15歳のテロリスト (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.85
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本棚登録 : 4971
感想 : 247
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784049123968

作品紹介・あらすじ

突然起きた新宿駅爆破事件。容疑者はたった15歳の少年だった。何が少年を凶行に駆り立てたのか――? 少年犯罪を追う記者・安藤が辿り着いた先に、驚愕の結末が待っていた。衝撃の真実に慟哭する長編ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 自分にとって初めて読む作家さんの作品。
    テーマは「少年法」、なんだかライトノベルっぽい雰囲気で自分には会わないかな?と思っていたが結構引っ掛かりの多い作品だった。

    重たいテーマをミステリーに仕上げているのだが、そのミステリーの方は序盤からなんとなく分かってしまうような展開だった。正直ミステリーとしては自分には物足りなかった。
    だが被害者家族と加害者家族の立位置と関係性は深く感じる物があり、未成年の犯罪についてもまた考える事も多い作品だった。

    加害者、被害者共にその回りには家族、恋人、友人、知人と当然いて、その人達にも大きく影響するのだという自覚の問題だろうと考える。思考と行動が幼い。
    そこがクリアすれば「大人になる」という歩みの一歩目なのかもしれないと感じた。

    自論だが「大人になる」ということは「自分のけつを自分で拭く」という事だと思っている。
    成人しても精神的にも金銭的にも生活力的にも、親や他の人に尻拭いしてもらっている人々はまだまだ大人になりきれていないと思う。
    そういう意味では犯罪や法律だけが先行して年齢に区切りを持って区別するのも疑問だと改めて感じた。
    20歳越えても幼い思考の人は幾らでもいて、我儘に歩みすら寄せない人も大勢いるのだから。逆も当然いて、年齢は幼くてもしっかりとした意識を持っている人もいる。
    人それぞれと言ってしまえばそれまでだが、難しい重いテーマだと感じた。

    この作品を読みながらそんな事を考えていた。

  • 「全て、吹き飛んでしまえ」

    15歳の少年が動画投稿サイトを通じて、新宿での爆破予告を拡散する。デマかと思いきや、平日の朝に新宿駅で爆破が起きる。

    少年犯罪を専門とする週刊誌記者は15歳のテロリストの隠された真実を追い求め、彼の過去の人々と出逢い、やがて辿り着いた真実に事態は反転する。

    本作『15歳のテロリスト』は、呉勝浩さんの『爆弾』を連想していましたが、読み終えた今はとても大きなメッセージ性を感じ、大事なことを教えてくれた作品だと思いました。

    250頁と比較的短めの小説ですが、凪良ゆうさんの『流浪の月』や山田悠介さんの『サブスクの子と呼ばれて』がお好きな方にオススメの作品です♪

  • 友だちに借りた一冊です。
    「すべて、吹き飛んでしまえ」という犯行予告のあと、新宿で爆破事件が起こった。最初の犯人、渡辺篤人の印象は最悪。でも、物語が進むうちになぜ渡辺篤人がテロを起こしたのかなどがわかっていくところが面白いと思いました。少年犯罪、この本を読む限り、14歳未満は罪に問われず、18再未満は死刑執行にはならない。この本を読む前は事件を起こした人が更生するために必要なことだと思っていましたが被害者側からした ら納得のいかないところもあるのかなと思いました。

  • 新宿で無差別爆弾テロ!犯人は15才の少年!!
    その事件の真相は?少年法を軸に被害者家族と加害者家族の葛藤の日々のお話。

    事件が起こればどうしても被害者は可哀想、加害者には体裁をと思ってしまう。その矛先が家族や周りの人間にも及ぶことはしょうがないと思っていた。
    自分には関係ないことだからそう思えることで、周りにそんなことが起これば、、、

    マスコミはもちろんのこと、今はネットでもなんの責任もなく簡単に投稿、世間を大きな渦に巻いてしまう。中心になってしまった者は息苦しくたまったもんじゃない。自分に直接関係が無いことだから責任もなく勝手な正義感から誹謗中傷ってできてしまうんでしょう。その言葉がどこに突き刺さるか分からないのに、、、

