君の背中に見た夢は

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047378193

作品紹介・あらすじ

「この子たちに選択肢を与えてあげられるのは世界で一人、私だけだ」 大手化粧品メーカーで働く新田茜は、ある日従姉妹のさやかの影響で、中学受験回避のための小学校受験に興味を持つように。テレビ局記者の夫を持ち、世間的にはパワーカップルと呼ばれる茜たちだが、お受験の世界はさらに上の富裕層との戦いだった。仕事と家庭の両立、協力してくれない夫、かさんでいく教育費、思い通りにならない子供たち。悩み葛藤しながらも、5歳の娘・結衣を名門小学校に合格させるため、茜はどんどん小学校受験にのめり込んでいく。その先に見えるものとは――。東京で過酷なお受験に翻弄される家族の物語!

感想・レビュー・書評

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  • 外山薫さん2冊目。前作はタワマンだったが、本作のテーマは小学校受験。タワマンも小学校受験も側から見ると狂気じみた関係者が含まれていそうで、日常的なマウンティングやドロドロした感情のぶつかり合いがあるイメージだが、著者の描く作品はいずれもそうした要素が前面に出ておらず、面白いドラマを観ているようにすいすい読み進められるから不思議。小学校受験が親も子もいかに大変なものかが良く分かった。ネタバレにならないよう詳細は書かないが、通り一遍の綺麗な回答でなく、誠実に本音でぶつかる親をしっかり評価してくれる学校はきっと良い学校だと思う。受験対策塾でできた主人公のママ友2人は前作のタワマンのママ友3人組と構造が似ていると思った。
    やはり幸せは自分の考え方次第ということと、世間体やステータスに縛られず自分の納得のいく人生を歩んでいる人が輝くのだなぁと思った。
    実名の名門小学校が複数出てくる中、主人公の子供が目指す小学校名が、東京の私立中学校の女子御三家からそれぞれ文字をとった四谷にある「桜葉女子学院」というのがおかしかった。

  • ザ・お受験小説。
    小学校受験に挑む娘と、その母親を中心に描いた家族小説でもある。

    母親は仕事をバリバリこなしながら二人の子どもの育児と家事に明け暮れる日々。
    夫は非協力的。

    そんな状態で、時間とお金と体力を搾り取られながら、受験の大海原へと進んでいく。

    片方が必死にオールを漕いでも片方がサボっていればバランスが崩れ、家族もろとも転覆する恐怖。
    若干六歳にして親の期待に応えようと頑張る娘。
    ギクシャクしていく家族関係。

    小学校受験を否定するつもりはないけれど子どもが子どもでいられる間くらいは笑顔で過ごして欲しいと切に願う。

  • 小学校受験どころか2人の子どもを塾さえ通わせなかった私ですが、子どものことを考える気持ちはとてもよくわかりました。また、うちも上が娘なので、娘の幼かった頃を思い出さずにはいられませんでした。

    「桜葉ってさ、『自分で考え、自分で判断して行動し、その結果に責任を持つことのできる人間を目指す』っていう教育理念があるんだよね。小学校から高校までずっとそう言われて育ってきたし、自分で決めたことは貫きたいなって」

    そう言われて育ってきたわけではありませんが、私の理想であり、そう生きているつもりです。

    「合格や不合格という結果よりも、そこに至るまでの過程や、積み重ねてきたことのほうがよほど意味があることです。小学校に入ってから、その後のほうが人生は長いんですから。」

    なんなら小学校を大学に変えても意味のある言葉だと思うし、実際そうだと思っています。

    そういう意味でもいろいろな年代の人におすすめ。



  • 子供の能力以上に、親の狂気じみた熱意と一時の運がその結果を左右すると言われる「小学校受験」。
    ふとしたきっかけから有名小学校を目指すことになったある家族の奮闘を描く。

    小学校受験を経験した親ならつい共感してしまうような「あるある」エピソードの連続に、ため息をつき続ける事必死。
    受験を決めた家庭同士の付き合い方や、ママ友関連ののエピソードなんかも非常にリアルで、時に心を抉られながらも楽しく読めた。
    実在する学校が多く出てくるので、小学校受験の雰囲気をつかむという意味でも一読の価値があると思う。

    我が家も、一昨年都内にて娘の小学校受験に挑んだ経験がある。当然良いことも悪い事も沢山あって、今では良い経験だったと和やかに話せるが、当時は、殆ど何も見えない真っ暗闇の海の上を、北極星だけを目指しひたすら舟を漕ぎまくる遭難者のような気分だった。
    コントロール困難な子供の体調と機嫌や、小さな子にペーパーを教え込む事に対する罪悪感。
    健気に頑張る我が子が誇らしくもあり、切なくもある。
    親も子供もメンタルを擦り減らしながら必死に駆け抜けた一年を振り返ると、受験を経験した家族全員は正に戦友だったと言える。

