- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784047378193
作品紹介・あらすじ
「この子たちに選択肢を与えてあげられるのは世界で一人、私だけだ」 大手化粧品メーカーで働く新田茜は、ある日従姉妹のさやかの影響で、中学受験回避のための小学校受験に興味を持つように。テレビ局記者の夫を持ち、世間的にはパワーカップルと呼ばれる茜たちだが、お受験の世界はさらに上の富裕層との戦いだった。仕事と家庭の両立、協力してくれない夫、かさんでいく教育費、思い通りにならない子供たち。悩み葛藤しながらも、5歳の娘・結衣を名門小学校に合格させるため、茜はどんどん小学校受験にのめり込んでいく。その先に見えるものとは――。東京で過酷なお受験に翻弄される家族の物語!
感想・レビュー・書評
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外山薫さん2冊目。前作はタワマンだったが、本作のテーマは小学校受験。タワマンも小学校受験も側から見ると狂気じみた関係者が含まれていそうで、日常的なマウンティングやドロドロした感情のぶつかり合いがあるイメージだが、著者の描く作品はいずれもそうした要素が前面に出ておらず、面白いドラマを観ているようにすいすい読み進められるから不思議。小学校受験が親も子もいかに大変なものかが良く分かった。ネタバレにならないよう詳細は書かないが、通り一遍の綺麗な回答でなく、誠実に本音でぶつかる親をしっかり評価してくれる学校はきっと良い学校だと思う。受験対策塾でできた主人公のママ友2人は前作のタワマンのママ友3人組と構造が似ていると思った。
やはり幸せは自分の考え方次第ということと、世間体やステータスに縛られず自分の納得のいく人生を歩んでいる人が輝くのだなぁと思った。
実名の名門小学校が複数出てくる中、主人公の子供が目指す小学校名が、東京の私立中学校の女子御三家からそれぞれ文字をとった四谷にある「桜葉女子学院」というのがおかしかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ザ・お受験小説。
小学校受験に挑む娘と、その母親を中心に描いた家族小説でもある。
母親は仕事をバリバリこなしながら二人の子どもの育児と家事に明け暮れる日々。
夫は非協力的。
そんな状態で、時間とお金と体力を搾り取られながら、受験の大海原へと進んでいく。
片方が必死にオールを漕いでも片方がサボっていればバランスが崩れ、家族もろとも転覆する恐怖。
若干六歳にして親の期待に応えようと頑張る娘。
ギクシャクしていく家族関係。
小学校受験を否定するつもりはないけれど子どもが子どもでいられる間くらいは笑顔で過ごして欲しいと切に願う。 -
小学校受験どころか2人の子どもを塾さえ通わせなかった私ですが、子どものことを考える気持ちはとてもよくわかりました。また、うちも上が娘なので、娘の幼かった頃を思い出さずにはいられませんでした。
「桜葉ってさ、『自分で考え、自分で判断して行動し、その結果に責任を持つことのできる人間を目指す』っていう教育理念があるんだよね。小学校から高校までずっとそう言われて育ってきたし、自分で決めたことは貫きたいなって」
そう言われて育ってきたわけではありませんが、私の理想であり、そう生きているつもりです。
「合格や不合格という結果よりも、そこに至るまでの過程や、積み重ねてきたことのほうがよほど意味があることです。小学校に入ってから、その後のほうが人生は長いんですから。」
なんなら小学校を大学に変えても意味のある言葉だと思うし、実際そうだと思っています。
そういう意味でもいろいろな年代の人におすすめ。
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子供の能力以上に、親の狂気じみた熱意と一時の運がその結果を左右すると言われる「小学校受験」。
ふとしたきっかけから有名小学校を目指すことになったある家族の奮闘を描く。
小学校受験を経験した親ならつい共感してしまうような「あるある」エピソードの連続に、ため息をつき続ける事必死。
受験を決めた家庭同士の付き合い方や、ママ友関連ののエピソードなんかも非常にリアルで、時に心を抉られながらも楽しく読めた。
実在する学校が多く出てくるので、小学校受験の雰囲気をつかむという意味でも一読の価値があると思う。
我が家も、一昨年都内にて娘の小学校受験に挑んだ経験がある。当然良いことも悪い事も沢山あって、今では良い経験だったと和やかに話せるが、当時は、殆ど何も見えない真っ暗闇の海の上を、北極星だけを目指しひたすら舟を漕ぎまくる遭難者のような気分だった。
コントロール困難な子供の体調と機嫌や、小さな子にペーパーを教え込む事に対する罪悪感。
健気に頑張る我が子が誇らしくもあり、切なくもある。
親も子供もメンタルを擦り減らしながら必死に駆け抜けた一年を振り返ると、受験を経験した家族全員は正に戦友だったと言える。
当たり前のことだが、どんな家庭にも悩みと葛藤があり、同じ地獄を潜り抜けてきたのだなと改めて思った。
作品の結末に関しては色々思う事もあるが、読むと登場人物全員にハグをしてあげたい気分になる。 -
いわゆる東京のお受験小説。都心に住んでいると、とにかく受験の話が付き纏う。はじめは明確な意思がなくとも、不安や焦りやなんとなくの雰囲気で流されるように塾に通い出したり、あれよあれよと言う間に受験戦争に巻き込まれることになったりするんだよね。
お受験小説は結局、最後に「合格」か「不合格」かの二択のラストが待っているわけで、どちらに転んだとしてもそこに至るまでの過程が大事なんだなと思わされる。
本作はラストにちょっとしたハプニングが起こる程度だし、母親の情緒も子どもの能力も基本的にずっと安定しているので、小説として楽しむにはやや物足りなさを感じた。でもその分すごく読みやすくてライトなので、お受験がどんなものか知りたいと思っている方にはぴったりなのではないでしょうか。 -
前の本の方が面白かったかな。学校名とかポケモンとか、架空があったり、本当だったり統一性がないね。机とテーブルとか。幼稚舎の月齢とか、本当かね?
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面白かった。小学校受験の厳しさがわかった。
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TOKYOをまなぶ
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