    法律は、正義を守るものだと思うので、

  •  少年法を扱ったミステリーは多いですね。本書も、少年法によって加害少年が保護される一方で被害者側の権利は蔑ろにされているという状況下で、感情移入しやすく、平易な文体で読みやすかったです。
     真相究明に迫る記者も被害者の一人という設定で、読み手は否が応にも心情が揺さぶられ、展開から目が離せません。上記の通り、物語の展開途中も、余り重苦しさを感じさせないのが、逆のよさなのかもしれません。
     15歳の少年テロリストの真の目的、そして力のない者を利用する黒幕の存在とは…。
     犯罪に巻き込まれるのが未成年者であるほど、やるせない思いになりますが、この物語のラストには〝未来〟が見えて、救われました。
     偶然にも今年4月に、18歳以上を「成年」とする改正民法、罪を犯した18、19歳を「特定少年」として厳罰化する改正少年法が施行されました。こうしたことを他人事と捉えずに、関心を持っていきたいと思います。

  • 少年犯罪とそれへの厳罰化の是非が主題だと思った。


    犯罪の、被害者と加害者、加害者家族間、匿名の他人。
    そして報道機関。

    1つの犯罪で多数の人間の人生が狂うこと。不幸になる人間は多岐にわたる。

    とてもメッセージ性が強い作品でした。

    昨今は少年犯罪が少なくなっていると聞くが、そういう凶悪犯罪が起こればネットを通じて拡散し、少数の過激な事件が多数を占めている印象を受けてしまっている自分もあった。

    脱線したが本書は複雑な問題を取り上げているし感情が揺さぶられることが多かったけれどストーリーはわかりやすく読みやすかった。

    ただ、犯罪に関わった(人間として心のある)人間の苦悩と本音、葛藤と行動が読んでいて苦しかった。

    それを踏まえても、人に安心して勧められる良作品でした。

    • マメムさん
      初コメです。
      好みに合っていましたか^_^?
      初コメです。
      好みに合っていましたか^_^?
      2024/01/07
    • ひろさん
      マメムさん 。
      はい、とても良い1冊でした。オススメありがとうございました^_^
      マメムさん 。
      はい、とても良い1冊でした。オススメありがとうございました^_^
      2024/01/08
    • マメムさん
      ひろさん、お返事ありがとうございます。
      オススメして良かったです♪良い読書ライフをお過ごし下さい^_^
      ひろさん、お返事ありがとうございます。
      オススメして良かったです♪良い読書ライフをお過ごし下さい^_^
      2024/01/08
  • あっという間に読了。

    YA世代が多く読むメディアワークス文庫で、少年犯罪や少年法に関することを取り上げるのはよいことだと思う。

    犯罪を犯すと被害者加害者それぞれの家族が不幸になる。YA世代に刺さって欲しい内容だった。


  • もし大切な人の命を奪った犯人が、
    少年法で守られる年齢だったら。

    被害者遺族には事件の真相が明らかにされない
    だけでなく、加害者は少年法の下で更生のため
    保護され相応の刑罰を受けることもない。

    残された遺族の感情を想像すると、加害者に
    対しては言葉に言い表せない憤りしかなく、
    法に対しては理不尽さに胸が焼かれる。

    全てを失った少年が、埋められない空洞を
    抱えて数えきれないほどの深い葛藤の末に
    辿り着いた答えは、隠され曖昧に濁された
    真実を隅々まで明らかにするために、自らを
    全てを吹き飛ばす爆弾にすることだった。

    罪を犯すことに年齢は関係あるのか。
    本当に救われる必要があるのは誰なのか。

    主人公の狂わんばかりの心の痛みが、
    息苦しいほど切実に心に刺さってきます。




  • ずっと積読になっていた本でしたが、やっと読むことができました。

    あらすじでは15歳の凶悪テロリストがいかにして犯行に及んだか、などが描かれているのかな思っていました。しかし、読み進めていく事にどんどん明るみになっていく「真実」。後半は特にページをめくる手が止まらず、一気読みしました。

    最後の方に篤志が黒幕に迫るシーンは、鬼気迫るものがすごく感じられて、悲壮感と同時に憎しみがこもった篤志の本音に心打たれました。
    「事実と真実は違う」という、『流浪の月』を読んでいた時に深く心に残った言葉が、この本を読みながら幾度か思考をよぎりました。

