著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 26
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048726672

感想・レビュー・書評

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  • 小林多喜二の名は知っていたし かの「蟹工船」もかつて読んだけど、人となり はこの本で知れた。時代が時代とは言うものの官憲の拷問で30歳で死亡した多喜二、その時 母は60歳。その母が88歳になった今 多喜二の思い出を振り返る形で話は進む。一番素晴らしいのは この家族の気持ちがいつも通い合っていることで、文字も読めない母だけれども家族の皆が互いを認めていて強いけど優しい。小説だからどこまで史実に添っているのか分からないけど、小林多喜二像がくっきり浮かんできた。朴訥な訛り混じりの老母の語り と言うスタイルが効いている。

    • ありんこさん
      読んでみたくなりました。
      読んでみたくなりました。
      2018/06/02
  • 中学か、高校くらいで、母の本棚の塩狩峠やら、氷点やらを読んで泣いた記憶がある。
    それに通ずる久々の三浦綾子さん。

    小林多喜二の名前は知っていても、人となりはまったく知らず、またその母の語りという物語とも知らずに読み始め、あまりの理不尽な最後に辛くて悲しかった。
    労働者のよりよい労働環境をうたい、小説を書き、共産党で活動したために壮絶な最期を迎えてしまう。
    皮肉なことに今の時代、お金や物は溢れていても、この時代の人情や助け合いや、個々の希望なんかは失われてるし、何がよいのか分からなくなる。
    民主主義の弊害としての格差社会も、あるべき格差との隙間に児童の貧困や育児放棄など社会問題はてんこ盛り。
    とにかくいろいろ考えさせられる。

    とりあえず蟹工船、読みたい。
    多分、高校生の時に、読んでるはずだけど。

  • 『蟹工船』の小林多喜二の母の一生を、本人が語っているかのような文章で三浦綾子が小説にしたもの。以前に買っておいた本だがなかなか開けなくて、台風でやっと読めた。
    実際に読んだらとても読みやすく、「おしん」のような少女時代、こども達を育てているとき、ラストの多喜二が亡くなる様子など、「母」の視点から淡々と描かれていた。
    同じ母として共感できるところ、真似したいところなど多々あり、読んでよかった。

  • 方言が。
    優しさで満ちている、忘れがちな大切なこと。

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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