なぜ中国は民主化したくてもできないのか 「皇帝政治」の本質を知れば現代中国の核心がわかる

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046022974

作品紹介・あらすじ

2018年3月の中国の全人代において、国家主席の任期制限を撤廃する憲法改正が可決された。習近平氏は間違いなく「終身主席」の座を狙っている。中国政治を知り尽くした石氏は、そう断言する。

しかしなぜ、民主化が進んだ世の中で、21世紀に至っても中国という国は市民も含めて「皇帝政治」を求めてしまうのか? その背景には、日本とはあまりにも異なる、中国独特の政治システムが存在していた。

始皇帝から現代までの中国史を一気に通観し、「皇帝政治」と中国とのかかわりを解き明かしたうえで、これからの日本と東アジア諸国に「新しい皇帝政治」が与える凄まじいインパクトを読み解く!!!


〈内容例〉
あえて紫禁城でトランプをもてなした習近平/どこをどう探しても後継者が見当たらない/少なくとも四期、できれば狙いは「終身主席」/党規約に盛り込まれた「習近平」という思想/始皇帝がつくり上げた「皇帝独裁の中央集権制」/「権力と権威の一体化」こそ皇帝の本質である/中央集権制の採用自体が秦王朝を滅亡させた?/皇帝政治の伝統を定着させた前漢王朝の成功/「天不可無日、国不可無君」なる中国の知恵を知れ/「化外の民」を教化することが「真命天子」の証/漢王朝と唐王朝はいかに中華秩序を構築したか/繁栄しながらも異民族に滅ぼされた宋の悲劇/明にも清にもみごとに当てはまる「歴史の法則」/清王朝の国内支配に打撃を与えた西洋列強/日清戦争の敗北、そして中華秩序は完全崩壊へ/蒋介石が「皇帝」になるチャンスを阻んだ共産党勢力/一九四五年、毛沢東は「皇帝」への夢を披露した/なぜ中華人民共和国の建国は天安門でなされたか/もう一度、「民族の偉大なる復興」の真意を読み解く/「新アジア安全観」の狙いは米軍を排除すること/日本はいま、存亡をかけた戦いを迫られている ……ほか

感想・レビュー・書評

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  • <目次>
    はじめに
    第1章習近平という新しい皇帝の誕生
    第2章皇帝の本質は秦の始皇帝に学べ
    第3章前漢王朝が定着させた国不可無君
    第4章中華思想に基づく歴史の法則とは
    第5章なぜ蒋介石は皇帝になれなかったか
    第6章皇帝政治の終焉を狙った鄧小平改革
    第7章新皇帝率いる中国の戦略と日本の覚悟
    おわりに

    セントレアで出国前買った本。
    長いあいだ読みかけ放置であったものを何気に読んだ。
    言っていることは以前から言われていることなので
    つまらなくて放置していたのだろう。
    出版後4年して状況はどうなのか?と考えて
    あまり大差ないと思う。
    このコロナ禍の下、どのように考えるるのか。。。

  • 中国の歴史が、わかる。中華思想もわかる。

  • 中華思想と中華帝国、中華皇帝。
    これが切り離せないのだな。天子様だからか。
    んで、冊封体制、夷狄の教化、形上押し戴いて貢物をしてればいいと言いながら、国力がつくと必ず近隣を征伐して、そういう王朝でなければ支持されない文化。

    韜光養晦だっけ、それだって同じ文脈で理解できる。
    侵略することが国是だから、獲られることは最大の恥辱だ。まずはそれを奪い返すことが義務であり、今また調子こいて中華帝国の復活を期する。

    どうすんだ、すぐ隣の国やぞ。

  • ぜひぜひ、読んでください。韓国や中国がどのような考えで居るのかよくわかります。それぞれの国の人のものの考え方が理解できます。

  • 中国が民主化できない理由や習近平がこれからどのようなことを狙っているのかを、中国の古来からの近代までの歴代王朝が行ってきた皇帝政治を理解し、分析することで解き明かしていくとても興味深い一冊です。本書により、中国の王朝の歴史や皇帝政治の本質を学ぶことができ、とても為になりました。

  • 中国出身で日本に帰化した中国問題の評論家として活動する著者が、習近平体制における強力な中央集権化を支えるメカニズムが、中華思想に基づく強い皇帝への期待心にあるということを、中国の歴史を紐解きながら解説する論考。

    始皇帝以来、中国の戦乱の歴史は、強固な皇帝の中央集権体制により政治の安定性を確立することと、皇帝のような指導者が道を踏み外した際のリスクを、どうバランスを取るかに苦心した点にあることを指摘した上で、未だ人々の心には強い皇帝を求める民心があることを著者は指摘する。中国共産党が政権を取ってから、皇帝たる権力基盤を確立した毛沢東及び鄧小平に比べて、確たる政治実績を持たない習近平が次代の皇帝たる中央集権化を確立できたのは彼がそれを望んだ、というよりも、そうした民心が、彼を次代の皇帝に駆り立てた、というのが本書の骨子である。

    その上で、毛沢東のような国家統一も、部分的な市場主義経済の導入による鄧小平のような経済成長も、いずれも期待できない現代において、鄧小平が皇帝たる実績を作るには、中華思想の元で世界の覇権を取ることしか道は残されていないということが、近年の中国の膨張主義的な外交の理由であるということが結論として導き出される。

    それぞれの議論のベースとなる事実はいずれも若干なりとも中国の歴史を知っている人間であれば周知のものが過半であるが、このような一本だったストーリーで現代の中国政治を語る筆力は非常に分かりやすい。

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著者プロフィール

評論家。1962年、中国四川省成都市生まれ。1980年、北京大学哲学部に入学後、中国民主化運動に傾倒。1984年、同大学を卒業後、四川大学講師を経て、1988年に来日。1995年、神戸大学大学院文化学研究科博士課程を修了し、民間研究機関に勤務。2002年より執筆活動に入り、2007年に日本国籍を取得。2014年『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(PHP新書)で第23回山本七平賞を受賞。近著に『漫画でわかった! 習近平と中国』(かや書房)、『世界史に記録される2020年の真実 内患外憂、四面楚歌の習近平独裁』(ビジネス社)、『中国五千年の虚言史』(徳間書店)、『日本共産党 暗黒の百年史』(飛鳥新社)などがある。

「2021年 『中国 vs. 世界 最終戦争論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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