- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046020765
作品紹介・あらすじ
【ネットで大反響!発達障害の人はもちろん、グレーゾーンの人、仕事がうまくいかない人にも役立つ仕事術】
発達障害の著者が、数々の失敗をやらかしながら身につけた仕事術をまとめた1冊。
片づけ、時間管理、かばん、メモの取り方、うつから抜ける方法、雑談の技術……当事者ならではの、「本当に役立つハック」が満載! 普通には生きられなくても、生きていくことはできるし、食べていくこともできる。仕事で死にたくなった日に読んでみてください。
感想・レビュー・書評
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例えば、長い間、病気に侵されている。
たまたま、自分が行ってる治療が、
激的に効果を上げた場合、嬉しい感情が沸き起こる反面、
「もっと早く知っていれば、、、もっと早く適切な処置を施していれば、、、
こんなに苦労しなかったのに」と思います。
著者も、この著書で自身が患っている双極性障害に関して語っています。
引用
「もしかしたら、小学生のときに発達障害の診断を受けて、
自分と社会の間にある折り合えなさの理由を理解していたら、
そして適切なタイミングできちんとした休みを取り、
また社会に対応していく訓練を早いタイミングで始められたていたら、
せめてこの厄介な双極性障害だけは回避できたのかもしれないと思うと、
なかなか悔しいものがあります」。
そう、悔しいんですね。
苦しんできた時間が長ければ長いほど、その状態を脱出できる光明が見つかった時、
天にも昇れるような高揚感を味わう一方で、もっと早く処置していればと悔しい思いになる。
そういう状態になった時、過去をいくら後悔しても、あまり生産的ではありません。
とにかく「受け入れる」しかありません。それは、今を充実して生きることであり、
そのために、努力することです。そして、いずれは、過去の苦しさを、
客観的に、もしくは、笑い話しとして語ることができ、
それが、他者に対して、「価値」を生むことだってあります。
個人的には、精神疾患を患い、それが回復するまで、
経験した一連の出来事(良いことや悪いこと含めて)は
素晴らしい財産であると思います。
それは、一言で言えば、自分がよりわかるようになり(より客観的になれる)、
また他者の苦しさがわかるようになること(他者理解の能力の向上)
と言えます。
これは、人生を豊かにする上で非常に大事なことだと思います。
自然体で生きるほど、素敵なことはありません。
その方法が、精神疾患の苦しい経験で、自覚的になります。
この著者の斬新な所は、ADHDの方が、どうすれば社会で適応できるか?を語ったノウハウ本ではなく、
適応できないということを前提に、どうごまかしながら、社会へ適応できているように周囲を思わせるかを、
はっきり言語化した点でしょう。
著者は非常にクレバーな人だと思います。ややもすれば、多くのADHD対策本は、周囲の人に理解してもらうように働きかけたり、社会のADHDに対する理解のなさを嘆いたり、ADHDの行動指針本だったりします。しかし、この本は、ADHDの方が、どうこの社会で生きればいいかを越えて、多くの人が、今の社会で、どう生きれば、まぁ、少しは楽しく、充実して生きられるか、そのヒントを多く提示しています。この点で、著者は、ADHDや長い精神疾患の辛い経験を通して、明らかに、常人とは異なる見方をし、それが、今この社会で、死にそうになりながらも、生きている多くの人に、支持されている理由だと思います。 -
道具に頼れ
集約化、一覧性、一手アクセス
訓練してもできないことは諦める
必要なものを全てカバンに入れておく
書類は案件ごとに全てバインダーに
予定は全て小型の手帳に書く
本質ボックスを作って行き場の無いものを放り込む
貴重品、仕事、雑多、など
作業用のクリーンスペースを用意
人の名前を覚えるにはあだ名をつける
全ての会社は部族である
部族の人間関係には見えない通貨が流通しており、対価として支払われないと怒る
通貨には、褒め、面子、挨拶など
褒めるのは音ゲー、表現ではなく、タイミング
5個ぐらいの褒めセリフを発声練習しておく
協力に対しては面子を立てるというの通貨を支払う必要がある
金銭的な報酬を得られない部署で重要
挨拶を返さない人にも通貨として挨拶を支払っておいて損はない
飲み会はが終わって気疲れしたと思えれば安心、ぐらいの感覚で
雑談は通信プロトコルの確認、言葉を拾って同意するだけで充分
気持ちの理解は無理なので共感は適当でいい
相手の苦労、努力に理解を示すと良い
世の中に対する茶番センサーは意識的に解除する。声を出して茶番を必死でやるしかない。
焦燥感に焼かれる休日は休息になっていない。意思を持って何もしない行動を選ぶ。
ビジネスホテルにこもるなどして、退屈し始めたら回復してきた証拠
鬱集中が起きたら蒸気アイマスクやヘッドホンで五感を遮断
