- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041212134
作品紹介・あらすじ
何不自由ないものに思われた新婚生活だったが、ふと覗かせる夫・俊夫の素顔は絢子を不安にさせる。見合いを勧めたはずの姑の態度もおかしい。親子、嫁姑、夫婦それぞれの心境から、結婚がもたらす確執を描く。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
20230611再読
-
三島はジェイン・オースティンだった!?
いやー、見事な人間模様喜劇短編で、こんなのも書いてるなんて恐るべしと思いました。着るものや食べるもので人の性格やその場の状況を描き出す手腕、「こんな人いるいる」と思わせる多彩な人物造形、知恵でもって閉じる顛末など、ホントにオースティンを読んでる楽しさでしたよ。まあ、底流にもっとどす黒いものが流れてるのは感じるけど、そこも魅力。拾い物だった。 -
主人の義母である滝川夫人の屈折した愛情と虚勢が、近代化していく日本の姿と重なってさすが風刺が効いている。当時の社会や情勢が土台にはなっているが、登場人物たちの人間関係は現代にも通ずるものがあってなかなか楽しめた。
-
まったりとした感じ。三島氏はこんな小説も書くのね。何が面白いか自分でも良く分からないけど、気になって読んでしまう。(2019/10/15)
読了。面白かった。
滝川のお母さんの寂しさについての独白が、印象的。
あんな風に思うのかな?
どんな人にも、生活にも寂しさはあるから、それとどう向き合うかだけど。
そんな事は置いておいても、面白い小説だった。
なんだか良く分からないけど、気になって読み進む、といのは、本当に優れた小説なのではないか?と思う。
やっぱり読み継がれる物は、時代を感じさせないな。
(2019/10/17) -
軽めではあるが、心の揺れ動きがよく感じられる。新婚旅行先で出会う奇妙なアメリカ軍人夫婦など、不穏な感じ、違和感が具現化したようなエピソードを積み重ねるのが秀逸。
最終的にハッピーエンド?になるのは珍しい気がする。
こんな姑だったら嫌だなぁ -
絢子が素直で賢くて、料理上手で、イケメンで博識でスポーツもできてお金持ちの男性と結婚して、うらやましい限りの設定。
ハワイ旅行でのフランス人男性の言葉と最後の方の滝川婦人のコーヒーの味の話が印象に残った。
前者は俊夫に向けて、後者は絢子に向けて、あなたもいずれ分かるでしょう、と言っている。
自分もまた、時間をあけて読んだら感じることが違うかな、と思いながら読んだ。