いまを生きるちから (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 80
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041294383

作品紹介・あらすじ

なぜ、日本にはこれほど自殺者が多いのか。古今の日本人の名言を引きながら、我々はどう生きるべきか、苦しみ悲しみをどう受け止めるべきかを探る。「情」「悲」に生命のちからを見いだした一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 五木節が炸裂してます。
    この年齢の、しかもそれなりの経験をしてないと書けない文章だし、説得力も出ない。

    この本のキーワードは「慈悲」
    ポジティブイメージの「慈」とネガティブイメージの「悲」その両方が必要。

  • 「力」ではなく「知恵」なのだと思う。

    五木さんらしい生き方ノヒント

  • 五木寛之のエッセイ集。五木さんは若い頃よく読んだ作家の一人です。
    "青年は荒野をめざす"とか"蒼ざめた馬を見よ"などですが、そのせいか最近出すエッセイも"大河の一滴"を始め何となく惹かれるので読んでいます。
    1932年生まれ、いわゆる戦中時代の人であす。ですから元々人生に対してあまりポジティブなイメージを持っていない。
    しかし、その姿勢がこの時代にあってはしみじみとした良さを発揮しているような気がしています。
    この本でも、日本人が昔から当たり前に持っていた神も仏も一緒に家の中に祀っていることとか、おてんと様に手を合わせるとかの自然信仰(アニミズム)を礼賛しています。
    お陰様とかご縁と言う言葉に託された日本人の心を取り上げて、乾いた感情しか持てなくなったこの社会を憂えているのです。
    印象深い話題は童話の青い鳥のお話の本当の結末です。
    果たして、チルチルミチルが青い鳥を見つけたと思った途端に青い鳥は逃げて行きます。
    その結末に込められた意味は何なのか‥その謎を彼は今も考えていると言います。
    生きるとは‥幸せとは‥誰もがふと立ち止まる時に思う事だが答えは出せないのかもしれない。そんな時、手に取ってみるとと少し安らぐような一冊です。

  • ■風邪と下痢は体の大掃除

    書籍「いまを生きるちから」(五木寛之著・角川文庫・227頁)から。
    作品中に紹介されていた
    「風邪と下痢は体の大掃除」というフレーズか気に入った。
    日本の東洋医学を代表する野口晴哉さんの言葉だと言う。
    「体がアンバランスになっている時に、
    風邪や下痢はバランスを戻すために大事なこと。
    風邪をひけないようなコチコチの体ではしょうがない、
    風邪をひけば早く寝るし、下痢をすれば食事を制限します。
    頭痛がひどい時は、じっと静かにしている。
    どれだけ大きな危機を回避できているかわかりません」
    ものすごく説得力のある考え方だと思う。
    さらに「不安も同じ、人間が持っている防衛能力」。
    不安になると、心(気持ち)が萎(な)える。
    「萎える」は、心がしなっている状態のことだから、
    しなうことによって、曲がることによって、屈することによって
    重い荷物をするっと滑り落して、またもとの状態に戻れる訳だ。
    「不安」になることを勧めているわけではないが、
    不安になることは、悪いことではない、と理解できた。
    「不安」を感じないまま突き進む方が、私は心配だなぁ。

  • 近年、流行っている(?)ポジティブシンキング一番という考え方に、疑問を呈しているようにも読める。

    悲しむことや泣くこと(マイナスの感情)は悪なのか。

    私も、ポジティブシンキングがもてはやされる風潮に少し疑問を感じていた。

    著者は、中庸が大切だと説く。
    マイナスの感情を知っているからプラスが分かる。

    我が意を得たりだと思った。

  • いまが変る。変化する時代に生きる事は、平時と違う姿勢が必要だ。「いまを生きるちから」とは、その心構えのことだと考える。

    もっと現代人は喜怒哀楽を出してもイイと、クールに感情を出さずに、生活しすぎている、私も同じように思う・人間は情であり悲である。本当の慰めは悲しみを共有・共苦する事。慈は父であり、悲は母だ。日本人は忘れてしまっている。もっと原始的に生きて行こうと思う。

  • おととい購入して一気に読む。

    日々感じていること、
    感じているのに言葉にできないこと
    うん、、そうそう、、、
    これを私は感じていたの!
    言葉にしてくださってありがとう!五木先生!という感じ。

    目に見えるものだけを信じる時代ではない。
    目に見えないものもまたあわせて信じていくことが、人間の幅になるということ。

    父性的な「理」や「智」だけで日本はここまで着たけれど、

    母性的な「情」というものもまた見つめなおす時期なのではないかということ。

    日本人のアニミズムを見直すということ

    アニミズムとは、木にも草にも虫にも、山にも川にも、ありとあらゆるものに「魂」があり、そしてそれを「生きている」と感じる原初的な感覚といわれています。

    こういった感覚は俳句をしていて、日々感じること。

    今の環境問題にも、このアニミズムの感覚は新しい思想ではないかと提言されています。



    紹介されている先人の言葉でわたしが気に入ったもの!
    これ!っとおもったもの。

    「自分探しは近代の病である」
    「自分とは自然のなかの一部分である」


    (野口三千三)*体操思想家で芸大の教授。

    最近鳥を見ても、花を見ても、その単純さに力強さを感じる。
    惹かれてならない。

    食べて、寝て、生きて、呼吸ができて、よく眠れて、夢が見れて
    動くことができて、それでいいではないかと。

    そんな当たり前のことが一番大事で、、、、
    年をとると失うものもおおいけれど、その代わり当たり前であったことの
    有難さもまた感じるということも真理。
    年をとると生きやすくなるというのも日々実感している。

    自分へのこだわりを捨てて、
    生き物としての自然を自分の中に見る。
    シンプルに。


    これってとてもヨガ的!
    俳句的!

    複雑になりすぎた世の中だから、
    少し自分というものを捨ててみるという勇気も必要なんだろう。

    今年はぐるぐるといらないことを考えずに、
    自分の中の自然を大事に、見つめる。
    実践する。
    頭じゃなくて、行動に重きを置く。
    わたしに一番必要なことだなあ、、、、、と。

    便利になってしまった世の中だから、これはかなり意識しないとできないこと。

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著者プロフィール

1932年、福岡県生まれ。作家。生後まもなく朝鮮半島に渡り幼少期を送る。戦後、北朝鮮平壌より引き揚げる。52年に上京し、早稲田大学文学部ロシア文学科入学。57年中退後、編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、66年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76年『青春の門筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞、2010年『親鸞』で毎日出版文化賞特別賞受賞。ほかの代表作に『風の王国』『大河の一滴』『蓮如』『百寺巡礼』『生きるヒント』『折れない言葉』などがある。2022年より日本藝術院会員。

「2023年 『新・地図のない旅 Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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