忍法八犬伝 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041356654

作品紹介・あらすじ

安房里見家に代々伝わる家宝がスリかえられた!"忠孝悌仁義礼智信"の伏姫の珠に代わって残されたのは"淫戯乱盗狂惑悦弄"の偽珠。里見家取り潰しを目論む本多佐渡守の策謀であった。珠奪還に健気に奔走する村雨姫のため、甲賀卍谷で修行を積んだ八犬士の末裔たちは奮起する。だが、服部半蔵麾下の妖婉なるくノ一衆8人が立ちはだかり…。その忍法、凄艶絢爛。その筋立て、壮烈無二。反・道徳的にして忍法帖史上屈指の大傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 山田風太郎は本当に天才作家だと思う。
    小説というのは、【終わりよければすべて良し】理論が適用されうるものだ。内容がいくらおもしろくても、結末が微妙だと中々記憶に残らない。
    山風作品は、ストーリーのおもしろさは言うまでもないが、締め方まで完璧だ。その作品にふさわしいラストがいつも用意されている。そして、これは私の感想なのだが、どの作品も【切ないのに清々しい】読後感が残る。切ない結末の作品は世の中に数多くあるが、切ないのに清々しい作品はそうないだろう。


    本作でも、最後の一文が素晴らしい。胸が締め付けられる切なさを感じるとともに、長く甘い夢が覚めたような清々しさも感じられる。
    村雨という1人の女性を救うため、血気盛んな8人の若者たちが戦いに挑み死んでゆく。荒唐無稽なストーリーとその中に紛れもなく存在する純愛。このアンバランスさも、また山田風太郎らしい。

  • まさに、この面白さは忍法!!

    安房里見家に代々伝わる家宝の球“忠孝悌仁義礼智信”が“淫戯乱盗狂惑悦弄”にすり替えられてしまう。
    それらを取り戻すべく八犬士の末裔達が奮起する。

    残酷淫猥、されど嫌らしさを感じさせない爽快感。
    結びの美しさ、謐かさ。

    さらに、それとなく滝沢瑣吉(馬琴)を登場させてしまうところなど、細部まで凝った一冊である。

  • 第48回アワヒニビブリオバトル「散る」で発表された本です。
    2019.02.05

  • 風太郎先生の小説はどれも外れがない。
    今回は里見家が八犬伝由来の「伏姫の珠」を将軍家に献上するという設定下で、八犬士の子孫と伊賀忍者との間で戦いが繰り広げられるのだが、ヒロインの村雨が戦いの渦中に入るところから手に汗握る展開が加速し最後はハッピーエンド。
    ああ面白かったで終われる娯楽小説。

  • 忠孝悌仁義礼智信
    淫戯乱盗狂惑悦弄
    大事
    行方不明の息子たち
    六方者と軍学者
    女郎屋者と狂言師
    香具師巾着切
    乞食と盗ッ人
    童姫
    めぐる村雨
    挑戦状
    忍法「悦」
    念仏刀
    忍法「盗」
    八門遁甲
    三犬評定
    外縛陣
    忍法「淫」
    「蔭武者」血笑

    信乃姫様
    陰舌
    蔵の内外
    地屏風
    二人村雨
    千秋楽は三月三日
    内縛陣
    忍法「弄」
    大軍師
    幻戯
    空珠

    著者:山田風太郎(1922-2001、養父市、小説家)
    解説:中島河太郎(1917-1999、鹿児島市、文芸評論家)、京極夏彦(1963-、小樽市、小説家)、日下三蔵(1968-、神奈川県、文芸評論家)

  • 山田風太郎作品のエログロにいい加減慣れて参りまして、いちいちショックを受けずにすむように……なってきたはずなのに、相変わらずの奇想天外忍法に驚かされてしまいます。

    これだけえげつないのに、なんでこんなにおもしろいんだろうとつくづく不思議。「えげつない」部分を除くと涼やかできらめいて美しく、かつ息をつかせぬエンターテインメント作品だからかな。「SHINOBI」はそれと知らず見て、なんて美しいのだろうと感心し、後に山田風太郎作品アレンジと知りましたがまさにそう。美しい。
    村雨さまの美しさもこう、なんというか眼の前におられるかのように白く輝く肌が見える。里見の殿からうばってしまいたいわほんともう。


    ※そうして元ネタの「南総里見八犬伝」のさらに元ネタ、「水滸伝」を読もうと決心。なんとなく避けてた中国古典創作物語だけれど、いいきっかけをいただきました。

  • 犬田小文吾の死に様がかっこよくてそこから一気に引き込まれた。相変わらず忍法は突飛だけどすごく面白かった。

  • 山田風太郎作品はどれも計算され尽くされている物語の展開が読後に「うわぁ!もー!すごい!」となって、読み返したくなります。今回も、この順番で戦わなかったら…という素晴らしい展開でした。甲賀忍法帳と同じようなシチュエーションでありながら、一人一人戦っていくことになる理由付けがきちんと書かれているのが素晴らしい。特に今回はその理由が色恋なだけに読みやすかったです。

  • 設定がいいですよね。
    自由奔放に生きている青年たちが好きな女の為に命を賭けて使命を果たそうとする・・・。ワクワクするお話です。
    この八犬士たちがお互いさほど仲いい訳じゃないってのがまたいい味出していたように思います。
    確かにね、皆村雨を狙っていると知っているなら、変に手を取り合うよりも抜け駆けも辞さぬ、いい所見せたいと考えるのが自然でしょうから。

    忍法合戦については・・・、ちょっと意図が分からない点もあったかな?
    意図と言うか、なぜそこまでして性を絡めようとするのか。
    犬坂毛野のち●こ切り落として影を作る忍法とか、作者にとってち●こじゃないとダメな理由って何かあったのかな?と変な所が気になりました。

    犬塚志乃が最期に球をスリ『入れる』部分、格好良かった。これでようやく任務が完了したんだ、と読んでいて嬉しいような切ないような、そんな気持ちになったなぁ。

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著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞、97年に第45回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2011年 『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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