- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044001308
作品紹介・あらすじ
旧家・蒔岡家の四人姉妹、鶴子・幸子・雪子・妙子。上流社会に暮らす一家の日々が描かれる。上巻では、奔放な四女・妙子の新聞沙汰、美しいが無口で未婚の三女・雪子の縁談を巡って物語が展開してゆく――。
感想・レビュー・書評
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こんなに面白かったとは。旧名家の美人姉妹の内情を覗くような日常の描写と、姉妹や夫婦、知人達の大阪弁の会話が楽しい。連ドラ観てるみたいなテンポ良いストーリー展開が美文で描かれる。食わず嫌いしなくてよかった。ロッキーさんありがとう!
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当時の風習や時代背景の雰囲気を感じることが出来る素敵な作品です。
内容は3女の雪子の縁談についての話なのですが破談ばかりで上手くいかないという内容です。
御大家であった昔の格式に囚われて縁談が破断したり、自分の家柄に合う人を探すばかり周りが呆れてしまう。
義兄が進めた婚約を断ってしまい、仕事関係でギクシャクさせ、兄はその後婚約の話をしなくなったりなど。
縁談は今では馴染みがないので読んでいて複雑なのだなと感じることが出来ました。
また民俗学的な興味深い話も多かったです
・丙午は関東では忌み嫌われる。迷信が多い
・未年では関西は嫌われる。縁遠いなど
・興信所→ 企業や個人の信用や所在、行動等について調査を行う民間の機関である
主に縁談の相手を調べてもらうことが多い。今で言う探偵な感じです。
・結婚の縁談の下調べでも学校の成績表みる。しかも欠席日数まで。
・季節外れに雛人形を飾ると女の子は縁遠くなる
・東京は流行物ではなく自分に似合う服を着る
これは全然当時の風習とかと関係ないのですが
いけている花がまさかのケシの花だったのが驚きでした。
ケシの花はアヘンの原料です。
「その花見てたら花の中に吸い込まれそうになる」
と、当時から思われてるほど感じる何かがあったんだと思います。
流産した幸子の表現には感嘆しました。
「妻の眼の中にある涙の玉が大きく膨らんで、破れて、頬に伝わる」
幸子の言葉選びも未だにその出来事が尾を引いてるのだと分かる表現でした。
「今雪子のお腹の中にある思いがどう云うことであるのか、明かに読めるのであった」
「ライラックや小手毬の花がもう直ぐ咲き揃うのを見届けるまでは滞在していられますように」
今の姿が当時の人にとっては感動を得たのかもしれません。本は現代よりも身近な存在だったのだろうと思いました。
また、題名が細雪ってとこに何故なのかを全ての作品を読み終わるまでに気づけるようになりたいと思いました。
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私が中学生の頃、国語の資料集に「細雪」の紹介がありました。映画の写真(吉永小百合さん?)が掲載してあり、四姉妹の横顔が印象に残っています。そのイメージで本書を読むと、上品な関西弁が心地良かったです。
例えば、「お待ち遠さん」という言葉。
言葉としては知っていても、今時そのような言葉を上品さを醸し出しながら言う人は少ないと思います。物語の中で、絶滅危惧種の言葉が自然と描かれていました。今は雑居ビルの多い大阪船場ですが、昔の風情を想像しながら楽しく読めました。
内田樹氏の解説
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政治的主張を含ませないこの小説が、陸軍省報道部の忌諱(きき)に触れて発禁処分を受け、和家版の頒布(はんぷ)さえ禁じられた。おそらく検疫官は細雪の全篇の行間から流れ出る「日本におけるよきものは不可逆的な滅びのプロセスにある。だから私たちは最優先の仕事は哀惜することである」という谷崎の揺るぎない作家的確信に一種の恐怖を感じたのだろうと思う。
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戦後に「細雪」の発表が再開されたものの、今度はGHQによる検閲を受け、戦争肯定や連合国批判に見える箇所などの改変を余儀なくされたそうですが(wikipedia抜粋)、どの辺りに「マズい表現」があったのか気になりました。
戦後、「奥様は魔女(1964年)」というコメディードラマを流行り、アメリカの生活様式に憧れたと聞いたことがあります。
相反して、「細雪(1955年初版)」は古き日本の商家のお話で、当時の家族同士のやり取りをお見合いの場面から窺い知ることができます。
(憧れるかはさておき)物語から、当時の家族像が知れるのは貴重でした。個人的には「渡る世間は鬼ばかり」のような、家族間のアレコレが描かれた小説という印象を持ちました。-
Reyさん
私の短絡的なコメントのせいで、書き直しをさせてしまってごめんなさい。
「奥様は魔女」当時リアルタイムで見ていると思ってましたが、...Reyさん
私の短絡的なコメントのせいで、書き直しをさせてしまってごめんなさい。
「奥様は魔女」当時リアルタイムで見ていると思ってましたが、すでにあの頃何度目かの再放送だったのかな?
