むすぶと本。 『さいごの本やさん』の長い長い終わり

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 352
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047361829

作品紹介・あらすじ

店主の急死により、閉店フェアをすることになった幸本書店。そこに現れたのは、故人の遺言により幸本書店のすべての本を任されたという都会から来た高校生・榎木むすぶ。彼は本の声が聞こえるという。その力で、店を訪れる人々を思い出の本たちと再会させてゆく。いくつもの懐かしい出会いは、やがて亡くなった店主・幸本笑門の死の真相へも繋がってゆく――。“本の味方!”榎木むすぶが繋ぐ本と人のビブリオミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 作者の野村美月さんが育った東北の地方都市には、かつて書店がたくさんあり、特に一番にぎわっていたのは、駅の近くのアーケードにある三階建ての書店だそうです。
    東北で一番。日本で一番の本屋さんなんだぞ!と心の中で自慢していたそうです。
    だからその書店の閉店を知ったときは、信じられず泣いたそうです。
    この幸本書店の物語りを書きながら、ずっと幸せしかなかった。その空間を思い出していたそうです。

    この本は作者が書店と本が好きだという想いがとてもよく伝わってきます。

    幸本書店の三代目の店長の笑門さんが仕事中に亡くなるというショッキングな出来事からこの物語は始まりますが、最後は亡くなった笑門さんが、心から本と皆を愛していたことが改めてよくわかります。


    以下ネタバレなのでお気を付けください。

    一冊の図鑑で人生を変えた道二郎さん。
    長い年月を経て本によって結ばれた彬夫さんと瑛子さん。
    古い『かもめ』と新しい『かもめ』の二冊の本を胸に凛然と進む女優のアスカさん。
    笑門さんが選んでくれた『ゾロリシリーズ』を今も買い続けている中学生の広空くんと颯太くん。
    『緋文字』のディムズデール牧師に自分の罪を重ねて苦しんでいた作家の田母神さん。
    笑門さんにアランの『幸福論』を処方してもらったアルバイトの水海さん。
    そして、笑門さんに、本たちをまかされた、本のことばがわかる高校生の榎木むすぶ。

    そして笑門さんのたおやかな笑顔。

  • 野村美月「むすぶと本。『さいごの本やさん』の長い長い終わり」 消えゆく街の本屋への追悼|好書好日
    https://book.asahi.com/article/13755423

    野村美月|note
    https://note.com/harunosora33

    nezicaplant
    http://www.nezicaplant.com/

    むすぶと本。 『さいごの本やさん』の長い長い終わり 野村 美月:文芸書 | KADOKAWA
    https://www.kadokawa.co.jp/product/322004000139/

  • 町に一軒だけ残っていた本屋、河本書店がある日店長の不慮の事故死により閉店することになった。
    最後の閉店セール期間中、客たちに自分の想い出の本を持ってきたり、店でポップにコメントを書いたりすることを呼びかけると、これまでで一番と言っていいくらいの賑わいを見せる。
    子供向けの本という印象ながら、書店の店長、幸本笑門さんはじめ、本と会話ができるむすぶや、幸本書店にゆかりのある本好きな人たちを巡る短編がたくさん描かれていて、心暖まるストーリー。
    "幸福論"を読みたくなった。

    本屋さんにはなくなってほしくないと思いながら読了。

  • 本の声が聞こえるむすぶと幸本書店に訪れたお客さんとの話です。
    幸本書店の閉店フェアにそれぞれが思い出の本を持ち寄りポップを書いて行く。
    その中で訳ありなお客さんがいて…
    このラストにきっと涙します!

  • なんだろう…もったいない。本の声の聞こえる「むすぶ」と、突然亡くなってしまった、心優しい店長の死の真相…、うまく言えないんだけど、やたらに店長が幸薄いのも、盗作を責めない事に責められて死のうとするのも、女優を目指して上手くいかないのも、ひとりひとりが薄いキャラクターで無理矢理感が半端ない。詰め込み過ぎてるのか、読んでも腑に落ちないモヤモヤがすごく残る。私には合わなかった。

  • 書店でこの本の紹介ポップを見た時に郡山の駅前にあった某書店が話の舞台のモデルになっていると書いてあり妙に懐かしい気持ちになり迷わずに即購入してしまった。作者の野村美月さんが福島県出身と言うのもありました。
    物語の主人公である高校生のむすぶ君は本の声が聴こえるという何とも羨ましい特殊能力?があり1冊の本の中の女の子を彼女と呼びたまに人前でも会話をしている。周りの人には独り言を言っているように思われる(笑)
    そんな主人公むすぶが街で最後の1軒になってしまった。書店の最後の営業日の様子やきっかけになった悲しい出来事の真相を本の声を聴いたりしながら明らかにしていくといった興味を惹かれる内容だった。最後の営業日にお店に訪れる書店の常連客の店長との思い出など心が暖まるような内容になっていて良かった。
    自分にも本の声が聴こえたら今以上にもっと物語を読むのが楽しくなるのだろうと想う。ナツさん、笑門さん、兼定さんの表紙の絵もいい感じです。簡単な感想にしたいと想います。 

  • 初めて読んだ作家さんでしたが、面白かったです!
    本の声が聞こえる青年と本屋の店主の謎の関係、水海さんの思いなど、結構ぐっとくる場面が多い物語です。
    作者さんが福島出身と書かれていたので、手にとってしまいました。

  • ある町の最後の本屋の店主が死んだ

    店主を失った本屋は閉店までの間に
    この本屋に思い出を持った様々な客が訪れ
    思い出の本のPOPを飾っていく。

    本と話すことができる少年が
    その書店を訪れる人々と本の物語を
    読み解いたとき
    今まで見えていなかった真実を知る。

    あたたかさの中に鋭利な刃物が忍ばされた物語。

  • 図書館で借りた本。かつては賑わっていた駅近くの町の書店の閉店が決まり、3代目の店主は時代の流れを静かに受け入れながら閉店までの期間を過ごしていた。だが店主の笑門は突然の事故で亡くなったしまう。そこに書店を相続したという高校生の男子が登場し、閉店までの書店で春休みバイトとして働く事に。この高校生は本と話ができる能力があり…という話だが、書店を通じて出会った客と本の思い出話が号泣しながら読める話のオンパレードで、紙の本が好きな人はぜひ読んで欲しいと思った本。

  • 初読み作家さんでしたがとても素敵なお話でした。店主の死でお店を閉めることになった本屋さん。舞台が書店なので出てくる方は基本的に本好きばかり。思い思いに別れを惜しむ姿にグッとくるものがありました。ゾロリ懐かしい。本屋さんって、紙の本って良いなぁと改めて思いました。そして謎のキャラむすぶくん。もう1冊シリーズが出ている(そちらが最初?)ようなので気になります。

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著者プロフィール

合唱王国福島出身。春の夕暮れに生まれる。幼いころから読むこと、書くこと、眠ることが大好きで、作家を目指す。作品に「文学少女」シリーズ、「むすぶと本。」シリーズ、『ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件』(いずれもファミ通文庫)などがある。

「2021年 『世々と海くんの図書館デート(5) 春めくきつねは、つりばしにゆられて、あのこに会いにゆきます。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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