朝起きるにはベッドから少し離れた、目に入るところに飲み物を置いておき、飲むことだけを目標にする
起きるという概念が抽象的で目標に向かない
身だしなみはリカバリーを重視して、道具などをカバンに入れておく -
発達障害が一般社会での生きにくさと社会でのサバイバルへの具体的な方法が書かれている。
人間関係の共感やお礼や面子が理解できないのを「通貨」に置き換えて説明したりと著者の頭脳と表現力は実に優れたものだと感心する。
以下の文章に共感した。
ハイスコアを出すことが人生の目的ではない。
表彰台が全部埋まっていても、自分のレースを走り切る。
あなたのレースが良い景色に恵まれることを祈ります。 -
借金玉さんの経験がたくさん詰まった、仕事術と暮らし方のヒント本。
モノをよくなくして仕事に支障が出ている方、職場のコミュニケーションや人間関係に悩む方はもちろん、起きられない自分や酒と薬の付き合い方に悩む方、そしてうつ回復中またはうつ再発予防中の方に、オススメします。
読んでみてまず感じるのが、文章の鋭さです。
著者が、目の前で早口でこの文章を読んでいる姿が想像できるくらい、鋭い文章が息つく間もなく繰り出されます。
読み手のほうが若干、息切れしそうなスピードで、話が進んでいきます。
が、文章中の大事なところは黒太字になっていますし、見出しタイトルもわかりやすく、ちゃんとまとめもあるので、置いてきぼりにはなりません。
何よりも、著者の経験をふまえて生み出された方法が書かれているので、とても実用的です。
すぐ試せます。
本書でいちばん好きなのは、「机の上を5秒で片づける『儀式』」(86ページより引用)のところです。
イラストを見て、文書で読んで、大爆笑しました。
「このハックは『やってやったぜ!』という爽快感がすさまじいです。」(86ページより引用)のとおり、こちらも読んでいるだけで、笑ってすっきりできるページです。
・・・って、読みかえしたら、また笑えてきました!
私はいま、うつ回復中なので、第5章の「ぼくが『うつの底』から抜け出した方法」も、うなずきながら読みました。
特に、うつに片足つっこみかけている方、うつ回復期にいる方、うつは脱したけれど再発を予防しながら暮らしている方には、参考になると思います。
うつ回復期の私が心に残ったのは、「一番危ないのは、『吹雪が止んで山を降りるとき』」(253ページ~257ページ)です。
「病人であるというところから、再び自分をうつに追い込んだ社会に戻るのはとても怖い。」(254ページより引用)
ああもう、まさにその通りです。
「まさにいま、私、ここなんですけど!」と、心の中で叫びました。
社会に戻らなきゃいけないことは、本人もわかっています。
わかっているけど、怖いんです。
不安なんです。
だから少しずつ戻るのを、許してください。そして、まわりの皆さんもどうか見守っていてください。
よろしくお願いします。 -
本書にきれい事はない。40代も後半にさしかかった私でも目から鱗の連続だった。冷徹に自分と社会(組織)を見つめている。
精神疾患者、発達障害者、そして、生活、仕事にうまく適応できていない感覚を抱いて生きるすべての人々にお勧めします。
あとがきの精神科医の先生の指摘も含めて。 -
発達障害を抱える著者の半生が書かれた一冊
一言に発達障害と言ってもその程度は十人十色だと思いますので一括りには語れないと思いますが、そんな苦労があったのかと気付かせてくれる本です
自分の周りに障害を持った方がいないと、こうかなと想像はできても実感はないし気がつかないこともたくさんあると思います
この著書で、わずかながらもこんな事で苦労するのか!と気付かされることばかり
想像を遥かに超えた苦労があるのだと愕然としました
これからはもっと人に優しくあろうと思いました
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発達障害に悩まされ続けてきた著者が自身の経験を元に綴ったライフハック本。タイトルには仕事術とあるが、世の中を生き抜くサバイバル術といっても過言ではない。ADHDやASDといった発達障害の傾向というものは、多くの人が大なり小なりグラデーションのように持ち合わせており、0か100かでハッキリ二分できるものではない。日々の生活で生きづらさを感じている人や、同じ失敗を繰り返してしまう人にとって、本書は具体的な処方箋とセラピーになりえると思う。自分は健常者だと認識している人にとっても様々な気づきが得られるだろう。
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「誰かと競い合うのはもうやめましょう。」
誰かと比べて自己肯定感が減る、休日に何もできなくて落ち込む、暇な時間を作らないよう予定を埋める。
自分はこんな状態になることがよくある。しかし、著者はそんな焦りより何より休息することが大切だと説いている。本書の言葉に言い換えるなら「何もしないをする」という言葉で語られていた。
これから自分も歳をとっていくだろうけど何歳になっても成長は続けられると思うし、自分のペースでやっていきたい。いい本だった。、