怪しいものたちの中世 (角川選書 566)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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本棚登録 : 90
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047035669

作品紹介・あらすじ

日本の中世に暗躍した「怪しいもの」とは何者か。山伏、占い師、ばくち打ち、勧進聖……。神仏の威光を利用した彼らの活動は多様であり、心の平安を与える方法は多岐にわたる。一見すると詐欺のようにも思えるが、殺伐とした環境に置かれた人々に夢見る喜びを感じさせ、人間らしい感情や希望、未来について考える機会を与えていたのだ。中世の「宗教」の果たした知られざる効用を、豊富な事例から解き明かす新しい中世史。

感想・レビュー・書評

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  • p.11
    _第一章 中世の博打
     cf) 網野善彦氏「職人歌合」
    __博打と山伏
     日本の山々を歩き回遊することで担う情報ネットワークについて。
    __山伏・鋳物師・遊女
     山伏・鋳物師・遊女の出てくる物語での、山伏の語られかた。

  • 自由と悲惨は表裏一体、強者は弱者に。
    そんな中世社会を跋扈した「怪しいもの」とは何者だったのか。
    第一章 中世の博打・・・詐欺を行う者たち。「博打」と行者との関係。
    第二章 夢みる人々・・・卜占も夢も神意の現れ。
    第三章 勧進の時代・・・浄土思想と勧進。永観と重源。
    第四章 異形の親王・・・院政開始から増えた天皇や院の御落胤たち。
              以仁王の子らの運命。清盛は果たして?
    第五章 法勝寺執行の系譜・・・院政を行い、絶大な権勢と富を得た
             白河天皇が造営した法勝寺。その寺院経営の
             中核であった執行たち。信西の息子や俊寛も!
    参考文献有り。系図も複数。
    平安時代末期から鎌倉時代初期。
    政治、信仰、人々の世界は混沌としている中世社会。
    白河天皇が始めた院政は、政治のみならず、貴族や武士、宗教にも
    影響を及ぼす。婚姻ネットワーク、認知されない皇子女たち。
    権勢と富を得た法勝寺執行の人間模様。
    庶民の世界に現れる信仰を騙って詐欺を行う者たち。
    神仏の威光は多様に人々に作用し、夢見、希望を与える。
    魑魅魍魎は生ける者・・・人。
    一般的な歴史書では語られない「怪しいもの」の姿は悲喜こもごも。
    以仁王や北陸宮、承久の乱の乱に関わる法勝寺執行の尊長等、
    興味深い内容があり、楽しめました。

  • 歴史

  • 「あやし」に俗っぽい期待を持つと裏切られます。純粋な中世日本史です。

  • 世界の辺境とハードボイルド室町時代とこれと、私が高校大学の頃習った中世から近世の前までのイメージが今はずいぶん違うんだな。
    怪しいものの必要性がおそらくネットの今とは大きく違うんだろうけれど。何かどんなふうに校正の歴史研究者に今が読まれるのか結構気になってきた。

  • 異人・異形・非人などに触れるかと思いきやちょっと想像と違いました。

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著者プロフィール

東京大学史料編纂所教授。
一九六〇年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。
著書『買い物の日本史』 (角川ソフィア文庫、二〇一三)、『怪しいものたちの中世』(角川選書、二〇一五)ほか。

「2016年 『近衞家名宝からたどる宮廷文化史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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