- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044000417
作品紹介・あらすじ
江戸時代、東海道の土産物として流行した庶民の絵画、大津絵。
鬼が念仏を唱え、神々が相撲をとり、天狗と象が鼻を競う――。
奇想天外な世界をいきいきと描くその伝統は、
いかに人気を博し、そして消えてしまったのか。
多彩な78種の画題をオールカラーで掲載し、
愛すべきヘタウマに込められた諷刺と諧謔の精神を解き明かす。
柳宗悦や梅原龍三郎、河鍋暁斎、ピカソさえも魅了された
大津絵の全貌が文庫オリジナルで今よみがえる。
【目次】
はじめに
第一章 江戸の庶民絵画、大津絵の歴史
大津絵の発祥
礼拝用の大津絵神仏画
鬼のさまざまな姿
戯画から教訓絵へ
護符としての大津絵
大津絵の現在
第二章 楠瀬日年の『大津絵』
一、 仏
二、 庶民の神々
三、 鬼
四、 英雄
五、 若衆・奴・芸能民
六、 美人
七、 鳥獣
第三章 楠瀬日年と大津絵 ―― 再発見と創作
大津絵に魅了された近代の洋画家たち
楠瀬日年の江戸民衆芸術への憧憬
楠瀬日年の大津絵論
楠瀬日年の『大津絵』版画集
おわりに
註釈
参考文献
感想・レビュー・書評
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江戸期に大津の宿場町や門前町で売られた大津絵は護符として人気を博していました。ただ、残念なことに今では大津界隈で探しても限られたパターンしか見ることはできません。高尚でも精緻でもありませんが、素朴な戯画である大津絵は当時の庶民を肌感覚で知りうる民芸です。大津絵ミュージアムがあってもいいくらいの遺産です。本書は数多くの大津絵をカラーで掲載しています。特に鬼たちの図像はユーモラスで、大津絵の真骨頂ですね。
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江戸時代の東海道の大津宿近郊で売られていた土産物の絵画が『大津絵』である。名もなき絵師というより大津近郊の職人により描かれた絵画は、ヘタウマなカワイイ系な雰囲気で見る者の心を和ませ、全国に広まったという。
江戸にて発展した版画や肉筆の浮世絵と同時代に、同じく庶民の楽しむ絵画として流行していた大津絵らしいが、現在では知名度は恐ろしく低い。
宿場の土産物であり、安価な実用品として扱われたためか、現残数も多くないという。図柄が面白くわかりやすい故に、初期は礼拝用の宗教的な絵として、続いて戯画、道徳的な教訓絵として、最後には護符、お守り的な使われ方になったらしい。
しかし簡素ながら本質を捉えた大津絵に芸術的価値を見出した先達がいだからこそ、こうやって文献として当時の風習や絵の背景についてを知ることができる。ありがたい。 -
大津絵と出会ったきっかけが正岡子規の病牀六尺だったというあとがきを見て、あ、と思いました。つい最近、読んだところでしたので。フランス人著者が大津絵に迫る好著。
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浮世絵と違い、なぜ現代に文化遺産として残らなかったのかが判る。アマチュアが描いた観光土産という枠かろ抜け出せなかったからだほう。
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0141
2019/09/11読了
美術展で知った大津絵に興味を持ち、読む。こんなゆるゆる絵知らなかった…。ただでさえ日本画はゆるゆる系が多いのに、大津絵は全く知らなかった。
宗教的な意味から教育や護符などに変化していったのが面白い。200年くらい親しまれていたのに文明開化で途絶えてしまったのがもったいないな。
大津絵に限らずだけど、江戸時代は庶民が日常的に絵を楽しんでいていいな。
大津や民芸博物館などでまだ見れるらしいので、いつか見に行きたい。 -
日本って、昔から、本当にマンガの国なんだな~と再認識させられました。大津絵面白いですよ。