縫製人間ヌイグルマー (角川文庫 お 18-20)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (514ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041847220

作品紹介・あらすじ

ヌイグルマー。それは、愛する者を守るためにぬいぐるみと合体した勇者たちの、熾烈なる戦いの伝説。ロックも含む大槻ケンヂの全作品の中でも、最もぶっ飛んだノンストップSFバトルアクションの傑作。敵も味方も異常。人類の危機を救うべく、ぬいぐるみの超人が高円寺〜中野間を愛と血と綿と炎で覆いつくす。で、さらに読者を感動で泣かす。

感想・レビュー・書評

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  • SFアクションファンタジーのヒーロー物です。
    世界観を理解することを放棄した上で、難しい事を考えずワクワクだけを摂取するならこの本を読むのをオススメします。
    大槻ケンヂの音楽を知ってるとなお楽しめる作品だと思います。

    ヌイグルマーやその仲間たちが数々の困難を乗り越えていく姿や、ヒーローが悪党と共闘してより凶悪な敵と戦うシーンはとても胸アツです。
    何といっても読み手が求めるヒーロー物に必要な要素を満足するまで得られるのがこの本の強みだと思います。

    ただ、ヌイグルマーが強すぎて「どうせヌイグルマーが勝つんでしょ…」という出来レース感が否めなかったのと、腕も首も当たり前のように飛びますのでグロテスクな表現が苦手な方は読むのは避けたほうがいいです。

  • 血なまぐさいのがニガテな人にはおすすめできませんが、東京の高円寺と中野を舞台に、でもワールドワイドに繰り広げられるヒーロー冒険活劇っ!ぬいぐるみなのにかっこいい!キャラの個性が際立つ盛りだくさんでエンタメな一冊。ひねくれているけど不思議なほどまっすぐな物語でした。

  • ぬいぐるみに寄生した綿状生命体が、愛する少女を守るため、かつての戦友を取り戻すため、血と愛と綿にまみれながら奮戦する。
    ぬいぐるみ、特撮、プロレス、クリスマス、阿波踊り、サブカルがごちゃ混ぜになった超展開に次ぐ超展開の連続だが、何度も傷付きながら立ち上がっていくブースケとその最終形態であるヌイグルマーは本物のヒーローである。
    本当に。本当なんだってば。

  • カオスな世界でした。
    異星人でぬいぐるみ、サーカス出身の社長、サンタ、エスパー、ロリータ、赤ちゃん、そしてロボデント。。クリスマスイブの中野サンプラザで死闘を繰り広げてました。
    不幸で平等になる、というのは嫌だけれど、与えられた同じものを食べて同じものを見て…自分から探そうとはしないで、というのは薄っすら現在も似たようなものあるなぁと思ったりします。
    苦いけど大団円、と思い、チャーリーか…と切なくなったところで、ハジメのホワイトハウス爆破ですっかり続きが気になりました。
    特撮の「戦え!ヌイグルマー」も聴いてみよう。

  • 縫製人間ヌイグルマー

  • 最高にクール

  • 「縫製人間ヌイグルマー」
    愛する人を守るぬいぐるみ。


    本作は、一言で言うならヒーロー小説である。簡単にあらすじを説明すると、


    滅亡の危機にあったはるかかなたの惑星「ドムホ」に住む「綿状生命体」が、銀河放浪の末に地球にたどり着いた。タイのサマイ島に降り注いだ彼らは、地球上での生息場所としてぬいぐるみの中を余儀なくされる。


    日本に住む森野姫子はクリスマス・イヴの日に、プレゼントとして黄色いテディベアを選んだ。そのテディベアには綿状生命体のドムホ最強の戦士「ドウ・マア」が住み着いていた。


    同時期、アメリカの田舎町では失業した父親と暮らす少年フィルは、クリスマスプレゼントとして黒いあみぎるみを買い与えられた。そのあみぐるみをチャーリーと名をつけ自分の弟としてかわいがっていたが、このあみぐるみにもドムホの戦士「デ・パルザ」が潜んでいた。


