続・ヒーローズ(株)!!! (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048928823

作品紹介・あらすじ

『ヒーローになりたい方お手伝いします!』が売り文句のヒーローズ(株)。いろいろ不思議なこの会社の中で、修司は周りの社員に比べて“普通”であることには悩みつつも、仕事に奮闘する毎日を送っていた。ある日事務所に訪れた依頼人は、修司の顔を見るなり泣きだしてしまい……。
夢を抱えて、働き、生きる依頼人や同僚たち、それぞれの人生が交差して生まれる絆の物語。読んだ後はきっと、自分にも他人にもエールを送りたくなる、待望のシリーズ第二弾!

感想・レビュー・書評

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  • 依頼人をヒーローにする会社【ヒーローズ(株)】の続編連作短編。

    1作目をテンポ良く読了したこともあり、そのままのリズムをキープしつつ連読に至る。

    なんだろう。本シリーズにおいて細かい描写や構成、秀逸さ云々は私にとって特段重要でなく、兎角文体を受け止め優しい気持ちになれる。それだけで満足な作品だ。

    本作にもまた、私に響くフレーズがあった。

    仕事仲間のリンリンは言う。
    『みんなお金は大事にするくせに、時間を大切にしない。日本人は特に、クソみたいに時間に正確なくせに、なぜか自分の時間は大切にしない傾向がある。プライベートな時間は人生そのものなのに。勿体無い事この上ない。』

    修司がアルバイトしていたコンビニ客の神田のおばあちゃんは言う。
    『どんな大金持ちも、どんな貧乏人も、大統領であっても、会社員であっても、一日に与えられるのは二十四時間。』

    ふと、自分の24時間を使い方を見直してみる。
    繁閑の差はあれど、月で総じてみると概ね以下のサイクルになる。

    【平日】
    ・身支度・通勤・仕事(食事・入浴含):約15時間
    ・食事(夜):45分程度
    ・自由時間:約2時間
    ・睡眠:約6時間

    【休日】
    ・家族と過ごす時間(食事・入浴含):約16時間
    ・自由時間:約3時間
    ・睡眠:約5時間

    1ヶ月を4.2週と定数に置き換えたとして
    自由時間:5時間×4.2週=21時間

    多少の誤差あれど、かれこれこの1年は月間20時間ほど自分時間を持てており、その内の概ね8割は読書、映像鑑賞、ブクログの皆さんの本棚&レビュー鑑賞に費やしている。

    リンリン。
    3年ほど前までの私は、ほぼ全日仕事に時間を捧げていたけど今は自分時間を大切にしているよ。幸せだよ。

    おばあちゃん。
    時間だけは全ての人に平等にだね。使い方次第で、無駄にも価値にもなるね。

    タイムイズマネーというけれども、時間はお金に変えられない別の価値があると思う。
    その別の価値を活かしたいな、活かさなきゃなと、今とてもそう思うんだよ。

    • sakuragaiさん
      こんにちは、ご無沙汰しております。
      いつもいつも沢山のいいね!をありがとうございます。恐縮です。
      今回このシリーズを読もうと思ったのはa...
      こんにちは、ご無沙汰しております。
      いつもいつも沢山のいいね!をありがとうございます。恐縮です。
      今回このシリーズを読もうと思ったのはakodamさんの感想の

      (リンリン。
      3年ほど前までの私は、ほぼ全日仕事に時間を捧げていたけど今は自分時間を大切にしているよ)

      まさしく、この一文がきっかけでした。

      「時間」こそ今の我が家のテーマだったからです。
      りんりん同様、ほぼ全日仕事に時間を捧げている主人と重なり何か背中を押してもらえるような言葉に出会えるのではないかと手に取りました。
      そして4冊目の完では主人公のお父さんと心の中で握手していました。
      大手企業の幹部社員という地位、お金、、、天秤にかけても自分の時間はお金では買えません!まして体は…1冊目で出てきた文でもあるとおり
      「全ての人が誰かの〝替わり”になり得る存在であるのと同時に、全ての人が”唯一無二”の存在でもある」・・・そうなのです!

      自己啓発本や経済本の圧を感じるような直接的な物言いではなく、架空の物語の中で間接的にそっと背中を押して貰った様なほっとする感じが心に響きますね。
      akodamさんは今、資格習得へ向けて頑張っておられるとのこと。陰ながらエールを送ります(このコメントがお邪魔しちゃってる気もしますが)

      お時間が出来た時には是非とも(続々)と(完)でコンプリートして下さいね。その時はまた、akodamさんの感想を聞かせて下さい。楽しみにしています。
      2022/01/28
    • akodamさん
      sakuragaiさん、お久しぶりです。
      こちらこそ、いつも沢山の『いいね』とコメントまでいただき嬉しいです。ありがとうございます。

      私の...
      sakuragaiさん、お久しぶりです。
      こちらこそ、いつも沢山の『いいね』とコメントまでいただき嬉しいです。ありがとうございます。

