呼吸入門 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043786039

作品紹介・あらすじ

日本人は呼吸に関して固有のスタイルと文化をもっていたが、それが急速に失われつつある。ここで見直さなくては、日本人の優れた呼吸の仕方は完全に廃れてしまう。齋藤流身体論を集大成する”呼吸”指南。

感想・レビュー・書評

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  • 自分の「呼吸」についてじっくり考えてみたことのある人は多くないだろう。
    その呼吸の大切さについて教えてくれるのがこの本である。

    たとえば「呼吸を合わせる」とか「呼吸をはかる」というと比喩的な表現に聞こえるが、意外にそうでもないようだ。

    古来、日本人の中には常に呼吸に対する鋭い感受性があった。剣道や弓道、能などの芸能、書道・茶道。もっと卑近に、ふだんの立ち居振る舞いや着物の着こなしひとつでもいい。その中にはなにか共通した一つの芯があるように思うが、それをつきつめれば息の力に行き当たる。

    ぐっ、と息をつめれば緊張感が高まり、すっ、と吐くと逆のことが起こる。西洋医学的には交感神経がどうの、副交感神経が何のという話になるのだろうが、そのはたらきを能動的にコントロールすることで、さまざまな力が生まれる。

    現代日本人が呼吸をあまり意識していないとすれば、ひいては呼吸を合わせたり、はかったりという人間関係や社会の機微も疎かにしていると言えないか。

    上っつらをなぞったがごとき西洋的な文化生活の模倣、せわしなく、ものごとをあまり深く考えない日常、根なし草のようにあっちへよろめき、こっちへなびきという世論。

    ここでまた、日本のポテンシャルの危機を思い起こしてしまう。

    なにかとイヤなことの多い昨今。この本に倣って、一度大きな呼吸をしてみたらいいのかも知れない。

  • 深い呼吸の意味とその方法。早速実践している。集中力を高め、脳を活性化させるのに、3,2,15が本当に効果があるか楽しみ。
    日本の文化が培ってきた型の文化を継承しつつ新しくしていきたい。

  • ストレスで参ってた時に上司に薦められた本。

    日本には古くより優れた呼吸法というのがあり、知らず知らずに日本人に身についていた。
    しかし、明治維新を境に欧米文化が取り込まれ、いつしかそれも失われつつあった。
    かつての呼吸法を今一度見つめ直し、自分に取り入れたらどうかと、問いかけてくれた本。

    呼吸というのは全ての活動に通じるものがある。趣味でダイビングやジャズサックスをするが、肝は呼吸。呼吸の奥深さが楽しめる。

  •  本書のメソッドは「三・二・十五」(三秒吸って、二秒止め、十五秒で吐く)という呼吸法、これだけです。
     後は呼吸というのがいかにスゴイかについて補足的説明や背景知識などが色々書かれています。

     …薄すぎる?
     でも、この薄さには理由があるんです。

     そもそもビジネス本や自己啓発本って、役に立つテクが書かれすぎています。そうすると人間、妙な貧乏性で一度に全部を実践しようとし、破綻・挫折します。
     これは本という媒体でメソッドを伝達しようとする際の限界です。

     だから、特に入門段階では簡単ですぐに実践できるこのくらいの量でいいんです。
     が、そうすると大人というのは簡単に理解できるからという理由で、今度は内容を軽視したり「薄い」と馬鹿にしたりします。

     この辺が「メソッド本」のジレンマなのかなぁ、と思います。そして、以上の意味において本書は入門書としてはかなり良い出来だと思うのですが、いかがでしょうか?(詳細はhttp://ow.ly/5Wwj1をお読み下さい)

  • 齋藤孝先生の本。
    呼吸は基本の基。

    3秒吸って、2秒止め、15秒吐く(2秒止め、が重要らしい)

    吐くことでスペースを作ることで自然と埋まる。
    仕事も一緒。時間的、物理的なキャパを広げることで、自然と仕事は入ってくる。


    ↓メモ
    ★3秒吸って、2秒止め、15秒かけて吐いていく。15秒が長いなら10秒でもいい。

    心のぶれを少なくするには、まずはからだのぶれを少なくすることです。

    人は言葉以上に、からだから発せられる情報を無意識にキャッチしています。話をする中で、その人を支えている生命エネルギーを見ているわけです。

    息をどれだけ深く長く続けることができるか、息と動きをどれだけ連動させることができるか──息の力とはこの二点にクリアに集約されます。
    息が短いということは、脳の働きの持続力が短い。さらに安定した心の状態を保てる時間も短い。