米倉涼子さんぴったりですね。
昔、渡辺淳一の確か「化粧」というのを読んだことがあって、細雪と同じように関西(京都?)の美人四姉妹か三姉妹が出てきて、似た雰囲気でした。リスペクトしてたのかなと思いました。2022/04/14 -
Macomi55さん
いえいえ、そんなことはなく‥私自身も気になってしまい書き直しました(>_<)寝不足で夜に文章を書くとダメですね。
再...Macomi55さん
いえいえ、そんなことはなく‥私自身も気になってしまい書き直しました(>_<)寝不足で夜に文章を書くとダメですね。
再放送、何回かしてるかもしれませんね。
日本版の米倉涼子さん・原田 泰造さん(夫役)・夏木マリさん(魔女役)が、人種が違うのに原作のアメリカ人の雰囲気にピッタリでした。
渡辺淳一さん、初めて知りました。今度、読んでみたいと思います♪
音楽も書籍もお詳しくて、Macomi55さんのレビューを私はリスペクトしてます✨2022/04/15 -
Reyさん
よくぞそこまでピッタリのキャストになる人が3人日本にいてくれたものですね。ドラマを観ていなくても分かります。Reyさん
よくぞそこまでピッタリのキャストになる人が3人日本にいてくれたものですね。ドラマを観ていなくても分かります。2022/04/15
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当時の関西上流階級の暮らしぶりなど
当然知らないんだけど
文章からはんなりとした美しさが
伝わってきてその世界を
知ってるような気がしてくる
バーチャル感ある作品
谷崎潤一郎すごい... -
とても良い。国語教材としても申し分ない、ストーリー構成と豊かな語彙に感動しました。
神戸が舞台なのも楽しく、阪急電車沿線に揺られながら、有川浩さんの阪急電車もサブ本に、2冊の小説をポケットにさくら夙川のベンチで読みたくなる小説だった。
叶えよう。近々。
ポケットのなかにーは、
小説がふたつ♪ -
戦時中にコツコツと書かれた作品。時局に合わないとして発禁処分となったこともあるとのこと。大阪の船場の旧家、蒔岡家。その三女雪子の婚活物語。三十歳なので、昭和10年代なら遅れてる感じだろうか…。京都の風景描写がわりとよい。
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少し前の日本は恋の延長戦に結婚があるのではなく、家の発展や今後の過程が、どのくらいうまく行くのかという、極めて現実的な側面を重要視していて、それが愛を作り出していたのかなぁと思った。もちろん恋愛結婚もあっただろうが、まだ家柄や結婚の順番に縛られたり、体裁が重要視されていることに、少し歯痒さを感じた。
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一気に読みました。
谷崎潤一郎ってすごい作家ですね。昔の上流家庭の暮らしぶりの中に様々な人間模様が描かれていてやはり後世残る作家さんはすごいです♡ -
・中、下巻も続けて読んだ。
・半分めでたしで、半分可哀想な終わり方。
・描写が細かくて丁寧。 -
中学の頃、国語の問題で『細雪』の花見のシーンが一部出てきたのだが、当時は本に興味がなくスルーしてしまっていた。なぜかそれをふと思い出し、年末、実家に帰省する新幹線の中で読み始めた。
蒔岡家が持つ高貴な雰囲気とコテコテな大阪弁が相まって、4姉妹の上品さが際立っている。会話形式が多いため、長編小説の割にはすぐに読み終えられる手軽さもある。
美人姉妹の内情、大阪の雰囲気も相まって楽しいですよね〜練ドラ観てるみたい...
美人姉妹の内情、大阪の雰囲気も相まって楽しいですよね〜練ドラ観てるみたいって感想も、確かにしっくりきました!
感想読んで、私も読み返したくなってきました。
こんなに読みやすいとは思ってなかったです。次が気になってしょうがないところとか連ドラ風ですよね...
こんなに読みやすいとは思ってなかったです。次が気になってしょうがないところとか連ドラ風ですよね?合間に短歌やお見合いの身元調査票?みたいなのも挟まれてるのも新鮮でした。関西弁とも合わさってすごく自由な感じがします。
そうですね、次々事件は起こりつつ大長編で続いていく感じ、...
そうですね、次々事件は起こりつつ大長編で続いていく感じ、朝ドラみたいです。
文豪もこんな自由な構成で小説書くんだ!と思いますよね!