    「少年法」は私にとっては身近なものではなく、今まで深く考えたこともありませんでしたが、この本を読んでかなり「少年法」について考えさせられました。この本の巻末に参考文献があり、作者がオススメしている少年法に関する書籍があったので、読んでもっと少年法につい知りたいと思いました。

    篤志もアズサもまだ子どもでこの先の人生もまだまだ長い。2人にはこの物語の先の世界で幸せになってほしいです。

    • マメムさん
      初コメです。
      確かに『流浪の月』と似てますね。考えさせられる作品でした。
      初コメです。
      確かに『流浪の月』と似てますね。考えさせられる作品でした。
      2023/08/24
    • あさひさん
      マメムさん、コメントありがとうございます(*^^*)
      感想書いた後、マメムさんの感想も拝見した際、『流浪の月』と似ているというコメントを見て...
      マメムさん、コメントありがとうございます(*^^*)
      感想書いた後、マメムさんの感想も拝見した際、『流浪の月』と似ているというコメントを見て、同じ感想を持ってる方がいるんだなと思って嬉しくなりました!
      かなり現実的な問題に切り込んでいて、考えさせられました。
      2023/08/24
    • マメムさん
      あさひさん、お返事ありがとうございます。
      色んな作品でも似たようなメッセージを感じることはありますよね。
      レビュー見て頂き、嬉しいです♪
      あさひさん、お返事ありがとうございます。
      色んな作品でも似たようなメッセージを感じることはありますよね。
      レビュー見て頂き、嬉しいです♪
      2023/08/25
  • "人々が少年犯罪に関心を持つのは、いつだって凶悪犯罪が発生してからだ"
    ハッとした。
    確かにそうだ。24時間365日、犯罪について考えている人は正直言って少数派だ。これは幸せなことなのか、平和ボケなのか。しかし決して他人事ではないとだけは言える。

    幼くして両親を亡くし、妹と共に祖母に引き取られ健やかに暮らしていた篤人。誕生日の夜、妹と祖母を放火によって亡くす。
    殺人を軽く考えた少年の犯罪、のはずだった。しかしそこには現実社会に存在し得る大きな陰謀があった。

    私は篤人の行動力を称えたい。確かに滅茶苦茶な行動だったが、篤人にしかできない考えや行動だったと思う。これからアズサと一日一日を明るい未来に向かって歩んでくれたらと思う。
    途中からオチが分かってしまったのは残念だったが、読み応えがありラストまで一気読みだった。

    少年犯罪を、被害者家族、加害者家族それぞれの立場で深く考えるきっかけを与えてくれる本。犯罪に巻き込まれない保証はないんだな。いつ誰がどんな形で一生を終えるかなんて、分からない。

    加害者家族が生きていることさえ許さない、私も遺族の立場だったらそう思うだろう。でももし、加害者家族の立場だったらと思うと怖くて仕方がない。自分が犯した犯罪ではなく、身内が犯した犯罪。それでも生きていることさえ許してもらえない。楽しむことも、笑うことも、明るい未来を望むことも許されない。じっと堪えるしかない。
    これは簡単に考えを言葉にできない問題。
    もっと自分の中で調べて考えて、一生かけて答えを見つけていきたい。

    ネット社会になり匿名で簡単に人を傷付けてしまえるようになった今、本当に発言していい言葉なのか、誰かを追い詰める言葉になっていないか、一度立ち止まることがどんなに大切か、改めて考えさせられた。
    自分の中で正義と思って発した言葉が、誰かを傷付けていないだろうか。
    いろんな想いがあって当然だと思う。その中に強い共感や批判があって、いい。声に出さなければならないときもあるだろう。でも、言葉ひとつひとつに責任を持っていたい。センシティブな問題であるほど。

    今作が好きな人は東野さんの手紙も読んでほしい。

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著者プロフィール

第22回電撃小説大賞で《大賞》を受賞した『ただ、それだけでよかったんです』(電撃文庫)でデビュー。『15歳のテロリスト』(メディアワークス文庫)が発売から反響が続き20万部を超える代表作に。以降、『僕が僕をやめる日』『監獄に生きる君たちへ』『犯人は僕だけが知っている』も発売即重版のヒット作となっている。

「2022年 『暗闇の非行少年たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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