- Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044094829
作品紹介・あらすじ
二・二六事件の朝も電車を乗り継いで小学校に通い、終戦の日も汽車に乗っていた――鉄道紀行の第一人者が、家族の風景と青春の日々を時刻表に重ねて振り返る体験的昭和史! 同名の角川文庫版に口絵を新規収録。
感想・レビュー・書評
-
子供の頃から宮脇ファンを自認しているのに、この作品だけは読んでいなかった。しかし実はこれは宮脇作品最高傑作かも知れない、と言うよりは毛色が違うのだ。
この本は昭和初期、満州事変から太平洋戦争へ突入していく東京を、渋谷に住む小学生の目から描いた記録と言えるのではないか。今だからこそ、一度読んでおく価値がある。子供の目から見た、戦争へ向かっていく国の姿。
宮脇俊三の父親である宮脇長吉が、軍人の出身でありながら自由主義者であった、と言うバックグラウンドに共感を覚える部分も強い。
昭和20年8月15日正午の、今泉駅前の描写は圧巻、強く印象に残る。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第1作「時刻表2万キロ」、第2作「最長片道切符の旅」、第3作「汽車旅12ヶ月」でどっぷりとハマってから読みました。
iPadのGoogleMapsとWikipediaだけでは足りなくて、時刻表の、昭和9年12月のダイヤ改正号(復刻版)も買って、1つ1つ丹念に確認しながら熟読していきました。
宮脇俊三先生が生前、「いちばん思い入れがある、渾身の力作」と語っていたのが納得できる内容です。
当時を生きた宮脇俊三先生の目線からの戦前と戦中、そして戦後を、文章として書き残してくださったことに、感謝感謝、心から大感謝です。
なお、第4作の「時刻表昭和史」は、昭和20年8月15日の終戦まで。
その後の「増補版」は、戦後の混乱期についても書き加えられています。
今から初めて1冊だけ手に取るなら、後者のほうが。
-
時刻表を手かがりに描かれた戦前史。
とても、精密で勉強になった。 -
時刻表を軸に語られる激動の昭和史。文章が格調高くて実に良い。