くろふね (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 158
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041998045

作品紹介・あらすじ

黒船来る!嘉永六年(1853)六月、ペリー提督率いる四隻の艦隊が浦賀に来航、幕府に開国を迫った。尻ごみする浦賀奉行の代役としてペリーとの交渉にあたったのは、同奉行組与力・中島三郎助。日本人として初めて黒船に乗り込んだ三郎助は西洋の新しい技術に触れ、日本を外国に負けない近代国家に導こうとするが…。激動の幕末。古い体制を打ち破るために闘ったラスト・サムライ中島三郎助の生涯を描いた歴史大作。

感想・レビュー・書評

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  • 中島三郎助という武士が、浦賀で海防の仕事をしているときに黒船に出会い、その後どのような人生を送ったかが書かれる。黒船の圧倒的な武力に対抗するため奔走する前半はドラマチックだが、晩年は駆け足で歴史の教科書なぞりましたみたいな展開が残念。それでも、過去の成功体験や武士のメンツなどにこだわらず、新しいものを取り入れる三郎助の生き方は、変なビジネス書よりは仕事に対する取り組み方として参考したい。
    気になったのは小物感半端ない鳥居耀蔵と、口だけ達者で使い物にならない意識高い系と言うイメージの勝海舟・・・描かれ方はあれで良かったのか・・・小説だから良いのか。

  • 中島三郎助から見た黒船来航と、幕末の動乱。
    砲術方から洋式船の機関長へ。
    時代に名を残す人達はみんな好奇心旺盛で勉強熱心。
    35歳で新しい事を一から学ぼうという気力がすごい。
    武揚伝と併せて読むとより面白い。

  • 幕末、中島三郎助の活躍の物語。
    薩長・勝海舟以外にも、埋もれた幕末の偉人です。

  • 2018年7月31日読了。

    464ページ。

    武揚伝を詠んだことのある方にはオススメの一冊。
    武揚伝にも登場する中島三郎助の物語。
    長崎海軍伝習所では、年長者にもかかわらず優秀な成績を上げ、またここで榎本武揚と知り合い、年下の武揚に蘭語を
    教わる。

    晩年は二人の子供と共に、箱館戦争で命を落とす。
    武揚のように息子と共に生き残ってくれたらと思う。

  • 29年11月5日読了。
    浦賀奉行所与力 中島三郎助の生き様は、まさに幕末の始まりと終焉だった。

  • 数年前に読んでいますが、最近は詳細に幕末を
    なぞっているので「もっと面白い」部分に気が付く
    ディテールに神が宿るのだよ(使い方間違ってる)

  • 彼の「武揚伝」が傑作であることは力強く断言できます。中島武三郎という人物への着眼はなかなか鋭いけど、「武揚伝」を書いた上で、あらためてこれを書く意義が見当たらない。スピンオフみたいなものだろうか。

  • 後半がやたら駆け足に進んでいっただけなのが気にかかるけど、前半部分の三郎助の活躍は見てて面白かったです。後半も前半のように人物の心情を書いてくれてれば、もっと面白かったのになぁとは思います。なんだかあらすじが書かれてるだけにも感じられたので。

  • 余りにも、面白すぎる。主人公の中島三郎助永胤の壮絶な人生に感動しました。

  • 著者・佐々木譲をして、「激動の時代の幕開けのまさにその瞬間に立会い、その後に続く動乱の時代を、有能な官僚として、すぐれた技術者として、才ある文人として、それになにより、見事なまでに武士らしい武士として生きた男」と言わしめた中島三郎助の半生をていねいに描いた一冊。

    「くろふね」の中にも江川太郎左右衛門英龍は登場する。
    中島三郎助に、彼が興味をもっている測量や砲術、海防などについて、新しい風を送り込んでくれる重要な人物だったのだ。
    江川太郎左衛門による海岸防備の目的の江戸湾の測量のシーンや、高島秋帆による徳丸ヶ原での演習シーンなどは、具体的でとても興味深いシーンとなっている。
    江川太郎左右衛門英龍と言う人は、中島三郎助に最初に影響をあたえた人物だったのだ。
    本を読むごとに、韮山の世襲の代官にこんなに優れた人がいたということを、改めて知らされることになる。すでに彼の功績を知っていても、新しい情報は、それを上回る興味深い業績がでてくるのだ。こうなると、幕末のわが国の海防論のようなものを通して読みたくなってしまう。

    その人物に影響され、さらに独自の興味である大型艦船の建造について学び、日本で最初の西洋式軍艦を建造してしまう中島三郎助。彼のすばらしさは、座学や知識では満足しないところにある。あくまでも実践の人である。そのような意味では、幕府側でも最優秀なテクノクラートの一人であったわけだ。その証拠に、吉田松陰も桂小五郎も中島三郎助に造船術の教えを請う手いる。桂などは、中島家に長逗留して学んでいる。

    中島三郎助は、その後、長崎海軍伝習所伝習生となって長崎へ。言葉巧みで目先の効いた勝海舟とはそりが合わなかったため咸臨丸のアメリカ渡航メンバーからは外れてしまうが、機関士としても航海士としても中島三郎助は勝海舟などよりはるかに優れた人物だったと分かる。

    「日本の近代は、この男、中島三郎助の屍をこえるところから始まったのである。」この言葉が言わんとすることが分かる。中島三郎助とはそのような男だったのだ。 

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著者プロフィール

1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。90年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を、2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で直木賞、16年に日本ミステリー文学大賞を受賞。他に『抵抗都市』『帝国の弔砲』など著書多数。

「2022年 『闇の聖域』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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