所、新しい人との出会いの中で、咲太たちの思春期はまだ終わらない。新たな物語の始まりを告げる、待望のシリーズ第10弾。

感想・レビュー・書評

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  • 「みんな」が何を意味するのかを知るために大学に入り、空気が読めるようになったことで、周りが自分をどう思っていたのかを知る卯月。視野が広がったことで気付けたことは必ずしもいいことだけではないわけで、ショックだったろうな。「私、みんなに笑われてたんだ」というセリフが切なすぎる。

    それでも卯月は現実と向き合って前に進むと決めたし、その思いは一大決心だったと思う。

  • 図書館で見かけたので借りて読みました。大学生編。とてもよかったです。サイクリングのシーンや、最後のシーンはとてもグッときました。私も、音楽がやりたくて大学をやめたなーと懐かしい気持ちになりました。素晴らしい物語をありがとうございました。

  • 大学生になった咲太は穏やかに日常を送っていたが、ある日同期となった『スイートバレット』リーダー広川卯月の様子がおかしいことに気付く。空気が読めず天然だった卯月が周りに合わせた言動をするようになったのだ。そのことに周囲は気が付かない。これは新しい思春期症候群なのだろうか…。誰もが不安を抱き、痛みを感じながら成長していく。大人への一歩を踏み出した卯月の成長の物語でした。新キャラの美織や、大学で再会した古なじみの郁実がどう関わってくるか、そして霧島透子の役割は何なのか。今後の展開が楽しみです。

  • 大学生でも思春期症候群?て疑問と物語はまだ続くという安心感とで読み終わりました。大学生編になって少し文章が変わったような感じもしました。
    高校と違い、縛りが緩くなっていく中で直面する本来の自分との葛藤。個としての自分らしさと向き合ってるというのが伝わりました。

  • TVアニメやら劇場版やら有ったけど、原作はかなりお久しぶりな本作。
    でも舞台を大学に移して咲太の人間関係が若干変わっているせいもあってか、あまり戸惑うことなく読めたかな?

    今回、思春期症候群の被害者となるのは表紙にもなっている卯月。その症状とは空気が読めるようになること
    今回、卯月が陥る思春期症候群の症状はこれまでと比べたら実害はあまりに少ないもの。本人も周囲も最初はそうと気付かなかったくらいだし
    けれど、卯月が空気を読まずに天然発言やらその場を盛り上げる役割を担い、「周囲とは違う」人物で有った為にそれが単純に空気が読めるようになっただけに収まらないのは面白い

    これまでの本シリーズは高校という閉鎖的空間を舞台にそこで見えない苦痛を持ちながら暮らす少女達や、家族や社会の中で上手く生きられない少女達の姿を描いてきた
    舞台を大学に移してその傾向がどうなるのかと不安に思っていたけどそれは杞憂だったようで。高校とは異なる大学ならではの空気感が充分に描かれているね
    高校は皆が同じだったから同調圧力が作り出す空気にどう付き合っていくか、という点が問題になったけど大学では皆が同じであるという見える証を失ってしまったから他人と異なる存在になることを恐れるし、異なる者を見下し笑う風潮が存在してしまう
    そんな空気を皆が作り出そうとしているから、空気を読まない卯月は特殊な存在となり、いわば浮いてしまっていた

    だからこそ卯月に思春期症候群が発症する理由になるし、症状も他の人にとっては「そんなの当たり前じゃん」と言いたくなるようなものであっても、卯月にとっては世界が崩壊するに等しい衝撃を与えてしまう
    空気を読まずに天真爛漫に明るく振る舞っていた少女が自分を取り巻く人々の態度の裏を知ってしまった瞬間の描写はあまりに辛い……

    でも、この症状って何も悪い面ばかりじゃないんだよね
    思春期症候群ってその症状には無慈悲なものも有るけど、花楓を除いて本人が望んだ何かが反映されたものばかりだった為か、時には本人に何かしら益を齎しそうな場合もあった。
    それは今回も同じというか、「周囲が何を考えているか判るようになった」って別に当たり前の事で悪いことではない。卯月も症状を理解した上で今更戻るなんてキツイと言ってるし

    なら問題となってくるのはそれとどう付き合っていくかになるわけで
    ここで救いとなるのは元々卯月が持っていた本質の部分。卯月は空気が読めなかったけど、それ故にスイートバレットや皆を引っ張る存在でも有った
    つまり卯月って「空気」を作り出す側でも有ったんだよね。卯月がそういった傾向を持っていたから、のどかを始めとしたスイートバレットは彼女を中心に纏まってきた
    でも、だからといってスイートバレットの面々が卯月に頼りきりだったかといえばそうではなく。
    現実を知ってしまって歌えなくなった卯月を、同じように現実を知っていてそれでも卯月が歌う夢を目指してきたのどか達だから卯月に必要な「空気」を作り出せる
    そして、卯月はそれに乗って更に大きな「空気」も作り出せる
    あのラストはアイドルものとして王道展開だったけど、それだけにとてつもない程に感動的だったね


    そうして穏やかに終わると思っていたら……
    何だかラストに色々な意味でとんでもない人物が登場したね!?