    当たり前のことだが、どんな家庭にも悩みと葛藤があり、同じ地獄を潜り抜けてきたのだなと改めて思った。

    作品の結末に関しては色々思う事もあるが、読むと登場人物全員にハグをしてあげたい気分になる。

  • いわゆる東京のお受験小説。都心に住んでいると、とにかく受験の話が付き纏う。はじめは明確な意思がなくとも、不安や焦りやなんとなくの雰囲気で流されるように塾に通い出したり、あれよあれよと言う間に受験戦争に巻き込まれることになったりするんだよね。
    お受験小説は結局、最後に「合格」か「不合格」かの二択のラストが待っているわけで、どちらに転んだとしてもそこに至るまでの過程が大事なんだなと思わされる。
    本作はラストにちょっとしたハプニングが起こる程度だし、母親の情緒も子どもの能力も基本的にずっと安定しているので、小説として楽しむにはやや物足りなさを感じた。でもその分すごく読みやすくてライトなので、お受験がどんなものか知りたいと思っている方にはぴったりなのではないでしょうか。

  • 前の本の方が面白かったかな。学校名とかポケモンとか、架空があったり、本当だったり統一性がないね。机とテーブルとか。幼稚舎の月齢とか、本当かね?

  • 面白かった。小学校受験の厳しさがわかった。

  • 受験と婚活は外から見てるとエンターテイメントとして面白いものですね

    前作、息が詰まるようなこの場所で、が男の子の中学受験なら、今度は女の子の小学校受験のお話

    専業主婦で小受まっしぐら!のお母様が大半の中で、共働きで化粧品メーカーでバリバリ働く新田茜の娘、結衣はたまたま行った受験教室でも筋がいい、と褒められそこから桜蔭を目指す

    結論から言うと桜蔭に受かります

    翼の翼しかり男の子の受験小説が、お母さんが突っ走ったり、途中でゲームやりたいと成績が落ちたりする展開がテンプレに対して今回の結衣ちゃんはほんとに健気に頑張っていて胸が打たれる…

    受験の詳細に重きを置くというより(灘中受験のやつはその辺が詳細でしたが)、母親の周りの人間関係がメインで進んでいく

    四大の弁護士を夫に持ち、おっとりした娘を学習院に入れたい麗佳
    経営者の夫を持ち、キラキラネームの双子を育てる寛子
    窓際三等兵さんらしいキャラの作り込みですが、ドロドロした感じもなく最後まで母親たちの友情が爽やかなのも読み応えがよかった

    茜がいっぱいいっぱいのとき察して車を出してくれる群馬のお父さんも好き

  • 私にはまだ子供がいないのですが気持ちがとても理解できる本だなと思いました。

    子供が成長するための環境はどうしても親しか作れない。親の視野が子供の世界になってしまう幼少期。

    親は自分の幼少期の時の風景しか知らずに大人になり、もっと自分の幼少期にはこうして欲しかったや自分にも別の世界があったのではないかと考えずにはいられません。特に大学受験で苦労したり、高校入試など、その前からエスカレーター式で名門大学に入れてもらえていたら、、、そんな思いがよぎってしまう主人公。

    小学校受験をさせようと思い至りますが、そこもまた不思議な世界で広いようで狭い世界。

    初めてのことで何が正解か不安になりながらも進むしかない道。 
    受験を機に家族関係までもが変化し、仕事と家事の両立。協力的ではない旦那さん。

    子供のための受験は本当に子供のためなのか,子供はスクスク元気に育ってくれれば満足ではないのか。。
    だけど大人になったら分かる格差を前に親としてはより良い環境を用意してあげたい。これは親のエゴなのか。
    悩む姿がとても印象的でした。

    結局は娘に将来どうなって欲しいか面接で聞かれた時に後悔しないように生きて欲しいと答えてしまう。

    でもそれが志望校に合わせて国際的に活躍して欲しいや定型文ではなく本来望んでるものなのだと思う主人公の葛藤。

    実際にその子が幸せか未来なんてわからない、
    何を望んで受験させようとするのか。子供の可能性を広げるため、幸せになって欲しいため。
    幸せとは何か、形があるようでなくて人それぞれの回答があるはずであり、それで良いはずなのに。
    受験をしてその学校に行くことが正義であるかのような世界観。とても深いなと思いました。


    実際にはそれで着いていけなくなって落ちこぼれることだってある。知らない方が良い世界だってある。
    大富豪と比べたらいつまでも自分はちっぽけで、でも幸せじゃないわけではなくて、お金や経験で幸せは測れない。答えなんてないけど幸せを考えさせられる作品でした。


    また余談で、主人公の旦那さんの態度で共感できる部分が多くて、旦那にいかに自分のして欲しい行動を取ってもらうようにコミュニケーションを取るかは重要なのは要素だと思いました。 


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