続巷説百物語 (角川文庫)

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  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (770ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043620036

作品紹介・あらすじ

不思議話好きの山岡百介は、処刑されるたびによみがえるという極悪人の噂を聞く。殺しても殺しても死なない魔物を相手に、又市はどんな仕掛けを繰り出すのか……奇想と哀切のあやかし絵巻。

感想・レビュー・書評

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  • 又市たち闇の稼業の者による仕掛け、極悪人へのお仕置き。最後は何か切なかった。

  • 再読。6~7年ぶり?

    忘れてしまっていた部分も多々あれども、しっかり覚えていてちゃんと「再感動」させられた部分も多数♪

    シリーズは全5作中4冊までは既読。
    再読の2作目。

    本編(?)はここで完結し・・この後「前巷説…」(前日譚)「後巷説…」(後日譚)と続いたはず。

    ※「西巷説…」は、別主人公のサイドストーリーという位置付けだったかと思っていたのだけど、

    今回の再読をしてみたら、

    百介が又市に束の間の再開をするまでの6年間の空白が気になった。

    江戸城に巣食う大ネズミ退治・・
    事触れの治平が命を落としたという東西の抗争・・

    もしかして、これらのエピソードが「西巷説…」で語られてるのかしら?と。


    世界観を読み終えてしまうのを敬遠し読まずに寝かしてきた「西巷説…」も、そろそろちゃんと読まねば❗️と思った。

    ★5つ、9ポイント半。

  • 再読。内容はぼんやりとは覚えていた。前作「巷説百物語」に続く今作であるが、このシリーズはどの話も人の心を揺さ振るのが上手い。特に最後の話である「老人火」はそれでしか幕を引けなかった二人の天狗の遣る瀬無さ、そして又市と百介の最後は感情移入できるものでもないのに思わず感情移入してしまう。きっとここで百介の中のなにかは終わってしまったのだと私は強くそう思っている。

  • 知識量に圧倒される
    百介の心の動きにぎゅっとなった
    世の中のどうしようもないことをこういう書き方でおさめようとした発想がすごい
    百介の口調が少しばかり現代チックなところもギャップだと思うけど面白いというか逆にリアルっぽいと思う
    最後切なかったな

  • 『巷説百物語』の続編。
    連作短編集。を装った長編。

    長編だと気づいた時の私↓
    「ちょ、これもしかして長編じゃね? なんか今回は時間軸がハッキリしてるしえらく符合することが多いなとは思ってたんだけど、まさかの長編? それなら最初からそう言ってくれよ、短編だと思ってたから重要なキーワードも心に留めずにここまで来ちゃったよ!!!」

    さらに最後まで読んだ直後の私↓
    「え、終わり???? このシリーズここで終わるの?? だって続巻出てるじゃん、これシリーズモノなんじゃなかったの? しかも何この最後の『江戸に戻った百介は、生涯二度と旅に出なかったという。』って! こんな大事なことをこんなサラリと書く?? 日本中の怪談を収集して百物語版行するのが百介のライフワークじゃなかったの? それをこんなに簡単に覆す?? これは悲しい! めちゃ悲しいぞ!!」

    いろいろえらくショックで、読後はしばらく哀しみに打ちひしがれてた。
    このシリーズは凄く好きなわけじゃなかっただけに、予想外の展開で興った引力にかなり持っていかれた。
    要は京極夏彦にキレイにヤラレタ私であった…。



    感想としては上記が全てなんだけど、未来の私のためにあらすじを記しておく(忘れるので)。

    ・野鉄砲……百介の兄、山岡軍八郎登場。同心の兄に呼ばれ八王子まで出掛けた百介は、額に石がめり込んだ同僚の骸を見せられ、人智か物の怪の仕業かを相談される。野鉄砲という怪を紹介した百介だが、一日猶予をもらい、又市に意見を仰ごうと江戸に引き返す。話を聞き顔色を変えた悪党達は、物怪狩りに発展することを予言し、兄のために加護の札を授ける。百介は八王子に戻り、果たして山狩の支度をしている兄に、護符を渡す。山狩の結果、兄以外全員が野鉄砲に襲われ、さらに上役は額に石礫をくらって命を落とした。
    実は死んだ二人は、治平の盗賊時代の親方島蔵の娘と孫(そして治平の嫁と子供)の命を奪った奴らで、島蔵が改良した石礫を弾にする鉄砲で仇をとったのだった。
    (そうか、ここでまず野鉄砲が出てくるんだな)

