耳で考える ――脳は名曲を欲する (角川oneテーマ21 A 105)

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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047102057

作品紹介・あらすじ

わたしたちはなぜ"耳"の重要性を忘れてしまったのか?聴覚の持つ神秘の力を、第一人者が問う。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館をふらついていて、養老孟司×久石譲という異色?の組み合わせに惹かれて手に取った本。なんとなく好きだった久石譲の音楽をもっとよく知りたいと思わせてくれた。
    目次をたどるだけでも、お二人がご自身の専門を軸としながら、色んな話題を結合している(特に養老さん)ことが伺える。

    (まえがき 養老孟司)
    「音楽は論理性が高い。一部の音楽は強く情緒に訴えるから、そう思わない人も多いであろう。でもとくにクラシックは論理性に傾いている。数学と音楽、なかでも作曲の才能が、個人のなかでしばしば重なることは、西欧でも古くから知られたことである。筋の通った久石さんの話を聞いていると、よい音楽を聴いているような気持ちになる。音楽と言葉が深いところで連結しているということを、話しながら実感させてもらった。」

    →長年音楽してきたのに音楽の論理を知らないことは恥ずかしい…。音楽の論理性について知ることができた。


    (p.69- どこにも顔がない音楽)
    プロツールス(リズム、音程もデジタル修正できる)
    →売れる歌手って歌の巧さより顔、個性なのでは。私自身の好みしかり。


    (p.72- 空気が変われば感性も変わる)
    日本とロンドンとのレコーディングの違い。
    「久石:環境がこちらの感性を変えているんですね。」
    「養老:アートといわれるものには、その風土の総合的なものが表れる。(中略)パイプオルガンなんか典型的で、そもそもが西洋の石でできた教会のホールみたいなところで発達しているわけですから、日本に持ってきても合わない。湿度の高い日本ではあっという間に音が変わってしまいますよね」


    (p.80- 作曲の胆も閃きにあらず)
    「久石:作曲とは限られた音の中での構築作業であって、何かパッと閃いたものを次々出していけばいいというものではない。」
    「トゥランガリーラ・シンフォニー」まさに巨大建築物を造る

    (p.85- 創作の二面性)
    意識的な志向性、情緒的、エモーショナル、メッセージ性/機能性、論理性、運動性


    対談形式。だから、お二人も一言一句に気を配っている訳でもないだろうし、ぱっぱっと読み飛ばしました。自分の経験からか、対談を書き起こした人がどんな方なのか。何に気をつけているのかが気になるところ。実際にお二人が話しているところを是非お聞きしてみたい。

  • 養老孟司と久石譲の対談形式.
    音楽関係かとおもいきや,関係ない雑談がだいぶある.タイトル詐欺か?
    どちらかというと,文化について二人が自分の意見を言ってるだけの対談か.
    養老が白熱してきて久石がちょっと引いてる場面が面白い.

  • 対談で、お二人の生の声を聴いているような心地をしながら読んでいました。脳化の話が面白かったです。

  • 私は対談とは「イマイチ論理が深まらないもの」だと感じています。
    この本もイマイチ論理が深まっていないと感じました。
    でも久石譲が大好きな私には面白い一冊でした。

  • ●ジャンルとして音楽の本かと言えば微妙だが、含蓄に富んだ話が多く、楽しく読めた。

  • Vol.42
    時間が経っても色あせないものとは?
    http://www.shirayu.com/letter/2009/000087.html

  • 食わず嫌いで、対談モノはあまり読んでこなかったのですが、久石さんとの対談とのことで手に取った。
    久石さんご自身があとがきで言われているとおり、彼は聞き役。

    養老さんの話力はさすがで、学者の明晰なところと、文化人としての面白いところが混ざっていて凄いなと。が、もっと久石さんの話も聞きたかった、というのが正直なところ。

    久石さんの気持ちを知って、自分の演奏に生かせたらと思ってたのですが、なんと言語学的なパートも相当の頁を割いて出てきている。思わぬ収穫でした。

  • すごく刺激的な本

  •  脳に関する多数の著作を持つ解剖学者、養老氏と宮崎アニメなどの映画音楽を中心として知られる作曲家、久石氏の対談。
     音楽が人々をとらえる仕組みを、人類や生物の起源までさかのぼる。視覚や触覚と比較しながら聴覚が脳に対して優位に働く様子が説明される。
     お互いの立場で「いい音楽とは何か」に言及される。バッハやモーツァルトが多作だった理由。「意識」を取り巻く情報化と情報処理に、言葉の働き。
     作曲にはオリジナリティだけでなく、根本に共感性が必要だという。多々あるロックやジャズの名演即興はそうなのかと、フッと理解したような気になるのである。

  • 物事の真理というものは、言葉だけでは説明しきれない。

    芸術も言葉にできないものがあるからこそ、芸術として表現する。

    オリジナルティとは、新しい共感を発見すること。
    そして、良い音楽とは長く聴かれ、色褪せない。

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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