水木サンの幸福論 (角川文庫 み 18-51)

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041929193

作品紹介・あらすじ

「なまけ者になりなさい-」独特の言動で、出会う人を幸せな気分にさせる水木しげる翁が、「幸福の七カ条」をもとに、幸福になるための秘訣を伝授。自身の半生を語った「私の履歴書」では、境港での生活と太平洋戦争、戦後の赤貧時代など、波乱の人生を当時の貴重な写真とともに振り返る。特別付録に、兄と弟で語り合った鼎談と、境港での幼少時代を描いた「花町ケンカ大将」を収録。読む人を幸福にさせる人生論。

感想・レビュー・書評

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  • 水木しげる(本名:武良茂/1922~2015年)氏は、大阪市生まれ、鳥取県境港市育ちの漫画家。紫綬褒章、旭日小綬章受章。調布市名誉市民、東京都名誉都民、鳥取県名誉県民。文化功労者。子供の頃聞いた妖怪の話に強い影響を受けた妖怪漫画(代表作『ゲゲゲの鬼太郎』(1960年代~)や、太平洋戦争時のニューギニア戦線での過酷な戦争体験を基にした戦争漫画(代表作『総員玉砕せよ!』(1973年))を数多く残した。境港市には、水木しげるロード(1993年)、水木しげる記念館(2003年)が造られている。
    私は、ノンフィクションやエッセイを好んで読み、今般、過去に評判になった本で未読のものを、新古書店でまとめて入手して読んでおり、本書はその中の一冊である。
    本書は、日本経済新聞に2003年に連載された「私の履歴書」をメインにして、「水木サンの幸福論」を加え、更に、水木氏・実兄・実弟の3兄弟の対談と、自らの子供時代を描いた漫画『花町ケンカ大将』を付録として付けたもので、2004年に出版され2007年に文庫化された。
    私は『ゲゲゲの鬼太郎』をTVアニメで少し遅れて見た(再放送だったと思われる)世代ながら、子供の頃は、正直なところ怖くてあまり好きではなかったのだが、大人になってから、境港市の町おこしの報道や「私の履歴書」で改めて気に留めるようになり、TVドラマ『鬼太郎が見た玉砕〜水木しげるの戦争〜』(2007年)を見て、原作『総員玉砕せよ!』を初めて読んだ、かなり遅い水木支持者である。
    「私の履歴書」は、(連載時にも読んでいたが)改めて通して読むと、水木氏の「奇人変人ぶり」、波乱万丈の人生が実に面白く、また、連載時から20年近く経ち、社会の閉塞感が一層強まる(ような気がする)中で、水木氏の人生(観)から気付かされることも少なくなかった。
    また、氏が自らの人生から導き出した「水木サンの幸福論(幸福の七か条)」は以下で、実に水木氏らしいものである。
    第1条:成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。
    第2条:しないではいられないことをし続けなさい。
    第3条:他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追求すべし。
    第4条:好きの力を信じる。
    第5条:才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。
    第6条:なまけ者になりなさい。
    第7条:目に見えない世界を信じる。
    尚、本書を読んで、水木氏が出征時に『ゲーテとの対話』を雑嚢に忍ばせて行ったほどのゲーテのファンだったことを知ったが、氏の人生観や幸福論にゲーテが相応の影響を与えているのは間違いないだろう。(私も『ゲーテとの対話』は大好きである)
    (2023年1月了)

  • 水木サンの幸福論(角川文庫)
    著作者:水木しげる
    発行者:角川書店
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    facecollabo home Booklog
    https://facecollabo.jimdofree.com/
    肩の力が抜けて、元気が出てくる人生論。

  • 水木さんの怠ける性格と好きなことに熱中する生き方、また戦争中の悲惨なエピソード、最後の一節を読んだ時に自然と涙が溢れてきた〜〜泣
    ほんまにずっとずっとこの人みたいになりたいって思ってたけどより一層その気持ちが強くなった、、

    幸福の七か条
    ①成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない
    ②しないでいられないことをし続けなさい。
    ③他人との比較ではない。あくまで自分の楽しさを追求すべし。
    ④好きの力を信じる
    ⑤才能と収入は別。努力は人を裏切ると心得よ。
    ⑥怠け者になりなさい。
    ⑦目に見えない世界を信じる

  • 2023.08.30
    戦争を生き抜いて漫画家としても大成功した著書の語る幸福論は難しいことを言っていないだけに重い。往々にして難しいことはシンプルに表現できるのだと考えさせられる。最後に掲載されている著者の長女が自殺を考えていた少女時代のちょの教えに救われたことについて述べた部分も秀逸。読む価値ある。

  • 成功や栄誉や勝ち負けを目的にしない。しないではいられないことをし続ける。他人と比較せず自分の楽しさを追求する。好きの力を信じる。才能と収入は別、努力は人を裏切るもの。なまけものになる。目に見えない世界を信じる。いまの日本は美味しい食べ物があり天国。成功が幸せではない。好きなことに没頭できるのが幸せ。うんうん。

  • ゲゲゲの鬼太郎の生みの親、水木しげるさんの人生論。一度死の淵を経験した人は本当に強いと思う。戦争で大変な思いをしたからこそ、楽に生きる、好きなことで生きる、その信念を感じた。

  • ゲゲゲの鬼太郎の作者。人生急ぐことない、焦ることないと救われます。こんなに魅力的な人であることに、エピソードを聞けば聞くほど感じます。過ごしたわけでありませんが、昭和の風景が伝わってきて古き良き日本の感慨にも浸りました。

  • 「なまけ者になりなさいー」と、のほほん人生を送られているかと思いきや、なんとハードモードな人生なのか。水木しげる先生は本当にすごい!そしてタフ!ストイック!!
    ラバウルでの戦争体験、戦後の赤貧時代などは読んでいて頭が下がるほどの過酷さ。
    そんな折でも水木先生のスタンスとしては「マイペースを保つ!」こんな方が同時代に生きていてくださったことに感謝。
    付録の3兄弟対談も面白かった!

  •  水木しげるの生涯を語った本になる。軽快な文章で書かれているが、その壮絶な人生は凄まじい。戦争の悲惨さが分かる。そして水木さんが生き残れたのは奇跡的だったということも分かる。
     個人的に本書で面白かったところは、子供の頃の収集癖や漫画に対する思いだ。水木さんが漫画界で生き残れたのは、とにかく漫画が好きだという思いからの努力だ。大好きな睡眠を削って、食事を抜いて本を買って勉強する。漫画を描くために出来ることをたくさんする。漫画家になって楽に生きたいと思っていた人は食えなくて辞めてしまって、それは好きという思いが弱かったからだと水木さんは言う。自分の好きなものには全力でぶつかる。その思いの成果は漫画を読めば分かる。
     なまけものになる為に頑張ろうと思った。

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著者プロフィール

1922年(大正11年)生まれ、鳥取県境港市で育つ。太平洋戦争時、ラバウル戦線で左腕を失う。復員後、紙芝居画家を経て貸本漫画を描き始め、1957年『ロケットマン』でデビュー。以後、戦記もの、妖怪ものなど数多くの作品を発表。1965年『テレビくん』で第6回講談社児童漫画賞を受賞。1989年『昭和史』で第13回講談社漫画賞を受賞。1991年紫綬褒章受章、2003年旭日小綬章受章。主な作品に『ゲゲゲの鬼太郎』『河童の三平』『悪魔くん』『総員玉砕せよ!』『のんのんばあとオレ』など。2015年11月死去。

「2022年 『水木しげるの大人の塗り絵 あの世紀行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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