    ・狐者異……蘇生するとの噂の悪党祗右衛門のさらし首を見に行った百介は、途中でおぎんと同道になる。首を見たおぎんのただならぬ態度をきっかけに祗右衛門について調べた百介は、祗右衛門が15年前にも10年前にも首を斬られていることを知る。そんな時ふいにやってきた又市に何となく近況を話すと、又市は祗右衛門の蘇生は事実だと語り、あれは人ではないのだと退治に必要な大判の札を見せる。
    そうこうしているうちに、先に祗右衛門を捕えた同心笹森が攫われる。部下にあたる同心田所が百介を訪ね、誘拐が祗右衛門の仕業だとして、人が蘇生することなどあり得るのかと問う。祗右衛門を捕らえる決意をする田所に、又市の話を思い出した百介は治平から例の御札を預かり田所に渡す。果たして田所は御札の効果で祗右衛門を捕え、斬首に成功する。
    その後、実は祗右衛門は義賊で、おぎんは祗右衛門と町家の娘との間の子であること、祗右衛門の立場を利用し「祗右衛門」というシステムを構築したのが笹森だったことを、又市から明かされる。田所が斬ったのは笹森だった。
    (ここでおぎんの出自が明らかになるんだな)

    ・飛閻魔……貸本屋の平八登場。百介を呼び付け、直近の旅の土産話をしたあと、人探しを頼む。もちろん、百介の背後にいる又市を当てにして。尾張の豪商が、入れ込んだ挙げ句消えてしまった女・白菊のために御殿まで建てて、籠もっていると。渡りをつけた又市は白菊を知っていて、百介は白菊の身の上を知る者たちから話を聞く。又市の仕掛けで尾張の御殿は燃え失せ、豪商は正気に戻るが、百介は又市から、実は白菊はすでに死んでいて、成りすました女がいること、火に興奮する性癖であることを聞かされる。
    問題は、百介と又市の関係をなぜ平八が知ったか。北林藩で平八はおぎんの育ての親小右衛門と出会っていたことが分かる。
    そう、この話がキモ。冒頭の平八と百介との間で交わされた、江戸で人が死んだだの北林藩の七人みさきだの花嫁が持参金持って道端に倒れてただの、世間話的に出てきた話題が、にわかに主軸に躍り出る。ここだよ油断してたの。

    ・船幽霊……この話も情報量が多い。
    淡路の仕事を終え、百介がおぎんと土佐まで行こうとする途次、怪しい侍に後をつけられているらしいことに気づく。捲くために山道を行くと、賊らしき者どもに襲われ、結局その侍に助けられる。侍は東雲右近、北林藩家老に人探しを依頼され、土佐の川久保一族を探っていた。北林藩では辻斬りが続き、現藩主との確執の末に自害した前藩主の正室の弟が下手人とされた。それが川久保とゆかりがあるためだ。


    そうそう、各話の各章をページ最後の行で終わらせる京極夏彦の狂気は指摘しておきたい。

    あと、めちゃ急展開でビックリしたけど、シリーズをきっちり終わらせたのはファンにとっても良かったんだと、次はいつ読めるのかとモヤモヤしながら待ち続ける京極堂シリーズのファンは思うのであった。

    (編集中)

  • 再読

    物語が絡み、つながり、うねる様に大きな仕掛けに関わっていくのが面白い。
    ただ、ただ切ない。。。

  • 又市たちとの別れの場面が、ものすごく泣かせる。

  • 巷説百物語シリーズ第2弾。
    最初は一作で終わりのつもりだったのかな。
    続、とはうってあるけれど、時系列には語られていない。

    収録作品:野鉄砲 狐者異 飛縁魔 船幽霊 死神或は七人みさき 老人火

  • 怪異より人のほうがこわい
    読むと凹むんだけどせっかく全巻買ったので全部読むつもり

  • 今作は全編百介の視点で描いていることから、又市一味の各キャラクターの人となりがよく分かり、切なさと恐怖と可笑しさの混じった異様な世界観にのめり込んで行く。

    最後の事件の真相が知りたくなるので、このまま続編突入必至。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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