お金の流れで探る現代権力史 「世界の今」が驚くほどよくわかる
- KADOKAWA (2016年12月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046017628
作品紹介・あらすじ
力はお金で「買える」らしい――戦争、資源闘争、内戦、国際機関、外交協定。あらゆることの背景には必ず「お金」がある。世界の今をわかりやすく、深く知るために、元国税調査官が近現代にガサ入れ!
感想・レビュー・書評
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先日読んだ同著者の『世界の歴史』の最終章に当たる部分をフォーカスしてより掘り下げた本書。
お金の流れという観点から今の世界情勢の経緯が分かる。
興味深かったのは第二次世界大戦で、ソ連が枢軸国側に回る可能性があったっていうこと。ヒトラーがソ連に宣戦布告していなかったらどうなっていただろうか。今の世の中と大きく変わっていただろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
近代〜現代の戦争、金融危機、冷戦、紛争の背景や、今の日本が置かれている状態について、お金の視点からよく理解できる本。
世界で起こっていることの捉え方・ものの見方②とても役立つ。 -
厳密に言えばオランダは後発組で、八十年戦争を経てスパインからの独立を果たした。トルデシリャス条約はスペインとポルトガルで世界を二分することをローマ教皇が認めたものだ。後(おく)れを取ったイギリスとフランスが帝国主義を席巻するのだから歴史の有為転変を思わずにはいられない。
https://sessendo.blogspot.com/2021/07/blog-post_17.html -
物語ではなく金の流れでこうなった!と話ごわかりやすくまとまっている本。
全てがファクトかというと、一応疑ってみたほうがいい気はする。 -
1859年に、アメリカのペンシルバニアで世界で最初の大規模油田が発見された。その後、アメリカは各地で大規模油田を発見・開発し、世界最大の石油産出国となった。第一次世界大戦では、戦闘機や戦車、潜水艦が導入され、それらの動力として石油が用いられたが、連合国側の石油のほとんどをアメリカが賄った。
1945年2月、アメリカのルーズベルト大統領とサウジアラビアのイブン・サウド国王は極秘会談を行い、サウジアラビアは石油取引の決済を全てドルで行い、アメリカはアラブの王国が他の国や勢力に脅かされた場合は、軍を出動させて守るという確約をした。
東西冷戦中のアメリカは、軍備増強と西側陣営内の国々への支援などで財政が逼迫していたが、冷戦の終結によって、さまざまな経済的負担が大きく削減され、西側陣営の国々に強権的にモノが言えるようになった。
中小小売店の保護などを目的に、一定面積を超える出店を届け出制で規制していた大規模小売店舗法は、トイザらスが計画していた新潟市への第1号店出店の見通しが立たないままになっていたことから、1990年の日米構造協議において撤廃を要求されたため、翌1991年に、それまで大型店の出店を扱っていた商業活動調整協議会を廃止する改正法が成立し、各地で大規模なショッピングセンターの進出が進むこととなった。
1990年、日本は赤字国債の発行ゼロにして財政の健全化を達成していたが、史上最悪の財政赤字に苦しんでいたアメリカから内需拡大を要求されて、海部内閣は10年間で430兆円の公共事業を行うと約束した。これは、村山内閣の時に630兆円まで上方修正され、財政赤字の原因となった。 -
非常に面白かった。
この本で近現代のお金の流れ、歴史をふりかえることで、
昨今の世界のニュースの背景を深く理解出来た。 -
イギリスは、海賊を国家事業とした。海賊ドレイクは無敵艦隊を破った。
イングランド銀行は、イギリス政府にお金を貸すためにつくられた。戦費の調達のため。紙幣発行権を与えて国債を引受させた。
アメリカの急成長は、イギリスの投資のおかげ。イギリスは石炭、アメリカは石油の国。中東は第二次世界大戦後。
アメリカが世界に投資しなかったため、世界大恐慌の一因となった。マーシャルプランは、アメリカの製品を買うための費用を援助した。
第二次世界大戦では、アメリカがソ連に向き支援をした。
ソ連は、冷戦中世界一位の石油産出国になった。共産圏内で自給自足が可能だった。
オスマントルコの崩壊が中東問題の起源。第一次世界大戦で同盟国側につき負けた。
