私のジャンルに「神」がいます

著者 :
  • KADOKAWA
4.09
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本棚登録 : 467
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046800268

作品紹介・あらすじ

類まれなる文章力で二次創作界に燦然と輝く天才字書き・綾城(あやしろ)。
同ジャンルの者達はその作品に焦がれ、打ちひしがれ、
彼女に馴れ馴れしくリプを飛ばす「おけけパワー中島」への憎悪をくすぶらせていくのであった……。

天才字書きをめぐる創作者たちの葛藤を綴った連作。

書籍描きおろしとして、綾城が小説を書き始めた頃を描いた「天才字書きの生まれた日」を収録。
綾城と中島の出会いが明かされる――

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。私の知らない文化の話だけど、たしかに流れ星のように現れるインディの作家というのは創作漫画なり音楽なり、どのカテゴリの文化にもいて、彼らや彼女らはよくもわるくも執着がなく、フッといなくなったりする。でもそれは、この漫画の主人公たちも通学の合間に活動をしているとか、なんとなく沼にハマったとか、そういうある種あいまいな背景のもとでプレイヤーになっていったことを思うと、そういうものなのかもしれない。「作家になるのが将来の夢で今は修行しながらその足掛かりを作ってる」などと考えてやっているわけではないし、嫌なことがあったりトラブルがあれば距離を置いたりする。だからこそ、定着のためにコミュニティをつくっていくことが大切だという話にもなるのかもしれない。私は編集者だから、才能のある人は繋ぎ止めなければいけないな、と考えてしまう。

    ジャンルという文化も、むしろゼネラリストであることを是とするカルチャーで育った身としてはよくわからないのだが、しかし、それほど重要なコミュニティの礎であるジャンルを飄々と転々としてしまう綾城さんはいったい何なのか? そして彼女に心乱される私たちはいったい? そんな関係性への想像をさらに膨らませる(つまり二次創作する)のがはかどるという、メタ的な捉え方もできる作品ともいえる、かも?

  • 短編読んで気になってたやつ、ついに買ってしまった…。
    崇拝する絵師さんとか字書きさんいる人間には、わかり味が深すぎるんだよなぁ…

  •  Twitterで一部界隈を大いにざわつかせた、同人ジャンルにおける神を多視点で描いたTwitter漫画の書籍版である。
     更新されるたびになぜか脇役の「おけけパワー中島」の方がトレンド入りしていたのはご愛嬌だが、綾城という名の天才字書き(二次小説家)=神を中心に、その周囲の人々の視点で彼女を描いた作品である。

     この作品は何といっても、ディテールの描き方と同人界隈の人間の情念を描く様が凄まじい。
     前者においては、例えばそれは検索ワードの選び方であったり、かつての個人サイト全盛期における夢小説系サイトの面倒くさい姿であったり、わかる人にはわかるタイプのディテールの細やかさがこれでもかと描かれている。
     後者はこの漫画の軸と言っていい。
     オタク特有の面倒臭さを一切脱臭せずに描いていて、神と親しくしている人物への嫉妬だとか、同ジャンルで競う相手への反感だとかをまざまざと描いている。
     そしてそのベースには

    「創作を行う燃料は負の感情である(場合が多い)」

     という事実がある。
     感想に一喜一憂するような可愛らしい心情もあるが、神とされる人への「コイツの解釈が正解扱いなの、ホント気に食わない」といった感情まで丁寧に描かれているのだから、素晴らしい。
     腐向けジャンルをベースにしながら、その部分ではきちんと臭みが取られているので、同人や二次に詳しくない方でも読める良質な現場ルポ漫画である。

     地味だが、おけけパワー中島の存在も大きいところだ。
     神の親友というイラっとする立ち位置で出演し、徐々に

    「あれ、コイツめっちゃ良いやつ……」

     と思わせていく構成などもよく計算されている。
     不人気ジャンルに繰り出した渾身の二次創作を一番乗りでお気に入りし、感想ツイートまで上げる彼女はあまりに眩しい存在だった。
     光のオタク扱いを見かけた記憶があるが、まさにそれ。存在自体がエモい。

     正直、紙の本として読むよりTwitter上で読んだ方が魅力を感じやすい漫画ではあると思う。
     ワンクリックとページをめくる動作はどうしても違う。そこに違和感はあった。
     ただ、それを推しても推薦するに足るだけの内容であり、そこで描かれた情念の濃厚さは甚だしいものがあった。

     というわけで、総評として星五つで評価したい一冊である。
     上述したように、腐向け要素はほぼ皆無なので、男性にも問題なく読める作品である点は付記しておきたい。

  • 同人活動(二次創作BL小説書き)をする女性たちの悲喜交々を描いた作品。共感性の高さと「おけけパワー中島」という作中キャラの強烈なペンネームが話題となり、ついに書籍化した。

    商業版は全3巻、続きは同人誌で発行するとのこと。

  • 評判が良くて読んだけど、私にはさっぱり意味がわからず途中で断念してしまった…。

  • 全てが同人あるあるだよね……と思った。

  • めっちゃ面白かった…!!
    リアルなモヤモヤな部分とかも描かれていて良かったし共感する人絶対いるよね

    綾城さんマジ神

  • 二次創作をするオタク(特に字書き)にクリティカルヒット。
    わたしたちの「リアル」をものすごくあざやかに描き出していてバズるのは必須って感じ…。オタクってメディアに取り上げられるとなんとなくズレてたり遅れてたりしてること多いけど、これはもう鮮明にリアル。身に覚えのある感情(しかもネガティブな)がいっぱいで、なーんだみんなそうなのねと思ったり、二次創作への初心を思い出して熱くなったり。
    くじけそうなとき読みたい漫画です。

  • なんだ、この身に覚えのある感
    満載の本は(笑)

    綾城さん、実は本編中に
    「作品」は一行も載ってないのに
    読み手側の「神」感がすごい。
    そして人格者…
    本当にこんな「神」対応してくれたら
    みんなファンになっちゃうよ〜。

    なんだろうねぇ、もうねぇ
    サラっと読んで終わりかと思ってたけど
    しばらくかみしめられそう。

  • わかりすぎて心が痛いw

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著者プロフィール

SNSにて作品を投稿する。創作活動をする人の感情、その振れ幅の極致を描く。Twitter:@sanada_jp

「2022年 『私のジャンルに「神」がいます3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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