死者と先祖の話 (角川選書 595)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047035942

作品紹介・あらすじ

都市化や延命長寿化がすすみ、人々と宗教との関わり方、寺院や墓のあり方が激変する時代、死を棚上げしたまま、無葬無墓・寺院消滅・脱宗教等の社会現象だけが肥大化してきている。日本人は死をどのように受け止めて、死者はどう供養され、先祖たちはどのように祀られてきたのか。そしていま、みずからや家族の死を、私たちはどのような形で迎えたらよいのか――。柳田国男『先祖の話』と折口信夫『死者の書』という、戦時下に著された二つの書をてがかりに、鎮魂・供養・往生・看取り等から、日本古来の信仰や死生観を見つめ直す。

第一章 戦後と東北
 『死者の書』と『先祖の話』
  身捨つるほどの祖国はありや
  東北――変わりゆく挽歌
  生者への励ましと慰めの歌
  内村鑑三、柳田国男の再評価
 「墳墓の地」とは何か
  頼山陽の山紫水明
 「死生観」のモデル

第二章 英霊と鎮魂
  『昭和万葉集』と原『万葉集』との落差
  肉・骨・霊の三位相
  『遠野物語』の蓮台野とダンノハナ
  霊場と道頓堀
  サンフランシスコに眠る下山逸蒼
  BC級戦犯と「愛の像」
  『世紀の遺書』に込めた懺悔

第三章 供養と骨
  霊魂をめぐる四つの柳田仮説
  折口信夫の「餓鬼阿弥蘇生譚」
  死者供養の救済システム
  餓鬼とは何か
  日本人の餓鬼観
  中原中也の「骨」
  殯とは何か
  仏舎利信仰

第四章 折口と柳田
  祟りとは何か
  『死者の書』前夜
  山越しの阿弥陀図
  死と蘇りの物語
  死者から死者への転生
  折口の「死者」から柳田の「先祖」へ
  柳田をめぐる三つの問い
  柳田の危機意識
  先祖とは何か

第五章 往生と看取り
  山岳信仰と万物生命観
  浄土である山頂に遺骨を納める
  「骨」の形而上学――芭蕉、一休、蓮如
  「東京だョおっ母さん」と「九段の母」
  英霊と遺骨をめぐる悲哀
  長寿化と死の恐怖
  死者のリアルを直視せよ源信――『往生要集』
  看取りと往生の実践――二十五三昧会
  死者から先祖へ――過去帳

第六章 死と生
  河鍋暁斎の衝撃
  暁斎がみた「死者」たち
  骸骨が意味するもの
  現代「九相図」からの異議申し立て
  東北再考
  今ふたたびの柳田と折口
  グレーゾーンの時代を生きる
  からだを土の中に埋めもどす
  『黒い雨』と「白骨の御文」

感想・レビュー・書評

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  • 山折哲雄 著「死者と先祖の話」、2017.12発行。かなり私には難しい話でした。何%理解できたことか・・・。この社会はいつの間にか、死後離婚や家族葬、樹木葬、散骨葬などの言葉が飛び交うように。死者が見えない、先祖が見えない、他者だけが見える。この本は、死者、先祖をこの手に取り戻すために書かれたそうです。戦後と東北、英霊と鎮魂、供養と骨、折口と柳田、往生と看取り、死と生の6つの章立てです。

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著者プロフィール

山折 哲雄(やまおり・てつお)
昭和6年サンフランシスコ生まれ。父は浄土真宗の海外布教使。震災の被災地岩手県花巻市で少年時代を送る。東北大学印度哲学科卒業。同大助教授を経て国立歴史民俗博物館教授、国際日本文化研究センター所長などを歴任。むずかしいテーマを分かりやすく、かつ独得な視点から論じて読者を飽かさないユニークな宗教学者。専門の宗教学、思想史のほか、西行などの文学的テーマから美空ひばりまで、その関心とフィールドの広さは定評がある。『人間蓮如』『悪と往生』『ブッダは、なぜ子を捨てたか』『親鸞の浄土』など、著書は100冊を越える。

「2022年 『日本人の心と祈り 山折哲雄講演選集 CD版 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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