      私のレビューの一節が、sakuragaiさんの本作品に触れるキッカケとなったこと、恐縮であり喜ばしい限りです。

      sakuragaiさんのお話を拝読して、改めて「時間」の「自分」の尊さを感じました。昔の私は自身のキャリアアップこそ、家族を豊かにできると信じて疑わず、毎週金曜は職場に泊まるような働き方をしていました。家族との時間も鑑みず、成果第一主義の時間を送っていたのです。


      では、結果どうなったか。

      身体を壊し休職。
      キャリアアップ寸前でのリタイアでした。

      それから紆余曲折あり、今は以前と全く異なる職種で、持病化した身体を管理しながら働いています。

      今は家族との時間、自分の時間を優先した働き方を心掛けています。このバランスを保ちながら、家族の生活レベルを上げるために、セカンドキャリアを極めようと、資格取得の決意に至った次第です。

      本作品はsakuragaiさん仰せの通り、物語の一面で放たれる言葉故に、心へスッと入ってきますよね。
      私も本作の(続々)と(完)はいずれ通読しようと思っています。

      エールありがとうございます(コメントがお邪魔なんてとんでもないです。感謝です!)

      最近ようやく自身の知識の向上が感じられるようになってきました。しかしながら人間は少しでも怠ると忘れていく生き物なので、春の受験に向けて引き続き励みます。

      そしてこれからもsakuragaiさんのレビューも楽しみに読ませてもらいますね^ ^
      2022/01/28
  • 【ヒーローを作る会社】
    シリーズ2作目
    相変わらず ほっこりして
    感動!

    色んな人を応援したくなる お話♪ヽ(´▽`)/

  • 最高です。
    ただ、前の作品を読まないとわからないところもあったのが残念。
    ま、続編だから仕方ないけど。

    読んで元気になる。。。それがこの本の魅力です。

  • 前作の記憶がほぼ無いまま読んだことを後悔しています。
    主人公田中を始め、皆のキャラが思い出せないまま読み終えました。
    残念。
    ヒーローズ㈱のみんなが、優しく暖かい。
    再度前作から読み直したいと思います。

  • 面白かったけどちょっと飽きてきたこのテンポ。私はそんなに好きではない感じのジャンルかも。仕事系。

  • 『続・ヒーローズ(株)!!!』北川恵海さん

    だいぶ前に前作を読んでたので、内容を忘れながら読み始めた。前作を読んでから、今作を読んだ方がいい。

    あとがきより、テーマは『夢』、サブタイトルは『それでも人は夢を見る』。夢は職業だけじゃない。本当にそうやなと思った。会いたい人、食べたいもの、体験したいこと、それぞれが一つの立派な夢。
    夢をたくさん持ち、叶えたいと思った。

    ただ、田島先生が「結び」の後の作品を無事に書き切れたか、最後知りたかった!

    私的には、STAGE 2のプライベートな時間は人生そのもので、それが人生を豊かにするが一番響いた。

    【背表紙より】
    曲者揃いの依頼人たちをヒーローにすべく奮闘!
    『ヒーローになりたい方お手伝いします!』売り文句のヒーローズ(株)。いろいろ不思議なこの会社の中で、修二は周りの社員に比べて"普通"であることには悩みつつも、仕事に奮闘する毎日を送っていた。ある日事務所に訪れたら依頼人は、修二の顔を見るなり泣き出してしまい…。
     夢を抱えて、働き、生きる依頼人や同僚たち、それぞれの人生が交差して生まれる絆の物語。読んだ後はきっと、自分にも他人にもエールを送りたくなる、待望のシリーズ第二弾!

    【本文より】
    〈STAGE1夢をみるまえに〉
    ・料理も酒も、人の魂と動植物の命がこめられているのですからね。贅沢なものです

    〈STAGE2タイムイズマネー!〉
    ・ヒーローズに限ったことじゃないっすよ。みんなドラマしょってるんすよ。何かと人に言えない過去があるんすよ。
    ・人生何十年って生きてるんすからそりゃあね。失敗したことない人なんて逆に怖いっしょ
    ・みんな何かと人の失敗には攻撃的っすけど、結局さらって自分に返ってきたりするんすよね。うまいことできてますよ、人生は
    ・だから、俺はなるべく失敗を責めないようにしてるんす。その方が自分が失敗したとき庇ってくれる人が多くなるっしょ?
    ・みんな金は大事にするくせに、時間を大切にしない。日本人は特に、クソみたいに時間に正確なくせに、なぜか自分の時間は大事にしない傾向がある。プライベートな時間は人生そのものなのに。勿体ない事この上ない
    ・時間とお金は密接に関わってんだ。時間を大事にしろよ、修司。それがお前の人生を豊かにする。わかったらさっさと帰って好きなことしろ!
    ・一日二十四時間という時間。これは唯一、全ての人類に平等に与えられたものであり、唯一、自らが支配できるものだ

