育休刑事 (諸事情により育休延長中) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041134740

作品紹介・あらすじ

捜査一課の巡査部長、事件に遭遇しましたが育休中であります! 男性刑事として初めての長期育児休業を延長中、1歳になる息子の成長で手一杯なのに、今日も事件は待ってくれない!?

感想・レビュー・書評

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  • 育休中の刑事が何故か事件を解決するお仕事ミステリー。
    「育休刑事」二冊目ですね。

    四話の連作短篇です。
    主人公の県警秋月春風巡査部長は、男性としておそらく初めてであろう、育休中である。にもかかわらず、係長から捜査の協力依頼の電話がかかって来る。仕事復帰を目指す春風は、刑事としての使命感に意味を感じている。
    息子の蓮くんを抱えて、捜査に乗り出す。
    係長から捜査の依頼が無くとも、何故か、事件に関わって仕舞うのも、似鳥小説の毎度の物語の旨味かな。
    成長する蓮くん共々に、これまた何故か、毎度、登場する姉(法医学医者)の最強の?助っ人と、妻の沙樹さん(捜査課長代理のキャリア)が入り乱れての事件解明となります。

    とにかく、面白い。
    もともと、似鳥ファンなので、独特の文章の名調子と、なんと言っても、「赤ちゃん」の情報満載がたまりません。
    いつもの「あとがき」で、蓮くんの成長と平行して、続篇がシリーズで出そうなので期待が膨らみます。つい、口が、もとい、筆が滑ったとは言わせません。
    さしずめ、次回は「時短育児刑事」ですね。

  • ☆4

    前作が面白かったので、シリーズ続編を楽しみに待っておりました!
    似鳥鶏さんの作品はテンポが良くて、所々に出現する注釈がとっても面白くていつも楽しませてもらっております。

    今作でも少し成長した蓮くん(相変わらず可愛い♡)や、育休延長中の秋月刑事の活躍、そして育児あるあるが満載で、前作同様にたくさん楽しませてもらいました❁⃘*.゚
    これからもシリーズを通して、蓮くんの成長を見守っていきたいです(*´˘`*)

  • 育休刑事第2弾。

    今回は前回ほど蓮くんが巻き込まれる感じがなくてよかったです。蓮くん大きくなってたな。

    父親の育休も短期間は普及し始めているけど、なかなか長期というのは珍しいし、復帰後の配置先に時短の前例があるかどうかでもだいぶ変わるでしょう。
    随所で考えさせられる社会的問題も織り込みながら、最後の章はややシリアスなテイストで、ほのぼのだけで終わらせず本当に上手いな〜と思います。

  • 捜査一課の男性初、育児休暇取得中の、秋月巡査部長。
    元の職場に復職できるのか、時短勤務ができるのかが未定のまま、育児休暇を延長することに……。
    『育休刑事』の続編。

    前作と変わらず、育児のあれこれがリアル。
    蓮くんの成長ぶりも著しく、どのシーンも愛くるしかった。

    ドラマで話を知ってしまっていたが、小説を最初に読んでいたら、驚けたであろうネタもあった。

  • 主人公の育休が延長されての第2巻。延長の理由が保育園の枠待ちだったり、ベビーカー邪魔おじさんが出没したり(喧嘩を売る相手が悪いね)、育児あるあるをちょいちょい盛り込んできます。
    主人公の育休も終わりそうですが、次巻はあるんでしょうか。

  • 2023年4月角川文庫刊。書き下ろし。シリーズ2作目。世界最大の「不可能」、徒歩でカーチェイス、あの人は嘘をついている、父親刑事、の4つの連作短編。前巻より更にパワーアップして、ミステリー度も向上。かつ赤ちゃんの蓮くんも立ち歩きができるようになってパワーアップ。テレビ化もあってか、このグレードアップは嬉しい。次巻のタイトルは時短勤務中かも。

  • 前のはドラマを見る前に読んだ。ドラマにちょっとつながる話もあった(設定違い?)
    育休中の刑事さんがこんなに事件に出くわすことも、蓮くんが大人しくついてくることもないと思う。でも、子育ての大変さ、刑事でも(育休、時短を)取ってもいいんだ、という内容はいいかも、ただ、育休、時短を取るとそれをフォローする人がいることも忘れてほしくないな。

