ウェルベル・コレクション I 蟻 (角川文庫 ウ 19-1 ウェルベル・コレクション 1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042915010

作品紹介・あらすじ

「地下室に立入厳禁!」死んだ伯父が遺してくれたパリ郊外の古いアパート。遺言にはたった一言、こう書かれていた。誘惑に抗しきれずに地下へおりたジョナサンはそのまま姿を消してしまう。そして後を追った妻と幼い子供も帰ってはこなかった。数々の苦難の末、地下に潜入した救助隊が見つけた衝撃の世界とは…!?一方フォンテーヌブローの森の奥で、堅牢な都市と連合を築き、力を蓄えるアリの社会。そして、ついに地球上の二大文明が衝突する日がきた-。人間とアリのファースト・コンタクトを描く衝撃の異色サイエンスホラーミステリ第一巻。

感想・レビュー・書評

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  • 蟻にキノコ栽培を行う種がいる事や蟻とアブラムシとの共生関係についてはよく知られていることである。
    作中では勿論前述の描写がある他、戦車を発明したりカタツムリの唾液を体に塗ったりなどもしているが、どこまでが事実でどこからが創作なのだろうか。
    先に『アント・ワールド ~アリの世界(エドワード・O・ウィルソン著)』を読んで予習しておけばよかったと読みながら少々後悔する。
    人間が思う以上に他生物は強かで賢く、特に蟻は社会的で高度な文明を持っている。仮に本書の内容が小説ではなく全て事実だと言われたとしても私は驚かないだろう。

    “サイエンスホラーミステリ”とあるが、ホラー感は強くない。
    物語は地下室に消えていく“人”目線、地下に棲む“蟻”目線で紡がれ、度々作中の昆虫学者が著した『相対的かつ絶対的知の百科事典』が引用として挿し込まれる。これが恐らく補足の役割となり、昆虫について詳しくなくても楽しめる作品となっている。

    第一巻である本書では、人と蟻との交流は終盤に少し書かれるにとどまる。物語はまだ序章に過ぎず次巻からいよいよ人vs蟻の展開になっていきそう。

    シリ・プー・ニ改め新しいベロ・キウ・キウニに一読者である私も問いたい。
    「岩の下に住んでいる人間はどうしますか?」
    その答えは次巻で書かれるのだろうか。
    103683号や801号の活躍はまた見られるのか?

    新本は入手困難なためバリューブックスにアクセスする。

  • 出だしは疎遠な叔父から相続した家の開かずの地下室、陳腐ながらもオーソドックスな設定でいいんじゃない。それが途中から、アリの帝国・・・?
    ファーブルとかシートンとかお好きな向きにはよろしいかも。私は生憎、文系なんで。話としてはちゃんと集約されていくんですけど・・・
    まあ、この、なんと言うか、大上段な結末にとってつけた幕切れはナニでしょう。「え??これで終わるか?!」と思いましたよ。

  • 失業中のカギ職人ジョナサンは、伯父が遺したアパートに引っ越した。その地下室には立ち入り禁止と書かれてあったが、好奇心に負けた彼はその禁を破り姿を消す。その後に続き妻のルーシー、息子のニコラも姿を消す。そしてその捜索隊たちも。
    一方、蟻の王国の話も同時に進む。蟻同士の戦い、やがてくる旅立ちと新しい女王の誕生と王国の形成。
    この二つの話がどこでどう交わるのか。

    ある意味SFであるが、非常に哲学的な話でもある。この話が現実になれば非常に面白く、一方では非常に恐ろしい。

  • アリ好きの人に勧められて読んだ。
    確かにアリ好きな人には堪らないだろうなぁと思うほど、アリの生態がみっちり書いてあった。それだけではなく、人の世界の失踪事件とアリの世界の話がうまく繋がってるところが見事。面白かった。
    異文化コミュニケーションなSFとしても読めるように思えた。

  • 虫ものSF!
    読ませる、かなり面白い。
    思わず、アリの生態について、調べてしまった。
    麻薬を与えるハネカクシは本当なのね。

    蛇足だけど、文明論についても作者は作中人物に、いろいろと語らせていて、結構、興味深い。
    たとえば。
    『アリたちは、ファシストでもアナーキストでも王政主義でもなく、まず、アリなのです。われわれの世界とはまったく違うのです。それこそが、彼らの世界の豊かなところなのです。』
    『…間違っています。アリたちを人間的な理解のわくにはめこもうとするからです。』
    これ、
    アリ:日本人、チベット人、ヒンドゥー教徒
    人間:西欧人
    に置換して読むと面白いよ!

    さらに、
    『われわれは、日本人、チベット人、ヒンドゥー教徒などを理解することはできませんが、その文明や音楽や哲学は興味深いものです。たとえそれが、西欧的理解によって変形された理解にしても!』
    ふ~ん、やっぱりそうなんだ。西欧人!

  • 蟻の生態を元に蟻と人間のコミュニケーションを主に物語が展開。

  • 蟻の世界と人間の世界が交互に入れ代わり、次第に交わってゆく。
    蟻の世界の複雑さに驚く。もちろん、創作の部分もあるだろうが、人間より蟻の方が賢く生きているのではないかと思ってしまう。

  • 2010.7.20 紹介

  • なんだ蟻かと侮るなかれ。戦闘に兵器を用いたり、生活面でもさまざまな発明を生み出したり、その知能はかなりのもので、それだけでも面白いのに、生態描写がまたすごい。殺戮シーンは正直気持ち悪いほどだが、ひとときのロマンスもあったりして、人間とは違う思考に興味をひかれた。そんな蟻たちの生き様と平行して、人間世界ではある館で人々が次々に消えていた。彼らははたして無事なのか。蟻と人間たちはいったいどこで交錯するのかと、じりじりしながら読んだ。とても読み応えのある小説。

  • 作者のベルナール・ウェルベルは蟻の生態を13年間もかけてこの蟻3部作を書きました。
    人間の文化と蟻の文化の決定的な違いにハラハラする話です。
    これを読み終えると、足元に蟻が居ないか気になるようになってしまうので不思議です。

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