    〈STAGE3 柔らかな殺人者〉
    ・仕事により殺される人間は存在すると思います。しかしそんな時でも実際にひとを殺しているのは時間ではないかと思うのです。ただ全ての人に等しい速さで流れるだけ。けれど、最終的には確実に人を殺す。ゆっくり、ゆっくりと。私はそれを"人生"と呼んでいます。わたしたちは時間から逃れられない。どう殺さずに生き抜くか時間と戦っているのです。
    ・世の中にはたくさんの仕事がありますが、それらはたとえ間接的であっても、誰かの役に立っているのではないでしょうか。あなたが日々息子さんの生き抜く未来を守っていらっしゃるのと同じように
    ・たとえ日陰の存在であっても、確かに私は誰かの人生を守っているはずだ。
    そんな簡単なことを、日々の生活に追われてすっかり忘れていたのかもしれない。
    ・南さん、わたしたちは時間から逃れられない。けれど、思うんです。私たち人間はきっと、時間を支配できる。わたしも、あなたも、きっと

    〈STAGE 4誰かの赤いリボン〉
    ・時を過ごす上で楽しみは一つでも多い方がいい

    〈STAGE 5桜の咲くころに〉
    ・(拓)なんでわざわざ自分より不幸なヤツ探して比べなきゃいけねえんだよって。てかわかんないじゃないっすか。そいつがどれだけ不幸かなんて。金がなくって不幸せそうに見えたって実際は幸せなヤツもいるし、その逆ですげえ金持ちでも不幸せなヤツもいるし。表面で見えるものだけで人の幸せなんて量れるもんじゃねえよってら思うんすよね
    ・どうせ見るなら幸せなもの見たいじゃないっすか。ある時、田島先生が言ったんですよ。『あの頃の俺はとにかく楽しいものを見つけたかったんだ』って。きったねえ世界にいたからこそ、少しでも楽しいもの探したんだって。俺、その気持ちすっげえわかって。ちょっとでも楽しいことを見つけたかったんす。自分が不幸だなんて思いたくなかった。花の匂いとか、特別なおやつとか、いうでもそんな小さい楽しみばっかり見つけてたんです
    ・季節は美しいってこと。小さな楽しみを見つける方法。人と人との出会いが素晴らしいってことも

  • 前作に続き大変読みやすく、面白かった。
    自分の夢、時々呟いてみようと思う。

  • 「修司くんの悪い癖だよ。できないことばっかり先に数えちゃうの。先にできないことばっかり数えちゃうと怖くなっちゃうでしょ?そんなの楽しくないじゃない」

    「 だから、俺はなるべく人の失敗を責めないようにしているんす。その方が自分が失敗したとき庇ってくれる人が多くなるしょ?そんな俺ってマジチキンっすよ。」

    「で、もしもなんとか叶うとするでしょ?でもその瞬間に夢は消え去って、その後に残るのはただの現実。そしてまた別の夢を探す日々が始まる。夢って叶っても叶わなくても、結局虚しさだけは付きまとうんだよなあ。キラキラして見えるのは叶うまでなんて、なんかずるいよね」

  • 先に読んだ続編。
    今回は「夢」がテーマだとか⁈
    なるほどなぁ。私的には時間と親子愛が強く残った。親の無償の愛、しかしネグレクトで施設で育つ子供も多くいるが、たとえ実の親子でなくても愛情を惜しみなく与えてくれる人もいる。そして子供は子供なりに親の心情を繊細に読みとっている。
    色々な本で描かれるこの様な心理はどれも切なく、しかし温かい。

    そして時間!
    『お金は大事にするくせに時間は大切にしない。時間は正確なくせに自分の時間は大事にしない。プライベートな時間は人生そのものなのに…』
    『わたしたちは時間から逃れられない。常に時間と戦っている。けれど、わたしたち人間はきっと、時間を支配できる。』
    stage3 柔らかな殺人者 の中でのフレーズだ。
    仕事に追われプライベートの時間が殆どなく働いて来た主人と何度となく話した様な内容だ。 時間とお金… 日本の企業の働き方は考えなければならない!
    コレは是非主人にも読んでもらおう…

    さてさて私は 続々・ヒーローズ(株)‼︎!へ。次はどんなヒーローがつくられるのかな…

  • 引き続き2作目を読み終えて…
    心のバイブルとなりました。

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著者プロフィール

大阪府吹田市出身。『ちょっと今から仕事やめてくる』で第21回電撃小説大賞“メディアワークス文庫賞”を受賞しデビュー。本作は70万部突破のベストセラーとなり、映画化。爽やかでけれんみのない文章で、読む者を元気にする。主な著書に「ヒーローズ(株)!!!」シリーズ、『ちょっと今から人生かえてくる』『星の降る家のローレン 僕を見つける旅にでる』がある。

「2021年 『文庫 真夜中のメンター 死を忘れるなかれ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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