  • 蓮くん、かわいい。
    育児の様子が事細かに描かれていて、驚くほどリアリティがある。
    続編期待してます。

  • 【収録作品】世界最大の「不可能」/徒歩でカーチェイス/あの人は噓をついている/父親刑事

    『育休刑事』続編。育児中のあるあるをユーモラスに、あるいは諷刺鋭く交えながらのミステリ。毒舌キャラの姉の豪快さが気持ちいい。作者らしい欄外注のくすぐりも楽しい。

  • 待ってました!と言うか、前作の仕掛けからして続篇があるとは思わなかったので、これは嬉しい驚きだった。あのドーンとくる大仕掛けはさすがにもうないだろうけど、それなしで充分楽しめるに違いないとワクワクして手にとり、期待通り、満足して読了。

    日常の謎系や、もう少しシリアスなものなど、四篇が収録されている。前作同様、どれも「育児」に関わることが事件の中心だったり、解決のヒントになったりする。正直に言うと、結構無理があるなあというのもあるけれど(「世界最大の『不可能』」のトリック、どう考えても二時間はムリでしょう)、楽しさを損なうものではない。

    とにかく、捜査一課の刑事が育休をとり、子育てに悪戦苦闘しながら、育休中なのになぜか事件に立ち向かっていくという設定が、斬新かつ爽快。主人公秋月春風は、仕事も家庭も大事にしたいごく普通の人なのだが、なんせ捜査一課の刑事なので、ぶつかる壁は高くて固い。育休後元の職場に戻れるのかという不安を抱えつつ、目前の育児に奮闘しつつ、謎まで解いちゃう。

    男女を問わず、子育てする中で直面する困難や理不尽が、ストーリーにうまく取り込まれているが、その根本のところに、育児は女性が担うもので、その困難は社会的にはないものとされてきたことへの憤りがある。ここに大いに共感するのだ。「徒歩でカーチェイス」で出てくる「バス事件」、ベビーカーを邪魔だという男に、春風の姉が理路整然と啖呵を切る場面なんか、実にスカッとする。

    この姉、法医学者で大学の准教授なのだが、変人キャラで、春風の息子蓮君とともにお笑い担当としていい味なのだ(いや蓮君はほのぼの担当かな)。妻は○○○○で(これは前作の大ネタ)、まだあまり実像が見えにくいけど、今後に期待したい。そう、これはなんとシリーズ化されるみたいだ。この終わり方からすると、次作は「○○刑事」かな(○○ばかりで申し訳ないけど、展開に関わるので)。あとがきで作者が「蓮君がおっさんになるまで(いつかはなる!)シリーズを続けたいものです」と書いてる。この作者のあとがきは大体、虚実入り混じったというか、フザケちらしたというか、実に独特なんだけど、これだけは実現してほしいものです。(最近のあとがきはフザケ度が低下している。これもお子さんが生まれた影響の一つか?)

    最後の一篇「父親刑事」は、蓮君が生まれた時の事件の回想で、当然育休前のことだ。すでに前代未聞の育休をとることは決めていて、そのことであからさまに冷笑されたりしている。停滞していたある事件捜査に有力な情報が入り、いざ現場へ!というまさにその時、妻から「生まれるかも」と連絡が入る。さあ、どうする?春風。自分としてはここでの春風の葛藤と逡巡と決断がいちばんの読みどころだった。本書裏表紙の紹介に、「私生活と仕事のバランスに悩むすべての人に贈る」とあるが、この難題への作者による「答え」なのだと思った。

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著者プロフィール

1981年千葉県生まれ。2006年『理由あって冬に出る』で第16回鮎川哲也賞に佳作入選しデビュー。「市立高校」シリーズ、「戦力外捜査官」シリーズ、「楓ヶ丘動物園」シリーズなどの人気シリーズの他に『難事件カフェ』『迫りくる自分』『きみのために青く光る』『シャーロック・ホームズの不均衡』『レジまでの推理~本屋さんの名探偵~』『101教室』『彼女の色に届くまで』『100億人のヨリコさん』『名探偵誕生』『叙述トリック短編集』『そこにいるのに』『目を見て話せない』『生まれつきの花 警視庁花人犯罪対策班』などがある。

「2023年 『育休刑事 (諸事情により育休延長中)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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