アラビアのロレンスは、オスマントルコに対する工作員の話し。
ユダヤ人のお金欲しさに意義R素が、バルフォア宣言、でユダヤ人国家の建設を約束した。パレスチナ難民の始まり。
石油取引をドル建てで行う、ことがアメリカの利益になる。
ニューヨークの人口の2割以上、170万人がユダヤ人。エルサレムやテルアビブより多い。
西ドイツの占領経費は、西ドイツ餅。マーシャルプランによる支援より多い。
フランスやスペインは、ドルを金に変えた。そのためニクソンショックが起きた。
戦前の日本の急成長は、規制緩和。職業選択、交通、居住、土地売買などを解放した。
太平洋戦争で、鋼材の生産設備は被害を受けなかった。
エジプトのスエズ運河の国有化は、ナセル大統領がアスワンハイダムの建設費に充てるため。没収ではなく、作った英仏に対価を払った。イスラエルにシナイ半島を攻撃させて、英仏がスエズ運河を占領しようとした。
OPECは当初はイラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネスエラで構成される。
リビアのガタフィー大佐によって欧米企業の支配脱却のきっかけが起きた。
第一次オイルショップは、イスラエルへの攻撃と、生産量削減と、アメリカへの全面禁輸がきっかけ。
しかし石油の値段が上がったため、アラブ諸国の中で亀裂が生じた。エジプトには大きな油田はない。
イランイスラム革命でホメイニ師が政権に、パーレビ国王が追放。テヘランのアメリカ大使館占拠事件。
それに乗じて、イラクが侵攻、イランイラク戦争が始まった。アメリカはフセイン政権を援助していた。
中国は、アヘン戦争前は世界一のgdp。2位はインド。
第二次世界大戦のアメリカの参戦は、中国を日本の意のままにさせないため。
中国は建国時にソ連と距離を置いたため、一緒に崩壊しなかった。
台湾政府は賠償請求権を放棄したが共産党は放棄しなかった。国交正常化の際に放棄し、そのかわりに援助を引き出した。
アメリカへの嫌がらせがフランスの本心。
ソ連は、コンピュータの使用に後れを取った。情報産業の発達は国家体制の崩壊をもたらす。
米ソの軍縮は、費用負担がたいへんだったため。
ゴルバチョフ政権のペレストロイカで情報公開し、共産圏に対する援助も縮小した。
日本の赤字は、430兆円の公共投資のせい。社会保障費は当時はさほどでもない。投資の内容が適切であれば、少子高齢化などはここまで悪化していないかも。
アメリカの双子の赤字は常態化している。
基軸通貨のため、みんながドルを欲しがる。石油をドル建てにしているため。
フセインはユーロ建てにしようとして、イラク戦争を起こされた。
イスラム国は、収入減をしっかり確保している。フセインの残党がつくった。
アメリカの独立戦争を支援したのはフランス。
ドイツのルール工業地帯の連合国管理を逃れるために、フランスと組んで石炭鉄鋼共同体をつくった。これがユーロの元。
中国の成長は、外資主導型。
AIIBは中国のおカネを借りる機関。IMFの構造と同じ。
アメリカと中国はお互いに最大の貿易相手国。
タックス併分は、イギリスが最初に作った=ケイマン諸島。企業を誘致するため、旧植民地につくった。
19世紀に起源がある。アメリカはマーシャル諸島でやった。 -
世界の覇権をめぐる戦いの歴史をたどることは、語弊があるかもしれないがエンタメに近い感覚だ。悲劇の当事者らの痛みが伝わらない程度に古く、地理的にも日本から遠い(覇権争いにほぼ絡めてないからね)。僕には、ワンピースやキングダムのようなアニメより100倍面白い体験がそこにはある。
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近現代の世界史を経済の面から見る本。
自分の中で知っていたいくつもの個別の情報がこの本で流れとして認識できるようになりました。
読みやすい文章で分かりやすかったです。
東西冷戦は軍事面でしか見ていなかったので米ソの懐事情から見る内容は興味深かったです。 -
近現代に起こった出来事を「お金」という視点から読み解いた一冊。
平易な文章でサクサク読むことが出来る上、朧げな知識でしかなかった近現代の出来事が分かりやすくまとまっていたように思う。
特に面白いと思った章は以下の3つ。
第4章:アラブを再興させた“オイル・マネー”の威力
第11章:イスラム国の背景を「お金の流れ」から探る
第14章:イギリスが仕掛けた世界最大の“経済テロ”
今に繋がる世界的な動き(利害関係)の原点を少しは理解出来たように思う。