  • 青ブタ大学生編開始。
    なんだけどヒロインが卯月だとは思わなかった。
    さすがに今までそんなに強い絡みがあったわけではないので最初は違和感があったけど、うん、いつもの青ブタですね。
    ただ今回の現象はあえて思春期症候群にするほどではなかったような気もするけど。

    空気を読めなかったづっきーが空気を読めるようになってぶつかった悩みはある意味みんな持っているもので、だからみんなが乗り越えてきたものなんだよね。
    そしてそれはスイートバレットの仲間たちならなおさらだ。
    だから、もともとそんなに心配はしていなかった。
    空気を読まない天才の咲太もいたし。

    大学生編になっても麻衣さんは当然として、理央や朋絵に会えたのが嬉しい。
    特に朋絵との会話はいつも楽しいなあ。
    心のオアシスだよ^^ 

    ラストで何でも知ってる翔子さんも知らなかったイレギュラー霧島透子登場で、さて次回はどうなるんだろう?
    ていうか何者?
    そして前巻のランドセル麻衣さんはどこへ?
    次回のヒロインは美織なのか?
    いろいろ分かんない伏線を残して、次回へ。
    早く出てくれたらいいなあ。

  • 咲太の同級生である広川卯月が主人公です。卯月は、アイドルグループ『スイートバレット』のリーダーであり、天然で明るい性格ですが、周りの空気を読んで自分を抑えるようになってしまいます。それが思春期症候群によって、彼女の外見や性格が変わってしまう原因になります。咲太は卯月の本当の姿や願いを知ろうと努力しますが、卯月自身も自分が何を望んでいるのか分からなくなってしまいます。

    私はこの作品を読んで、卯月の葛藤や成長に感動しました。彼女は最初は自分のアイドルとしての仕事や人気に満足していましたが、次第に自分の歌や表現に対する思いや、咲太や仲間たちとの関係に悩むようになりました。特に印象的だったのは、卯月が自分の夢を書き込んだSNSで正夢になるという都市伝説『#夢見る』を利用して、自分が本当に望むことを見つけ出そうとしたことです。卯月は自分の夢や願望を素直に表現することができました。

    また、この作品では咲太や桜島麻衣も重要な役割を果たしています。咲太は卯月の思春期症候群に対応しながらも、麻衣との恋愛関係を深めていきます。麻衣は卯月の先輩としても咲太の恋人としても素敵な女性でした。二人は卯月を大切に思いながらも甘やかさず、自分らしく生きるように助けてあげました。二人の関係はとても微笑ましくてキュンとしました。

    この作品は、思春期症候群という不思議な要素を使っても、登場人物たちの感情や人間関係をリアルに描いています。それゆえに読者も感情移入しやすく、物語に引き込まれます。私はこの作品を読んで、アイドルや歌手という職業や夢について考えさせられました。また、仲間や恋人との絆の大切さも感じました。

  • 【他人に笑われたっていい、自分の誇れる夢を貫いて】

    大学生になった咲太。穏やかな日々の中、スイートバレットに所属する卯月が空気を読めるようになる事で、未知の思春期症候群と遭遇する物語。

    同じアイドルグループに所属するのどかと卯月。
    同じ目標を抱き努力を続けたから、絆と信頼で結ばれた。しかし、天然の卯月が空気を読めるようになり、関係が崩れていく。
    皆と同じが安心出来るという無意識な価値観に傷付けられて。
    自由に生きる者を妬む気持ちに苛まれながら。

    皮肉や嫌味を知った卯月は、人とは違う道を歩み、夢を誇る為に邁進するのだ。

  • 大学編が始まって心機一転、と言った感じだ。
    全巻までの完成度が高かっただけに話の構成としては「青春ブタ野郎」としては物足りないかも。
    言うなればみんな成長しきってしまった感がある。

  • 咲太の進学に合わせて舞台が大学に変わった故、登場人物が増加。
    その関係で多少ややこしくなったのに前巻の謎は沢山なのに解消されず……
    次の巻で漸く1つ解消されるかな?というフラグが立って終わり。
    面白いのだがネタ切れ感も否めない……

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著者プロフィール

1978年生まれ、神奈川県出身の作家。代表作は『さくら荘のペットな彼女』、『青春ブタ野郎』シリーズなど。

「2023年 『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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