    実は、呼吸を考える上で大切なのは、吸うことではなく、吐くことです。

    ★吸うことで自分を大きくしていくのではなくて、吐いて、吐いて、吐き出していくことで生まれる安定感を大切にした。そのコツは、空けておけばむしろ勝手に入ってくるのだと考えることです。捨てればスペースができ、そこが自然と満ちてくる。その「他力」を信じる。

    ★吐くことでより大きなものを受け入れるというスタンスを、呼吸を基盤にして育んでいた。

    長くゆったりした呼吸でセロトニン神経系が働く

    意識的なリズム」により、人間のセロトニン神経系が働き出すようにする一番手近な方法は、歩くことです。

    笑うことは、息を吐き出すことです。吐くと同時に気持ちがリラックスし、解放されます。

  • あとがきに「一気に読むことのできる本を目指した。読み終わった後は、息という現象の奥深さに目覚めている。そんな読み方をしてくださる方がいれば、ありがたい」とあります。

    つっかえることなく一気に読むことができました。でも、なるほど息という話題からいろいろな方向に考えを広げることができるのだなぁ、と感じることができました。

    太極拳をやる中でも呼吸は非常に難しいと思います。うちの師匠は、口ではなく鼻で呼吸すること、ということ以外には自然な呼吸をするようにというぐらいしか今のところ教えてくれていません。

    一つ一つの動きの意味が理解できてくると、この動きは相手をうつ動きだから打つ瞬間は息を吐くはず、でも、息を吐く前に肩で息をしてしまうと肩が上がって力を相手に伝えることができないのでお腹で呼吸しなければいけない、といった感じで動きと呼吸が合わさっていくのではないかと思います。

    動きの意味を考えないと、ゆっくりとした動きである太極拳は好きな時に息を吸ったり吐いたりできてしまうので、動きと呼吸がバラバラになります。

    お腹で呼吸することのヒントとして、この本に書いてある斎藤式呼吸法というのは参考になります。身体をリラックスさせるために深く長い呼吸をすることを説いています。「鼻から三秒息を吸って、二秒お腹の中にぐっと溜めて、十五秒間かけて口から細くゆっくりと吐く」という方法です。

    実際にやってみましたが十五秒間吐き続けるのは結構しんどいです。この間読んだ「密息」と合わせて練習を試みてみようと思います。

  • 最近呼吸について考え方始めたら、最近うまく息ができなくなってしまったから、基本のところから見直してみようと思って読んだ本。
    筆者の齋藤さんも呼吸についてそれこそ何十年も考えてきた人で、呼吸のノウハウ本というより齋藤さんの呼吸に対する考え方(呼吸論?)や、教育論や人生観など多岐に渡った内容だった。
    日本人の呼吸に対する考え方。
    捨てることで、空けておけばそこが自然と満たされるという禅のスタイル。
    息をゆるやかに吐くことで、自分を取り戻す。
    3.2.15のリズム。坐禅の息にピッタリはまった。
    これはものにしてみよう。

  • 効果てきめんでびっくり!!
    実践して3週間後位だろうか、就職面接で人格を否定するような事を言われ、帰り道、怒りに震えると思いきや、力が抜け怒りの感情すら湧かなかった時には、この呼吸法のおかげと思った。
    ただ最近はその効果も薄れてきてるように感じる。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    日本人は、心身を安定させる技としての息の仕方を忘れ、キレやすい身体になってしまった。今こそ、日本人の優れた呼吸の仕方を蘇らせよう。丹田呼吸法、禅の瞑想といった高度な技、数千年の叡智を、誰にでもできるシンプルな「型」に凝縮した齋藤式呼吸法を実践することで、精神が安定し、集中力が増し、疲れにくくなる。呼吸を通じて日本文化の真髄に迫る、齋藤身体論の集大成、感動の名著、ついに文庫化。

    第1話 なぜ「息」を考えるのか
    第2話 呼吸法とは何か
    第3話 息と心の関係
    第4話 日本は息の文化だった
    第5話 教育の基盤は息である
    第6話 危険な呼吸法・安全な呼吸法
    第7話 息を感じて生きる

  • 時間があれば

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著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とする。2001年刊行の『声に出して読みたい日本語』が、シリーズ260万部のベストセラーとなる。その他著書に、『質問力』『段取り力』『コメント力』『齋藤孝の速読塾』『齋藤孝の企画塾』『やる気も成績も必ず上がる家庭勉強法』『恥をかかないスピーチ力』『思考を鍛えるメモ力』『超速読力』『頭がよくなる! 要約力』『新聞力』『こども「学問のすすめ」』『定義』等がある。

齋藤孝の作品

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