    世の中では、マクドバックス社(MB社)が世界を牛耳ろうとしていた。表向きはジャンクフード会社として。また、裏では世界を不幸で平等にする為、生物兵器を次々と作り出す悪の組織として。


    その計画に、アメリカ大統領が賛同し、まずは、日本征服が進行していく。その戦場に巻き込まれるブースケとチャーリー。彼ら2人は、一方は征服を止める側として、もう一方は征服を進行させる側として対峙する。


    と言った、悪を正義が倒すヒーローのお話。ジャンルはSFバトルアクション。


    登場人物はハチャメチャだ。ブースケとチャーリーは、地球外生命体である。悪役のMB社は赤ちゃん人間、片腕ロリータ、超能力者、狂人サンタ等異常な奴らばかりを揃えている。更に、赤ちゃん人間を製造する機械や死体をゾンビとして操るマッドサイエンスを踏まえると、登場人物にはSFが感じられる(気がする)。



    バトルアクションとしては、十分それと言える仕上がりになっている。例えば、ブースケとチャーリーは、綿で出来ている体だけに、糸を駆使して戦う様はまるでスパイダーマン。しかし、アメリカのヒーローと違い、彼らは非常にグロテスクな戦いを好む。もう血塗れは当たり前で、如何にグロテスクに殺すかに挑戦しているかの様だ。


    また、忘れてならないのは、アメリカ大統領だ。こいつは人造人間16号をより殺人的にした感じ。


    設定も、アルカイダのテロを模したり、高円寺の阿波踊りがキーになっていたり、色々ごちゃまぜになっている。


    こんだけごちゃまぜになりながらも、ヒーローアクション(グロテスクだが)の肝である“勇気、友情、愛は悪に勝つ”はぶれずに抑えている。


    例えば、ダメスケなんか上手いキャラクターだと思う。ダメで逃げ腰だけど、愛の為に逃げずに戦おうとする。見直したぞ、ダメスケ!と言っちゃう。


    ボリュームはもう少しコンパクトに出来たと思う。内容を考えたら500ページは多いかなと。また、描写に関しても?が多かった。しかし、それらを差し引いても面白かった。


    因みに、本作を原作とした映画が公開されたけど、内容は全く違うのでご注意を。

  • ぬいぐるみと合体できたりぬいぐるみに意志があったりする時点でわたし的素敵ポイントがかなり高い。プラス大槻ケンヂ以外が書くと寒い気持ちになる「まっとう」な感覚のぶつかり合い。可愛いだけのようで中身はぎっしり。昔大事にしてたワンピース着てた黒猫ちゃんと雑巾色のテディベアのペピちゃんを思い出した。

  • 面白かった!怒涛の勢いで描かれるヒーローもの王道の熱い展開。仲間や家族の素晴らしさ、マイノリティへの激励が全編通して描かれていて、登場人物の台詞に涙腺が緩む場面も多かった。とても素晴らしい作品だった。
    特撮や筋肉少女帯、大槻ケンヂの曲や世界観が好きなら更に面白く読める。

    ただ、一つだけ言うなら、ダメスケにもうちょっと活躍する場面を用意して欲しかったかな…

  • ぬいぐるみが動くというファンタジー要素と少年マンガのようなストーリーのコラボレーション!!!

    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

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著者プロフィール

1966年東京都生まれ。82年ロックバンド「筋肉少女帯」ボーカルとしてデビュー。その後もロックバンド「特撮」でも活動。その特異なキャラクターは音楽だけにとどまらず、映画、テレビ、小説やエッセイなど多岐にわたる分野で人気を集める。著作「くるぐる使い」「のの子の復讐ジグジグ」は2年連続で星雲賞を受賞。また『グミ・チョコレート・パイン』シリーズのほか『ロッキン・ホース・バレリーナ』『縫製人間ヌイグルマー』『いつか春の日のどっかの町へ』など著書多数。

「2022年 『夜の夢こそまこと 人間椅子小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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